ケーブル要素を使ったモデルを作成するとき、ケーブル要素の張力を入力しなければなりません。ところが、解析前にケーブルの張力は不明な場合があります。そこで、初期状態のケーブル張力をプログラムに決定させる機能を紹介します。
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図1のような吊橋のモデルを例にします。このモデルは、Engineer's Studio(R)に添付しているサンプル「SuspensionBridge.es」です。
ケーブル要素の入力として、図2に示す張力を与えますが、解析前なので、暫定的に100kNを与えます。この100kNは収束計算の初期値となります。0kNを与えると、ケーブル要素が要素として成立しない(不定となる)ので、なんらかの張力を初期値として与えます。
図3で、節点の制約条件を与えます。床版位置の節点を鉛直方向に変位しないように、Δの列に0.0mmという制約条件を与えています。また、初期状態の荷重ケースに「死荷重(St.)」を指定しています。横にある計算ボタンを押すと、その荷重ケースをモデルに載荷して、床版位置の節点が変位しない条件下で、ケーブル要素の張力と各部材の断面力を算出します。自動算出されたケーブル要素の張力は、図4に示すTX-i、TY-i、TZ-i、TX-j、TY-j、TZ-jの列に成分で表示されます。「長さ」の列には、暫定的に与えた張力によるケーブル要素の曲線長が、「初期状態の長さ」の列には、自動算出によって算出されたケーブル要素の曲線長を表示しています。後者の張力が重要な結果です。
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■図1 吊橋のサンプルモデル(製品添付) |
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■図2 ケーブル要素に暫定的に与えた張力 |
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■図3 節点の制約条件を入力 |
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■図4 自動算出されたケーブル要素の張力成分 |
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図5は、初期状態の曲げモーメント図です。これは、ダミーの荷重ケース(荷重値を設定せず、荷重ケース名称だけ与えたもの)をシーケンス荷重に1ステップだけ追加して解析を行なった結果です。これにより、自動算出された初期状態の結果を確認できます。図より、床版の曲げモーメントが多径間連続梁のように分布している様子がわかります。
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■図5 初期状態の曲げモーメント分布 |
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図6は、自動決定された初期状態から解析をスタートし、地震波形を与えたときのある時刻における変形図です。この図は約430倍に拡大した変形図ですが、ケーブル要素自身も振動している様子がわかります。
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■図6 動的解析時の変形図(倍率x430) |
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(Up&Coming '12 春の号掲載) |
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