ボックス構造などで意図しない曲げモーメント図が「部材結果ウィンドウの2次元表示」や「レポート出力」でみられることがあります。
下図は全体座標系X-Y平面にボックスモデルを配置したときの例です。
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■図1 意図しない曲げモーメント図 |
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直接の原因は、要素yl軸が右壁では全体X軸の負側、底版では全体Y軸を向いているためです。これは要素座標系のデフォルトが下図のように設定されるためです。そして、モーメント値の符号は、常に要素yl軸の負側にたわむときを正と考えて決定されています。
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■図2 要素yl軸のデフォルト設定 |
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プログラムは部材断面力の符号を全体座標系ではなく主軸座標系をみて決定しています。ルールは、
- Mzpは要素yp軸の負側に梁がたわむときを正とする
- Mypは要素zp軸の負側に梁がたわむときを正とする
としています(図3参照)。
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■図3 断面力図の符号 |
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断面力値の符号は上記ルールによって決定されますが、断面力分布図を描画するときは3次元図と2次元図で異なります。たとえば、正のモーメントを部材の下側に書くか、上側のどちらに描くかという問題になります。3次元表示と2次元表示のそれぞれの描画ルールは以下のとおりです。
2次元表示のとき
主軸yp軸の向きに無関係に、i端を左側、j端を右側に置いたとき梁の下側に正のモーメントを書いています。これは、UC-1シリーズのFRAMEマネージャ、FRAME面内と同じ描画ルールです。
3次元表示のとき
i端、j端の向きに無関係に、+yp軸の反対側に正のモーメントを書いています。
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一例として、頂版、底版、左壁、右壁のすべてが内側にたわむときを正のモーメントとなるように設定するとよいです。
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■図4 内側にたわみが生じるときを正の曲げモーメントとする |
設定方法は、
(1) 時計回りにi端とj端が並ぶようにする
(2) 要素yl軸が外側を向くようにする
とします。
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■図5 i端j端の並び方と要素yl軸の向き |
(1)は、下記2箇所のいずれかで変更できます。
- シンプルエディタの要素表でi端とj端の節点番号を入替える
- 部材の編集画面のi端とj端の入替えるボタン
(2)は、部材を選択して右クリックメニューから「要素y軸と全体座標系との関連付け」を呼び出して要素yl軸の方向を変更します。
このように設定すると、隅角部でモーメントの符号が正負反転せず、かつ、2次元図でのモーメント図が対称な形となります。
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■図6 意図した曲げモーメント分布図 |
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(Up&Coming '12 新年号掲載) |
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