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UC-win/Road

VRにおける視認性検証
↓
はじめに
 サーバ上でUC-win/Roadを実行させ、Webブラウザ上で遠隔操作できる、「UC-win/Road for SaaS」がリリースされています。サーバで表示画像をエンコードをし、クライアントで表示していますが、伝送後の劣化程度が問題になります。
 また、現実空間での見え方と、VR空間を表示したモニター上での見え方の違い、標識の識別や色合いといった視認性が問題になっています。
 モニター上の表示と現実空間での見え方を数値的に把握するために、分光放射輝度計CS-2000(コニカミノルタ)を使用し、モニターの色度、輝度を使用し計測し、視認性についての検証を行い、考察をしました。

視認性検証 1. クラウド共有システムを使用した際の伝送後の画像劣化検証
(1)方法
 クラウド共有システムを用いた場合の伝送後の画像劣化の検証を行う。
 同じ画像を通常のUC-win/Roadで表示し、次にSaaS環境で表示し、それぞれ輝度・色度を計測し輝度比・色再現・白均一性の変化を数値化し評価する。

(2)測定対象モニター
測定対象は以下の4つ
LCD NEC MultiSync EA241WM 24inch
PDP Panasonic TH-42G2 42inch
ノートパソコン SONY VAIO type S VGN-SZ94PS PCG-6V2N 13.3inch
プロジェクタ EPSON EB-G5200W
※各モニターの設定は標準モードを選択。
 モニターと輝度計を暗幕で覆い計測。プロジェクターについては部屋の照明を落とし計測。

(3)SaaS設定
・SaaSは社内LAN上で1台のPCをサーバとして伝送、LCD、PDP、ノートPC、プロジェクタからスクリーンに投影して表示。

(A)輝度比
 輝度比が多いほどコントラストが高いと言える。
 全黒(RGB 0,0,0)、全白(RGB 255,255, 255)を順に表示し、画面中央を測定。Roadで表示した際とRoad for SaaSで表示した際の、輝度の値の比(全黒/全白)の変化を調査。
・結果
 輝度比はLCDで800:1程度、PDPで1000:1 を超え、ノートパソコンでは500-600 :1、プロジェクタは100:1 程度。SaaS環境での輝度比の変化については、LCDはほとんど変化なし、ノートパソコンとプロジェクターは輝度比が若干上昇、PDPは大幅下落という結果となった。

■図1 各モニターの輝度比変化グラフ

LCD PDP


ノートパソコン プロジェクタ
■図2 CIE色度図

■図3 各モニターのRGB別輝度変化

(B)色再現
 全赤(255,0,0)、全緑(0,255,0)、全青(0,0,255)を表示し、画面中央を測定。XY表色系での各値の変化を調べる。色の再現性の劣化度合いがわかる。
 色の再現性としては、PDPが最もよく、特に全緑の再現性に違いが見られた。
SaaS環境での変化は、Roadで表示の際と、Road for SaaSで表示の際とで色度の値にはほとんど変化がなかった。輝度の値には変化が見られ、ノートパソコンが上昇、他は下落した。
・結果
 色の再現性としては、PDPが最もよく、特に全緑の再現性に違いが見られた。
SaaS環境での変化は、Roadで表示の際と、Road for SaaSで表示の際とで色度の値にはほとんど変化がなかった。輝度の値には変化が見られ、ノートパソコンが上昇、他は下落した。

(C)白均一性
 全白を表示し、画面内9点を測定。輝度cd/m2の値の均一性、すなわち白色むらの変化を調べました。プロジェクタは上部を計測するのは困難なので中央と左下隅のみ計測。
■図4 画面内計測点

結果
 輝度のむらは、プロジェクタの真ん中と隅で大きく違いがあった。また、LCDもある程度むらがあった。PDPは最もむらがなかった。
 SaaSでの影響はまちまちで、PDPは全体的に輝度が上昇、LCD・ノートパソコンは輝度が上昇する個所と下落する個所があり変化率として100%内外であり、明確な変化はなかった。また、PDPではSaaS環境で輝度があがっているが、色再現性でRGBの個別の輝度はすべて下落しており、さらに調査が必要である。

総括
 SaaSでの伝送、再生後には色味の変化は見受けられませんでした。
 SaaSのプロセスとしては、サーバ側でエンコード→伝送→クライアント側で再生、と伝送前にエンコードしており、また、TCP/IPで通信しているため、データは基本的にはすべて送信されます。このように技術的には伝送後再生時に画質が劣化することはありません。
 一方、輝度の値は変化しました。輝度比はノートパソコンとプロジェクタで上昇、LCDで下落しました。RGBの輝度変化はPDP以外上昇し、全体的に輝度があがり明るくなる傾向があります。PDPは輝度の上昇・下落が一環しておらず、今回の計測ではその性状を結論づけられませんでした。

視認性検証2. 現実の屋外空間での計測と比較
(1) 目的
 
標識に使用されているの色の、現実での見え方と、UC-win/Roadでの見え方の違いを検証する。
■図5 Road DBに登録されている標識

(2) 測定対象
標識色計測(屋外)
 国交省 標準案内用図記号ガイドラインより抜粋した以下の6色を、日本塗料工業会の色見本を屋外に置き、輝度と色度を計測した。
赤:7.5R4/15
青:2.5PB3.5/10→(日塗工にないため2.5PB4/10)
黄:2.5Y8/14
緑:10G4/10
白:N9.5 
黒:N1
日時、天気 :2010年9月24日 13:00− 曇天
■図6 日本塗料工業会色見本

UC-win/Roadに表示させるモデル
 
標準案内用図記号ガイドラインの表色をRGBに変換し、板モデルとして画面中央に配置、表示させ、計測。

描画設定
日付 2010年9月24日 13:00 (GMT+ 9:00)
太陽/月 光 オン
アイライト オン
使用マシン:Precision 360 Win XP Pro Pentium4 NVIDIA Quadro FX500
対象モニターは検証1と同じ、LCD,PDP,ノートパソコン,プロジェクタの4種類。
結果
 屋外で色見本を計測した結果は、輝度は非常に高く、白で1800cd/m2、他の色も屋外の方が高い値であった。
 色度に関しては、当然ながらばらつきがあった。無彩色はある程度同じ領域に固まっており、緑については最もばらつきがある。LCDが緑以外比較的現実の色と近い色を示しているが、ディスプレイ毎での傾向は見られると言えない。
総括
 屋外での見え方とVR空間での見え方の違いと補正について
 当然ながら、屋外空間での標識などの見え方と、同じ色で設定したVR空間上の標識の見え方は異なります。理由としては反射や複雑な照明環境(太陽光含む)が考慮されない、天候による環境光の厳密な定義ががない、空気の汚れなど無限にある自然的条件を考慮できないなどなどが挙げられます。
 VRデータ制作における色調整の目的は、デジタルカメラで撮影したデータをモニターで再現することではなく、現実の色とデータを表示しているモニター上の色を似たものにするという点にあるため、独自の手順を構築する必要があります。
 映画の映写機など動画の調整では環境を固定して静止画を表示し画質調整を行います。VRデータの調整も、環境を固定して行う必要があります。
 VRはモニターで出力することがほとんどであるからディスプレイの設定を統一できるよう、ディスプレイのキャリブレーション、プロファイルの保存、ディスプレイが表示可能な色空間(色域)に注意を払う必要があります。
 環境は現地の環境に準じるべきですが、表現上での気象・気候の表現は行っても色味に影響しません。現在は緯度経度・時刻からの太陽位置のみが明確に合わせられる条件であり、アイライトやスポットライト強度、太陽/月 光と環境光のゲインを始め設定はあくまで任意であり、これらの設定を固定した上で、色味の調整を行います。
 調整は、現地の環境でカラーチャートの色度・輝度を計測し、VR上にモデルとして配置した同じカラーチャートを表示、色度・輝度を計測した上で、モニターのRGBや輝度を調整し色を合わせていきます。
 今回の輝度計を使用した計測と検証では、上記のようなVR上の色調整までは行えていません。今後、輝度計を導入しカラーマネジメント手法についても継続的に構築していきます。

ガイドライン RGB値 日塗工色見本 LCD PDP ノートPC プロジェクタ
赤:7. 5R4/15 (194, 0, 28) 160.85 28.13 35.54 33.21 43.72
青:2. 5PB4/10 (0,99,158) 164.13 149.94 134.56 101.36 203.11
黄:2. 5Y8/14 (255,188,0) 1035.97 99.13 35.57 28.22 54.94
緑:10G 4/10 (0,115,87) 268.38 249.6 164.19 169.3 327.81
白:N9. 5 (240,240,240) 1836.04 2.27 3.29 2.46 6.84
黒:N1 (33,33,33) 13.45 221.39 80.07 193.32 386.07
■表1 輝度計測値

■図7 色度の分布

■図8 カラーマネジメントのプロセス

■図9  大橋JCT実写比較映像

ムービー公開中 ../product/ucwin/road/ucwin-road-1.htm


     
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SUPPORT TOPICS  サポートトピックス/ UC-1 シリーズ 保守・サポートサービス
関連情報
UC-1 Series

U型擁壁の解析方法は?
↓
 U型擁壁の設計においては、左右土圧の影響を適切に考慮して側壁と底版を一体として扱い、次のフローによりフレーム(骨組み)モデルで解析します。但し、計算及び入力時において、次のような制限がありますので注意してください。


1)形状
 形状の入力は、規定形状のみの対応で任意形状の入力には対応していません。そのため、旧バージョンにおいて任意形状で入力時は再入力が必要になります。
また、次のようなストラット式擁壁タイプには、入力及び計算は対応していません。

2)荷重の扱い
 土圧の扱いは、土圧力が大きいほうを主働側、小さいほうを受働側として扱います。また、全水平力の方向によっても主働側、受働側が変わります。

 3)基礎
 杭基礎の場合は左右土圧の釣り合いや変位を考慮して検討するため、「杭基礎」プログラムの連動には対応していません。
 また、計算モデルとしては、次のような対応となります。

(1)フレームモデル
・側壁軸線位置が基部幅の1/2の場合

・側壁軸線位置が天端幅の1/2の場合

(2)フレームモデルの支点条件
 支点条件は基礎形式毎に以下のようになっています。

 尚、杭基礎時のバネ値は、以下のように算出しております。
    Kv = 杭の軸方向バネ定数 (Kv)×1列あたりの杭本数/ブロック長
    Kh = K1×1列あたりの杭本数/ブロック長
    ここに、K1:杭頭部に回転を生じないようにして、杭頭部を杭軸直角方向に単位量だけ変位させるとき、杭頭に作用させるべき軸直角方向力(kN/m)および曲げモーメント

(3)側壁設計モデル
 側壁設計時は、次のように荷重を載荷します。

 但し、衝突荷重はフレームモデルに載荷せず、側壁の計算で別途算出します。

(4)底版設計モデル
 底版設計時は、次のように荷重を載荷します。


(5)フーチングの設計
 フーチング(張り出し底版)を有する場合は、照査位置を設定することで断面照査を行うことができます。また、フレーム計算による断面力はではなく、片持ち梁として「かかと版の設計」に準じた断面力集計を行います。

(6)荷重の扱い
 考慮する荷重は次のように指定により扱いが異なります。
 但し、安定計算時は全ての荷重を考慮します。
1.すべての荷重を考慮する場合
 軸線外に外れる荷重を、図のように集中荷重として考慮します。

2.フレーム軸線内の荷重のみ考慮軸線内(地盤反力はフレーム計算)
・軸線内に存在する荷重のみを考慮し、地盤反力はフレーム荷重から算出します。
軸線内(地盤反力は安定計算結果)
・軸線内に存在する荷重のみを考慮しますが、地盤反力は安定計算結果を採用します。


     
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SUPPORT TOPICS  サポートトピックス/ Engineer's Studio(R) 保守・サポートサービス
関連情報
Engineer's Studio(R)

配水池など池状構造物のモデル化
↓
Q. 配水池など池状構造物のモデル化は?

A. 昨年、「水道施設耐震工法指針・解説2009年版 社団法人日本水道協会」が改訂され、配水池など池状構造物の耐震診断が、この新しい基準に基づき行われています。
 同指針の別冊「設計事例集」ではファイバー要素を用いた解析事例があり、これまで当社の解析支援サービスにおいても、輪切り2次元モデルのプッシュオーバー解析を行っています。しかしながら、2次元の輪切りモデルでは、中間の隔壁などを厳密に評価することができません。弾性解析であれば、柱列帯と柱間帯で曲げモーメントを配分することができますが、非線形解析では困難です。
 Engineer's Studioは壁部材を非線形平板要素、柱部材をファイバー要素でモデル化することが可能です。Ver.1.04から面分布荷重の入力ができるようになり、水圧や土圧などの入力が容易になりました。
 下図は、上記「設計事例集」にある池状構造物をEngineer's Studioでモデル化したものです。内部を見るために、頂版は非表示にしています。平板要素は前川コンクリートモデル、柱はファイバー要素でモデル化しています。

 静水圧、動水圧は下図のように分布荷重としています。

 下図は設計水平震度kh=0.603時の変位図(倍率:2倍)です。頂版は非表示にしています。壁の変形は弓なりになり、側壁に近い柱の変形量は小さく、中央に近づくにしたがって柱の変形量が大きくなっていることが分かります。

 下図は、ファイバー要素に発生するひずみコンターです。中央の柱(青四角)では辺に平行状にひずみ分布を呈しているのに対し、壁側の柱(赤四角)では対角線方向にひずみが分布しています。また、ひずみ量自体も小さくなっています。すなわち、壁を考慮した3次元的な効果が現れていると考えられます。

 今回ご紹介した解析は、地上にある池状構造物への非線形平板要素の適用です。解析は静的非線形解析となります。地中構造物や、動的解析については別途検討が必要になります。
 今後もEngineer's Studioは地盤の影響などを直接考慮・評価できるよう機能追加を進め、このような池状構造物の解析をサポートしていきます。
どうぞご期待ください。

※参考文献:水道施設耐震工法指針・解説 2009年版 設計事例集 平成 21年 9月 社団法人日本水道協会


     
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(Up&Coming '10 晩秋の号掲載)
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