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LECTURE MEETING 2

■講師プロフィール

村山八洲雄[ムラヤマ ヤスオ]<工学博士、技術士(鋼およびコンクリート)>

専攻: 耐震工学、コンクリート工学
経歴: 鹿島建設(株)技術研究所を経て、現在、岡山大学環境理工学部環境管理工学科教授
受賞: 科学技術庁長官発明奨励賞、プレストレストコンクリート技術協会論文賞、斎藤記念プレストレストコンクリート技術研究奨励論文賞、等



■講演レポート

 村山先生は、現在、劣化したコンクリート構造物の耐荷性能に関する研究をされています。また、研究室では、UC-win/WCOMDUC-win/FRAME(3D) Advancedをご活用頂いております。今回は、劣化・腐食したコンクリート構造物の耐力評価に関する研究の現状、特に鉄筋腐食の影響に着目して既往の研究を中心にご紹介頂きました。

 鉄筋腐食の指標として腐食減量率((m0−mc)/m0、m0:腐食前の鉄筋質量、mc:腐食後の鉄筋質量)がよく使われています。これを指標に、腐食の進行に伴い(=腐食減量率が大きくなるほど)、鉄筋の降伏点・引張強さが低下するという既往の実験例を紹介されました。また、鉄筋の付着強度に関しては、一般に腐食減量率が小さい範囲では腐食の進行に伴い付着強度が増加することがあるようですが、さらに腐食が進行すると付着強度が低下すると考えられていると示されました(図1)。これは、発錆によって鉄筋表面が粗くなり、あるいは膨張圧によって定着能力が増加するが、腐食が進行すると腐食ひび割れが開孔して鉄筋に対する拘束力が減少し、さらに鉄筋の層状剥離、鉄筋節の欠損が著しくなって付着強度が低下するため、というメカニズムによるということです。

 次に、RC部材の曲げ耐力、せん断耐力に与える影響および評価方法について、既往の例を紹介されました。鉄筋が腐食したRCスラブや梁の曲げ耐力については、腐食の進行に伴い低下することが既往の研究より明らかにされており(図2)、原因は鉄筋の付着力の低下とされています。そこで、付着力が著しく低下した状態を想定した、アンボンドRC部材に関する研究が行われる様になったそうです。その成果から、アンボンドRC部材の特性をよく表す例として、Eyreらの単純支持梁(中央1点載荷の場合)の、曲げ耐力比−アンボンド長に関するノモグラムを紹介されました(図3)。たとえば、鉄筋比が1%、鉄筋降伏点300N/mm2、コンクリート強度21N/mm2の場合、Φが約0.1となり、スパンの半分ほどがアンボンド化すると耐力比は約0.5、すなわち付着が完全(=健全)な場合の曲げ耐力に比べ、腐食後は約半分の耐力になるというものです。

 一方、アンボンドRC部材はせん断破壊が起きないという既往の実験結果を紹介されました。現在、村山先生もこれに関し数多くの実験をされています。その結果、完全付着(=腐食がないと想定)RC梁がせん断破壊型であっても、アンボンド(=鉄筋腐食を想定)RC梁がせん断破壊を起こさない事を実験により確認されています。このメカニズムの解明に、弊社も微力ながらご協力させて頂いております。今後の研究成果にご期待ください。



参考文献
山住・宮本・佐藤:鉄筋を腐食させたRCはりの劣化状態と耐力について,コンクリート高学年次学術論文報告集 No.49,pp.732-737,1990
Al-Sulaimani,M .Kaleemullah, I. A. Basunbul, Rasheedbussafar:Influence of Corrosion and Cracking on Bond Behavior and Strength of Reinforced Concrete Members,ACI Structural Jornal,March-April,pp.220-231,1990
J. R. Eyre nad M. A. Nokhastech:Strength assessment of corrosion damaged reinforced concrete slabs and beams,Pro. Instn Civ. Engrs Structs & Bldgs, pp.197-203,1992


講演日/講演会場
 ・2005年 9月28日(水)/大阪会場

▲教授 村山 八洲雄 氏


▲セミナー会場


▲図1 Sulaimaniらの文献より


▲図2 山住らの文献より


▲図3 Eyreらの文献より
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