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ユーザ紹介第63回
西鉄シー・イー・コンサルタント株式会社
Nishitetsu C.E.Consultant Co.,Ltd

西鉄シー・イー・コンサルタント株式会社のホームページ
http://www.ncec.co.jp

「西鉄グループ」の一員として蓄積した技術と信頼がベース、
3次元リアルタイムVRの活用を新たな展開の柱に


 地元福岡県を中心に広く海外にもネットワークを有し、運輸事業はじめそこから派生したさまざまな事業分野をリードする「西鉄グループ」。今回は、同グループを構成する一員として、各種土木工事に関する調査・測量・計画・設計を担う「西鉄シー・イー・コンサルタント株式会社」をご紹介いたします。
 
 同社には従来より、橋梁や道路などの構造計算関係を中心にフォーラムエイトの各種製品・サービスをご利用いただいています。そうした中で現在、とくに同社が次なるビジネス展開を目指すにあたりカギとなるツールと位置づけられているのが「UC-win/Road」。そこで、昨年この3次元リアルタイムVR(バーチャルリアリティ)ソフトを導入して以来、それによる新たな可能性を視野に積極的な活用を図ろうとされている同社常務取締役の橋爪康則氏、および設計第一部部長の足立俊美氏、同部課長の内野勇介氏、同部課長代理の吉村継彦氏の4氏にお話を伺いました。

■「鉄道施設計画室」を4月に新設、「設計第一部」は道路を担当

 西鉄シー・イー・コンサルタント株式会社は73年、同グループの中核をなす西日本鉄道株式会社(西鉄)向け鉄道関連業務を主な対象とする建設コンサルタントとして設立されました。本社を置くのは、グループの拠点でもある福岡市。熊本市と佐賀市に設置された営業所を含め、社員64名(そのうち、事務職員15名、技術職員49名:06年6月現在)が配置されています。

 主要業務は、1.鋼構造およびコンクリート2.鉄道3.道路4.河川砂防および海岸5.上下水道6.都市および地方計画7.環境アセスメント8.施工計画および施工管理9.土質および地質調査10.測量11.補償調査 ― の各分野に及び、さまざまな調査・計画・設計などが取り組まれています。

 現時点の本社組織は、事務系の総務部、営業部、技術部と、技術系の設計第一部、設計第二部、設計第三部、鉄道施設計画室により構成。「設計第一部」は道路を、「設計第二部」は測量・河川・下水を、「設計第三部」は構造物を、それぞれ中心に担当。「鉄道施設計画室」は、それまで設計第二部および設計第三部に含まれていた鉄道そのものの設計から維持補修に至る西鉄関連の業務を統合、専門に当たる部署として今年4月に新設されました。

 もともと西鉄のインフラ整備支援を目的にスタートした企業ということもあり、技術系4部署のうち最も大きな比重を占めるのが「鉄道施設計画室」。その中で「私たち(設計第一部)は鉄道をオーバーするなど西鉄と関連する道路、あるいは一般の道路事業にも携わっています」と、足立俊美氏は同社設計第一部の特徴的な業務の一端を述べます。


■全社的なIT化を「電算委員会」がリード

「IT(情報技術)を駆使して他社に負けないような成果を作っていきたいと考えています」

 その具体化を担う機能として足立俊美氏は、社を挙げてITの充実を図るために取り組む組織横断的なタスクフォース「電算委員会」の活動を挙げます。これは、各部を構成するグループ(4人程度を単位とする)からそれぞれ一人以上の委員を選出、全社的な視点に立って検討しようという10数名から成る組織。社内IT最新版の活用支援に向けた情報共有、あるいは各グループからのハード・ソフト購入要望の調整などを行っています。また、そこでは数年前から導入しているグループウェアを利用し、CALS/EC(公共事業支援統合情報システム)に関する要領改訂などの最新情報を全社的に共有できる環境も構築されています。

 これまでの構造関係をはじめとするフォーラムエイトの各種ソフトウェア購入に当たっても、同委員会で検討されてきました。とくに今年からは、従来の国土交通省に加えて福岡県でもCALS/ECに基づく電子納品が段階的にスタート。それを睨んで道路CADの強化を推進する一方、さらに将来のCALS/ECシーンを視野に3次元CADへの対応にも着手。吉村継彦氏は今後、そこでの「UC-win/Road」との連携も図っていきたいとの意向を示します。


■今春Road利用のデータ作成で初受注

 「『UC-win/Road』の紹介を受け、そのシミュレーションを見て、即購入を決めました」。足立俊美氏は、3次元リアルタイムVRによる効果のインパクトを実感した自身の体験を振り返ります。

 同社は昨年、「UC-win/Road」を導入。それを用いた最初の受注例となったのが、福岡県久留米土木事務所の本郷基山(ほんごうきやま)線プロジェクトです。同プロジェクト区間の一部、西鉄をオーバーする箇所の道路と橋梁について予備設計段階から関わってきた同社は、当該区間の地元説明会向けとして「UC-win/Road」の利用を提案し、採用されました。

 具体的な対象は、西鉄(鉄道)自体のほか、本郷基山線の高架部分や両側道、交差する道路などを含め、延長2q弱の区間。発注者側の意向を反映して、「西鉄自体がどう見えるか」「電車がどう走るか」「高架の上から電車がどう見えるか」「西鉄と直交する高架がどう見えるか」 ― といったポイントがすべて再現されたシミュレーションデータは、採用決定から3週間弱で作成。今年4月に納品されています。

 同社は、同プロジェクトでの実績に加え、そのツールとしての可能性にも注目。現在は、この3次元リアルタイムVR活用技術を自社のアピールポイントとすべく、関係するプロジェクトへ積極的に採りいれていこうという流れにあります。


■引き続き他のプロジェクトでの展開にも期待

 そうした中で、福岡県大牟田土木事務所で取り組まれているプロジェクトに関連して、「地元説明会用にパース図を」という案件が示されました。
 こうしたケースでは、パース図やフォトモンタージュ、模型などの中から状況に応じて最適な手法が選択されるのが一般的です。しかし、例えば、今回前提とされたようなパース図の場合、見る側の視点が一点に限られてしまい、他の角度から見ることが出来ないという制約は避けられません。そこで同社は、「UC-win/Road」を用いることで、こうした問題を解消するとともに、実際に自動車が走行しているシーンのシミュレーション、さまざまな要素を入れ替えての比較、多彩なアングルからの視点を実現することなどによる説明性の向上をアピール。当該案件に関する結果は現時点では未定ですが、内野勇介氏は、発注者側でもかなり興味を持たれ、少なくとも他のプロジェクトを含め今後の活用に前向きなコメントが聞かれた、と語ります。

 「3次元CG(コンピュータグラフィックス)でこういうものが可能だという認識は発注者の皆さんもおそらく持たれているはずなのです。ところが、かつて『秒単位でいくら』と言われた高コストのイメージがネックともなっていました」
 その上、以前であれば決められた視点からの動画像に限られた一方で、それなりの機器を用意する必要もありました。それが、大幅な低コスト化を実現。それを自由な視点から、しかも普通のパソコンでの対応が可能であるということも、今回提案が発注者側の好印象に繋がった背景にあると見ています。

 また現在、西鉄大牟田線の春日原(かすがばる)駅、白木原(しらきばる)駅、下大利(しもおおり)駅周辺で連続立体交差事業が取り組まれています。いずれも地元との関わりが大きく、当然、地元説明会は重要な位置づけとなります。そこで同社では、前述の道路関係プロジェクトでの成果や反響を基に、パンフレットなど従来型の説明手法に替わるものとして3次元リアルタイムVRを使う提案を検討中です。

 「踏み切りが高架になることで道路の渋滞が解消し、スムーズに走ることが出来るようになるという状況を、実際に動かしながら説明できれば非常に楽に分かっていただけるのでは」と、橋爪康則氏はこれまで懸案となっていた合意形成に向けたソリューションとして期待を示します。


■これからの事業環境とRoadの位置づけ

 公共事業を取り巻く環境が厳しい時代であればこそ、西鉄グループの一員として培ったノウハウや信頼をベースとし、さらに新たなニーズに対応した独自の切り口をアピールしていきたい、と足立俊美氏は今後の展開に向けた考えを述べます。

 その一つは、増大するストックの維持補修に対する建設コンサルタントとしての関与。もう一つが、「UC-win/Road」などを活用した同社ならではのサービス提供です。そのためにも、「UC-win/Road」によるデータ作成を逐次自社内で出来るよう、スキル向上にも努めたい(吉村継彦氏)としています。

 また、CALS/ECが新たな段階に移行しようという中で、蓄積される電子情報の社内における共有・有効活用も図っていく考えです。「出来るだけペーパーレスでいこう」という全社的な取り組みには、そうした狙いも込められています。

 「これまで行ってきた業務に対し、内容的な評価は得られてきたと思うのです。ただ、これからはそれに加え、その成果について分かりやすく説明するということが重要になろうと考えています」
▲西鉄シー・イー・コンサルタント株式会社




▲前列左から
橋爪 康則 常務取締役
設計第一部 足立 俊美 部長
後列左から
内野 勇介 課長
吉村 継彦 課長代理

▲事務所内風景
















その意味では、「UC-win/Road」のようなツールを他に先駆けて採り入れていくことは営業展開上大きい、と橋爪康則氏は語ります。さらに、「ITとは仕事が楽になって、良いものをつくるための道具」との観点から、トータルのシステムとして全体を動かしていくことが今後の経営課題になると位置づけます。


 お忙しい中、取材にご対応いただいた関係者の皆様に改めてお礼申し上げます。



  
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