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HDR (High Dynamic Range) |
IT TERMS INFORMATION
2017-No.4 |
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HDRは、ハイダイナミックレンジ(High Dynamic Range)の略で、動画の場合、コントラストを高め輝度(明るさ情報)の幅を拡大する技術をいいます。ディスプレイの最大輝度が上がれば、最も明るい部分から最も暗い部分までのコントラスト比が高まり、従来のSDR(Standard
Dynamic Range)はできなかった幅広い明暗の階調を表現できます。雪原に反射する光や、月明りに照らされた地表の色なども、白飛びや黒つぶれすることなく表せるようになります(図1)。
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■図1 輝度レベル |
HDRの映像を制作者の意図通りに体験するには、撮影から伝送・表示に至るまでの映像に記録する輝度の幅と、ディスプレイに表示する最大輝度の両方を拡大する必要があります。輝度の幅が拡大されれば単に明るくなるだけでなく、SDRでは明るく白飛びしていた部分も本来の色が再現されます。高輝度部分の色再現性が高まり、カラーボリュームが拡大し、表現できる色数が飛躍的に増大することで、より現実に近い映像表現が可能となるのです(図2)。
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■図2 カラーボリュームと色域 |
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CGの場合、表示するディスプレイの輝度・色域の制限に関係なく幅広い領域でレンダリングを行うことをHDRレンダリングといいます。
HDR(I high dynamic range image)形式で記録すると、人間の眼に近いダイナミックレンジの表現が可能ですが、容量とレンダリング負荷は倍になります(図3)。なお、HDRレンダリングで高精度に記録した情報でも、今のSDR規格のディスプレイで表示すると減色されます。
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■図3 SDR(左)とHDR(右)レンダリングイメージ |
現在、2018年の4K/8K本放送に向けたHDR対応4K-IP放送が始まっており、高画質HDRに対応したコンテンツ制作に加速がかかっています。ディスプレイについては、HDR対応でも機種によって最大輝度が異なるのが現状のようです。例えば、最大輝度4,500cd/uでコントラスト40,000:1のような高輝度表示ディスプレイであれば、クルマのヘッドライトや西日のまぶしさなども再現され、臨場感のある体験が可能といえます。
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