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 Maxsurf 総合情報 Vol.30

バージョンアップにより変更・追加された機能について解説します。
今回は、前回に引続き、バージョン18のリリースに伴う機能の変更・追加です。

 Maxsurf Stability

確率論的ダメージ分析の作業流れ
確率論的ダメージ分析は、多くの設定が互いに依存し合っているため、分析の手順をある一定の骨子に沿った形で進めるのが好ましいでしょう。

確率論を用いたダメージ復原性計算の手順
・船体のモデリング
・コンパートメント定義
・ダメージのサブディビジョン定義
・各ダメージコンディションにて大角度復原性を計算し、存続確率を求める
・全てのダメージコンディションを合計し、サブディビジョンインデックス(A)を求める
・ A < Rなら、コンパートメントを変更する

ダメージスペース定義
ダメージゾーン、ロンジバルクヘッドそしてデッキが定義されると、パレントダメージスペースは自動的に生成されるということに注意して下さい。

ダメージケースの生成
“List Prob.dam. case”ファンクションは、既存の全ての確率論的ダメージケースを削除し、新しいダメージスペースを基にリストを生成し、全てのダメージケースが評価の対象となります。これにより、何か変更が行なわた場合、このコマンドを使う前に、現況のテーブルをコピーしてスプレッドシートに残しておくことをお勧めします。

確率論的ダメージ分析の予定されている変更点
確率論的ダメージ分析のアップデートと変更が多く予定されています。

進行型浸水(Progressive flooding)および浸水の途中経過
浸水の途中経過の分析(部分的浸水のルールが可能:つまり、ルームの水線が船外の海水面より低い)を可能にするために、現在開発が行なわれています。現況のダメージ分析同様、浮力損失法が使われます。進行型浸水分析は、ルーム間の浸水移動を可能にします。浸水の途中経過分析が可能になれば、複数のルームを連続して部分的に浸水させることにより、進行型浸水分析が可能になります。なお、ダメージルームの流量率を考慮した、タイムドメインベースのシミュレーションの追加は、まだ予定はありません。

画像をクリックすると大きな画像が表示されます。
■図1 確率論的ダメージ復原性解析は、
全ての客船と80mを越えるドライカーゴに適用される
■図2 Maxsurf では、確率論的ダメージ復原性解析の
複雑な条件設定の入力を、
視覚的に確認しながら行なうことができる
画像をクリックすると大きな画像が表示されます。 画像をクリックすると大きな画像が表示されます。
■図3 客船のモデリングで、
航走波の波形をシミュレーションし表示したもの
■図4 Maxsurf Stability による、
GZ カーブ出力


 バリシップ2013

2013 年5月23日〜 25日
愛媛県今治市テクスポート今治
バリシップ2013が、海事産業の集積地として知られる愛媛県今治市で2013年5月23日〜25日の3日間開催されました。2年に1回のペースで今回が3回目の開催、会場は前回と同じく港に近い今治市郊外で、テクスポート今治と隣接する旧今治コンピュータ・カレッジです。


FORUM8は、展示ブースで3次元船舶設計ソフトウェアMaxsur f、3次元構造解析ソフトウェアMultiframe、UC-win/Road、避難解析E XODUSの展示デモの他、船舶シミュレータの体験デモを行い、セミナー会場では「3D船舶CAD、Maxsurf最新機能」と題しましてプレゼンテーションを行いました。

セミナーではMaxsurfの注目の新機能であるMaxsurfスタビリティーを使った、ダメージスタビリティーの確率論的解析の紹介でホットな話題提供を行った他、UC-win/Roadによる船舶避難シミュレーションやVR-CloudRの紹介を行いました。
展示ブースではMaxsurf/Multiframeの開発者である、Phil Christensen氏が質疑応答で対応し、設計者の方にはまたとない機会になったことと思います。Maxsurfは船舶設計ソフトとして、直感的でわかりやすいインターフェースによるモデリングのしやすさ、優れたコストパフォーマンス、解析機能を持っており、ブースでの説明で改めてその良さをアピールできたのではないかと思います。

UC-win/RoadによるVRシミュレーションにも多くの方にご興味を持って頂き、maritimeEXODUSによる避難解析結果の可視化、船舶シミュレータによる船員の訓練や、モーションプラットフォームとSeakeeperを組み合わせた提案などに関心を持って頂いた他、UC-win/Roadによる船荷の積み込みのシミュレーションを行いたいという方が何社かあり、UC-win/Roadの多方面への応用可能性を示すことができました。

最終日は一般開放されるため子供連れの家族が多く、船舶シミュレータはゲームマシンと化していました。

固い内容の展示が多い中、一般の方にも喜んで頂けたのではないかと思います。会場には今治市のマスコットキャラで、ゆるキャラの人気投票で日本一になった「バリィさん」も応援に駆け付け、会場のあちこちに出没して人気を集めていました。フォーラムエイトでは今後も船舶設計ソフトの販売と、UC-win/Roadや解析ソフトとの連携によるVRソリューションを展開して参ります。



 Maxsurf ユーザー会

2013年5月24日
今治市ケーオーホテル

バリシップ会期の中日である5月24日の午後、バリシップ会場から車で15分ほどのケーオーホテルでMaxsurfユーザー会を開催致しました。会場からはホテルから送迎バスが出ていたので、距離の不便さはありませんでした。

初めに株式会社臼杵造船所の山本様より「Maxsurfを用いた実船における作業例」と題しまして、実際の活用例を中心にご講演頂きました。ユーザー会の参加者には購入されたばかりの方もおられしたが、それ以外の方からも使い方のポイントが実例を通してよくわかった、と好評でした。

開発者のPhil氏からは、Maxsurfの新機能を中心に実際に操作を行いながら事例紹介を行い、わかりやすい内容でした。個別対応を含め、活発な質疑応答もあり、参加された方には有意義な時間を過ごして頂けたのではないかと思います。

FORUM8からは、最新のVR活用提案としてVR-CloudRを使った提案をご紹介しました。今後も、このようにユーザー様の事例紹介や、開発者、専門家と直接相談ができる場を設けて行きたいと思いますので、これからも是非積極的にご参加頂ければと思います。



 Maxsurf ユーザー懇親会

ユーザー会に引き続き、部屋を移して懇親会を開きました。総勢14名とこじんまりした懇親会で、皆様同業者ということもあり、開発者のPhil氏を交えて、打ち解けた気さくな雰囲気の中、食事や歓談を楽しまれていました。

ケーオーホテルは全室、構造やデザインが異なっていて、パティオ(中庭)もある静かで瀟洒なヨーロッパ風のホテルです。湯の浦温泉にあり、保養地でゆったりと過ごすには素晴らしいホテルだと思います。機会があったら一度ご利用してはいかがでしょうか。懇親会は、開発者やサポート技術者も含めた有意義な情報交換の場にもなりますので、今回参加されなかった方も、是非次回はご参加頂ければと思います。


     
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(Up&Coming '13 夏の号掲載)
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