■講師プロフィール
吉川弘道[ヨシカワ ヒロミチ]<工学博士、技術士(建設部門)>
専攻: |
耐震設計、コンクリート工学 |
経歴: |
早稲田大学理工学部土木工学科卒業後、間組技術研究所、武蔵工業大学工学部土木工学科講師、助教授を経て、現在、同教授 |
受賞: |
1987年度日本コンクリート工学協会賞(論文賞)、1987年度土木学会吉田賞(論文賞)、1989年度土木学会論文賞、等 |
著書: |
吉川弘道(単著) 「鉄筋コンクリートの設計」 、丸善、平成9年12月
吉川弘道(単著) 「鉄筋コンクリートの解析と設計」、 丸善、平成7年6月 |
■講演レポート
吉川先生は、現在、「鉄筋コンクリート構造物の非線形挙動に関する研究」,「性能評価型設計法/耐震リスク解析」に関する研究をされています。また、研究室ではUC-win/FRAME(3D) Advanced、UC-1震度算出(支承設計)Ver.2、UC-1RC断面計算Ver.3、UC-1RC下部工の設計計算Ver.3をご活用頂いております。今回は、近年話題となっている「性能設計」の枠組みについて、国内外土木・建築における考え方、適用事例を広くご紹介頂きました。
これまでの設計法をレビューした後、性能照査とは
構造性能(Structural Performance)>要求性能(Target Performance)
であり、『構造性能が要求性能を満足すれば(上回れば)設計照査が達成される』と定義されました。従来の設計法も、それぞれの要求性能(使用限界、終局限界、等)に対して、それぞれの指標によって構造性能(許容応力度、設計断面耐力、許容変位など)を規定し照査をしてきておりますが(図1)、性能照査とは、『多段階の性能と多段階の外力レベルを規定し、両者のセットにて規定される』点が異なるというものでした。地震時の性能規定の例として、多段階の耐震性能水準と多段階の地震動レベルで定義される性能マトリクスを紹介されました(図2)。また、「複合構造物の性能照査指針(土木学会)」、「鉄筋コンクリート造建築物の性能評価ガイドライン(建築研究振興協会編)」を性能設計の例としてあげられました。建築の集合住宅においては、様々な性能(構造躯体の倒壊等防止、損傷防止、等)が地震レベル(=耐震等級)によって規定されております(図3)。すなわち性能の良し悪しが商品価格や保険料に反映されており、身近なところに性能設計が浸透しつつあるというものでした。
さらに、東京会場においては、次世代の耐震設計として、地震リスクとリスクマネジメントに関するご講演もございました。宝くじの仕組みを例に、リスクマネジメントの概念を解説され、これも例題を交えたわかりやすい解説でした。
最後に、耐震工学が多くの固有技術を必要とする事から、「耐震工学のドリームチームの結成」を課題としてあげられました。各種の固有技術は、各専門家により非常に研究が進んでいるが、それらを結合した研究を進め、合理性と安全性を目指したいとまとめられました
参考文献
・ |
青戸拡起,吉川弘道:過大地震を考慮した鉄筋コンクリート橋脚の耐震安全性評価,コンクリート工学年次論文集,Vol.22,
No.3, 2000, pp.1309-1314 |
・ |
岩本 篤,青戸拡起,吉川弘道:RC橋脚の損傷期待値算定に関する一手法」,コンクリート工学年次論文集 第21巻第1号,pp.427-432,
1999. |
・ |
ホームページもっと知りたいコンクリート講座
http://c-pc8.civil.musashi-tech.ac.jp/RC/ |
講演日/講演会場
・2005年 9月22日(木)/東京会場
・2005年10月 7日(金)/名古屋会場 |
▲教授 吉川 弘道 氏
▲セミナー会場
▲図1
▲図2
▲図3 |