誌上VR講座は今回で最終回となります。ここでは、ぜひ押さえておきたいインターネット技術の基本を紹介します。
●プロトコルとIPアドレス
複数のPCを接続してデータ通信を行う際の約束事や手順を定めた規約を通信プロトコルと呼びます。インターネットの基本プロトコルとしては「TCP/IP」が最も普及しています。これは各種ベンダのPCや異なるOS間でも相互通信が可能となり、Windows系のOSでも標準プロトコルとしてプレインストールされています。
TCP/IPの特徴は、データをパケットという小さなかたまりに分割し、IPヘッダ(宛先)を付加して通信を行なう点です。
一方、IPアドレスはインターネットに接続されたPCを識別するための番号です。この宛先に向けてTCPでは、アプリケーションから渡された荷物を配送に適したサイズのパケットに分割して仕分けしたり(セグメント分割)、誤配送や遅延配送がないように管理しています。
IPアドレスは、通常のインターネット接続ではDHCPサーバ機能などにより自動的に割り振られるため、意識する必要はありません。しかし、LANのようにファイルやプリンタの共有など個々のマシンに依存することがある場合は、IPアドレスを固定したほうが便利なため、自動割り振りではなく、固定して使うこともあります。
なお、TCPでは送達確認や送受信スピードの調整まで行いますが、その面倒な手順を省き、信頼性より高速処理を優先したUDPというプロトコルもあります。これはデータを一方的に配送して終わるもので、機器管理のための複数マシンへの一斉同報や、ごく小さなパケット通信のほか、高速化やリアルタイム性が要求されるストリーミング・データの通信に使用されます。たとえば、インターネット電話のように多少のデータ欠落は無視してリアルタイム性を重視する通信や、動画配信のように処理の軽さや高速性が重要で、アプリケーション側で送受信スピードを調整するような場合です。
また、無線LANによる遠隔操作が可能なほか、PCを使用せず内蔵のインタフェースのみの操作での計測も可能となります。こちらもClass1のレーザーを使用しています。
●HTTPとFTP
HTTPはHyperText Transfer Protocolの略で、WebブラウザとWebサーバの間でホームページなどのコンテンツの送受信に用いられる通信プロトコルです。一方FTPはFileTransferProtocolの略で、ファイル転送に特化したプロトコルの一種です。インターネット上でファイルを交換する代表的な仕組みであり、HTTPなどに比べてサーバへの負荷が少なくなっています。
FTPサーバでファイルの保存と管理を行ない、利用者はFTPクライアントと呼ばれるソフトウェアを使ってデータのアップロード・ダウンロードを行います。
アプリケーション層 |
http |
ftp |
telnet |
ntp |
nfs |
トランスポート層 |
TCP |
UDP |
ネットワーク層 |
IP |
ネットワークアクセス層 |
PPP、PPPoE |
●ポート番号
TCP/IPによるネットワーク通信では、IPアドレスをPCを特定するための住所とすると、ポート番号はサービスを特定するための番号であり窓口のようなものです。通常、サーバでは複数のサービス(プログラム)が動いており、ポート番号が分けられています。ポート番号により、同じIPアドレスのPCで違うサービスを同時に利用可能となります。たとえば、サーバが「192.168.0.10」というIPアドレスでFTP、www、telnetの各サービスを提供していたとします。wwwを利用してホームページを閲覧する場合は、ポート80にhttpプロトコルで接続します。Webの利用はポート80と決まっているため、クライアントは何もしなくてもポート80にアクセスします。インターネット利用時にポート番号を意識しないのは、各ソフトが適切なポートへ自動的にアクセスしているためです。
●UC-win/Roadのfor SaaSのHTTP構造
弊社で提供しているUC-win/Road for Saasのサービスでは、Remote AccessプラグインのHTTP部分は下図のような構造により実装しています。サーバとクライアントの通信プロトコルはHTTPを使用し、接続後サーバからFlashクライアントへ映像を流して操作コマンドを受け付けます。映像の転送はFlash対応のH263形式で行い、解像度・圧縮の品質を設定できます。クライアントとの接続が遅い場合はフレーム更新レートを自動的に下げるようにしています。
最後に、本講座はこの12回目をもって終了いたします。これまでご愛読ありがとうございました。本講座の執筆を担当した観音寺菜穂美は、この度福井工業高等専門学校にて特命准教授を務めることとなりました。なお、次回からは新シリーズとして、書籍「土木建築エンジニアのためのプログラミング入門」をベースとした講座がスタートしますので、どうぞご期待ください。
|
参考文献: 『コンピュータグラフィックス』、CG-ARTS協会(財団法人画像情報教育振興協会) |
|
(Up&Coming '10 晩秋の号掲載) |
|
|
>> 製品総合カタログ
>> プレミアム会員サービス
>> ファイナンシャルサポート
|