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粘性地盤を対象とした土留め壁の設計で、必要根入れ長が異常に長くなっているのはなぜか? |
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この症状は、「土留め工の設計」や「二重締切工の設計」などで発生する場合があります。「土留め工の設計」の場合は、『形状決定』画面で、次のようなコメントが表示されます。
『警告:力のつりあいによる必要根入れ長の計算で、最終掘削時において、検討可能な最下層位置まで根入れ長を延ばしましたが、安全率が0.58となり必要安全率を満足していません。』
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▲形状決定画面 |
■必要根入れ長が長くなる、もしくは、求まらない理由
粘性土が支配的な場合は、往々にして、いくら壁体を長くしても、力の釣合い点が見つからない場合があり、その結果として、根入れ長が長くなる、もしくは、求まらないことがあります。以下に、その理由を説明します。
粘性土の主受働土圧式は、
Pa=Ka*(買チh)-2c√(Ka) Pp=Kp*(買チh)+2c√(Kp)
です。今、φ=0とするとKa=Kp=1.00ですので、上記の土圧式は、
Pa=(買チh)-2c Pp=(買チh)+2c
となります。掘削底面より上をh1、下をh2とすると、
Pa=(買チh1+γh2)-2c Pp=(買チh2)+2c
となります。地表面以深の受働土圧強度の主働土圧強度の差は、
Pp-Pa=(買チh2)+2c-{(買チh1+γh2)-2c}=4c-買チh1
となります。つまり、掘削底面以深の主受働土圧強度の差は、掘削底面より上の土被り圧(買チh1)と粘着力(4c)の差になります。そのため、
4c>買チh1・・・・(式A)
でなければ、受働土圧強度が主働土圧強度を上回ることがなく、粘性土内に力の釣合い点を見つけることは不可能になるわけです。
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▲計算結果画面 |
■このようなケースの対策
前述の(式A)は、二重締切工の設計の適用基準である「鋼矢板二重式仮締切設計マニュアル」(財)国土技術研究センターP.59にも記載があり、(式A)を満足しなければ根入長の照査式を満たし得ないので、このような場合は、地盤改良などの対策が必要であると記されています。 |
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UC-win/Road |
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UC-win/Roadで道路作成を行っている時に、既に平面・縦断・横断の設定を終えた道路を延長したい場合、終点側に伸ばすのであれば、そのまま延長すれば済むのですが、起点側に伸ばしたい場合、そのまま延長することができません。なぜなら、起点となる方向変化点を移動させてしまうと、起点からの距離で設定している縦断、断面変化点、動作制御点等の位置が全て移動してしまいます。これらの数が多くて修正が困難な場合は起点側に線形を追加して対応します。一方通行の場合はオンランプを起点部分に接続するだけですが、対面通行同士は接続できないため、以下の手順で接続します。
線形の追加方法(対面通行の場合)
1. 既存線形から2m以上の距離を離して追加する線形を作成します。
2.両者の間を上下方向それぞれランプ線形で接続します。全長が2m以下の線形は作成できませんのでご注意ください。
3. ずれや段差が発生しないよう平面、縦断、断面を調整します。
以上の方法により、起点を移動させることなく道路の延長を行うことができます。
1.起点側に追加線形を作成 |
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2.双方の線形をランプ接続 |
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前号に引き続き、非線形要素の特性について考察します。
前号は単純な1方向曲げ状態でM-θ、M-φ、ファイバー要素モデルで同等の結果を得ることをご紹介しました。今号では2軸曲げ状態での結果を検証します。
解析モデルは図1に示すとおり柱天端に強制変位を250mm(断面の45度方向)載荷します。その結果得られる荷重変位曲線(P-δ曲線)は下図のようになります。鉄筋の降伏後ファイバー要素の結果とM-θおよびM-φ要素の結果が大きく異なることが分かります。
計算理論上、ファイバー要素は2軸曲げに対して忠実に解析できるのに対し、M-θおよびM-φ要素は断面の主軸回りでの非線形特性をモデル化しており、下記のP-δ曲線は強軸および弱軸回りの結果が見かけ上合成されたものとなっています。 |
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▲図1.解析モデル |
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▲図2.荷重変位曲線 |
道路橋示方書・同解説V耐震設計編では終局限界は、圧縮鉄筋位置でのひずみが終局ひずみに達するときと定義されています。UC-win/FRAME(3D)が持つファイバー要素の結果より、終局変位δu=78.5mmと判定できます。
しかしながら、M-θおよびM-φ要素で終局と判定されたδ=230mmはファイバー要素の結果のおよそ3倍となりこのときコンクリート、鉄筋のひずみは下図のレベルとなっています。
仮に、今回のようなモデルをM-θもしくはM-φ要素を用いて解析した結果、終局ひずみを大きく超過しており、さらに鉄筋も座屈している状態を終局としてしまう恐れがあります。
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▲図3.コンクリート(左)と鉄筋(右)のひずみレベル |
今回は正方形断面の45度方向という最も2軸曲げの影響を受けるモデルに対して解析を行いましたが、実務においても2軸曲げが生じる場合にはM-θおよびM-φ要素の使用に際してよく検討することが重要です。
UC-win/FRAME(3D)は上記3要素を備えておりますので、予備検討を比較的容易に行うことができます。是非、ご活用下さい。
次号では軸力変動が生じるケースで検証を行います。
非線形要素の特性について(1) 非線形要素の特性について(3)
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