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擁壁の設計のなぜ? 解決フォーラム
擁壁工指針改定に関する質問
 
平成24年度の擁壁工指針改定にあわせまして「擁壁の設計」でも対応を行いました。この改定に対する対応内容についてお寄せ頂いたお問合せについて紹介いたします。
 支持力検討時の有効載荷幅に偏心が考慮されず、有効載荷幅=底版幅となっている。
擁壁工指針 平成24年7月(以下、擁壁工指針H24)では、支持力に対する検討について、いくつかの変更が行われています。有効載荷幅に関する変更についてはP.67で言及されています。内容としては、荷重の合力の作用位置が擁壁底面の中央より後方にある場合には、許容支持力度及び地盤反力度とも有効載荷面積は擁壁底面積とするというものです。通常、擁壁の地盤反力度計算では有効載荷面積を考慮しませんが、P.119に地盤反力度の検討時における許容支持力度や最大地盤反力度の扱いついて記載されており、許容支持力度を静力学公式から求めた場合には、全鉛直荷重を有効載荷幅で除したものを地盤反力度とすることになっています(解5-14)。

そのため、擁壁工指針H24準拠時に後方偏心した場合、許容支持力計算に用いる有効載荷面積(有効載荷幅)は擁壁底面幅と等しくなります。また、この許容支持力と地盤反力を比較する場合、地盤反力度=全鉛直荷重/擁壁底面幅となります。許容支持力,地盤反力度以外の照査では従来通りの有効載荷幅となるため、照査ごとに有効載荷幅の値が異なることがあります。

■図1 地盤反力度の照査の出力例
 改定によりレベル2地震動による照査が追加されているがプログラムで照査可能か
擁壁工指針H24のP.95では、地震動の作用に対しては震度法等の静的照査法に基づき照査を行えばよいとされています。また、P.96に掲載されている解表5-1の設計水平震度の標準値は、従来の擁壁工指針に掲載されているものと同じです。つまり、擁壁工指針H24における「レベル2地震動」は、従来の「大規模地震動」と同じものと考えられます。そのため、プログラムでは道路橋示方書等の地震時保有水平耐力法(以下、保耐法)による照査ではなく、従来の大規模地震動による静的照査方法を採用しています。

尚、本プログラムは、保耐法照査が可能なプログラム「基礎の設計計算」,「杭基礎の設計」との連動機能を有しておりますが、上記理由から連動時にも保耐法照査を利用することはできません。

地盤種別
I種 II種 III種
レベル1地震動 0.12 0.15 0.18
レベル2地震動 0.16 0.2 0.24
■擁壁工指針H24の設計水平震度の標準値
 従来の擁壁工指針同様に、8m以下の擁壁では地震時照査を省略してもよいか。
擁壁工指針H24のP.89では、地震動の作用に対する照査が行われていなくても常時の作用に対する照査を満足し、施工を綿密に行っておけば被害が限定的であり、ある程度の地震動に耐え得ることが認められているとされており、また、高さ8m以下の擁壁で常時の作用に対して、擁壁の安定性と部材の安全性を満足する場合には、地震動の作用に対する照査を行わなくてもレベル1地震動に対して性能2を,レベル2地震動に対して性能3を満足するとされています。これは、従来の考え方と同じと解釈することができます。

しかしながら、地震時の安定検討を省略してもよいという明確な記載はありませんので、設計者の判断により決定してください。

尚、従来の擁壁工指針では、8m以下の擁壁における地震時の土圧には、常時の土圧を準用してよいという記載がありましたが、擁壁工指針H24では、P.56に地震時土圧を考慮することが明記されており、この点については考え方が異なるため注意が必要です。

擁壁の安定性と部材の
安全性を満足する照査
満足するとみなせる要求性能
レベル1地震動 レベル2地震動
レベル1地震動 性能1 性能3
レベル2地震動 ---------- 性能2
8m以下での常時の作用 性能2 性能3
■地震時に満足するとみなせる要求性能

     
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(Up&Coming '13 秋の号掲載)
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