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Society 5.0 |
IT TERMS INFORMATION
2017-No.3 |
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近年では、ICTの進化により社会構造が激変する「大変革時代」が到来し、科学技術イノベーション推進の必要性がいっそう増しています。このような背景のもと、政府は「科学技術基本法」に基づいて「科学技術基本計画」を策定し、長期にわたる基本計画に沿って科学技術政策を推進しており、平成28年には第5期科学技術基本計画(平成28〜平成32年度)が閣議決定されました。「総合科学技術・イノベーション会議」は、この基本計画の策定と実行に責任を有しています。
第5期基本計画の第1章では、目指すべき国の姿として「持続的な成長と地域社会の自律的発展」「国及び国民の安全・安心の確保と豊かで質の高い生活の実現」「地球規模課題への対応と世界の発展への貢献」「知の資産の持続的創出」が掲げられています。また、このような国の実現に向け、第5期基本計画の第2章〜第5章では、i)未来の産業創造と社会変革、ii)経済・社会的な課題への対応、iii)基盤的な力の強化、iv)人材、知、資金の好循環システムの構築、という4本の柱が挙げられています。
このうちi)の内容として、「自ら大きな変化を起こし、大変革時代を先導していくため、非連続なイノベーションを生み出す研究開発を強化し、新しい価値やサービスが次々と創出される「超スマート社会」を世界に先駆けて実現するための一連の取組を更に深化させつつ「Society 5.0」として強力に推進する」という記載があります。この「Society 5.0」とはいったい何を指しているのでしょうか。
人間社会の進化について、一般的に狩猟社会(1.0)、農耕社会(2.0)、工業社会(3.0)、情報社会(4.0)という考え方があります。これに続くような新しいフェイズで、サイバー空間と現実の空間が高度に融合した「超スマート社会」が、「Society
5.0」の定義になります。これは、必要なモノとサービスのユビキタス化(至る所に遍在すること、言い換えればいつでもどこからでも対象にアクセスできること)によって快適に暮らすことのできる社会のイメージです。
これを実現するためには、「ものづくり」「自動走行」「ロボット、ドローン」「バイオ、ヘルスケア」といった分野別の対応と、「データ利活用」「IT人材育成」「サイバーセキュリティ」「人工知能研究」「知財・標準制度」といった横断的な対応が求められると考えられています。
■ 「Connected Industries」の発信と「Society 5.0」実現への展望 |
2017年3月に開催されたドイツ情報通信見本市(CeBIT)に日本はパートナー国として参加し、フォーラムエイトも含めた118企業が出展。式典に出席した安倍総理のスピーチでは、日本が目指す産業のあり方としての「Connected Industries」のコンセプトとして、「人と機械・システムが強調する新しいデジタル社会の実現」「協力や協働を通じた課題解決」「デジタル技術の進展に即した人材育成の積極推進」が語られました。
さらに、第四次産業革命に関する日独共同声明が署名・発表され、人、機械、技術が国境を越えてつながる「Connected Industries」を進めていく「ハノーバー宣言」がなされました。
この「Connected Industries」は、「Society 5.0」につながるものとして考えられており、産学官における議論喚起・検討として、前述のような分野別および横断的な対応についての取り組みが挙げられています。今後は、データがつながり、その有効活用によって技術革新、生産性向上、技能伝承などを実現することで課題を解決していくことが期待されます。
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