|
RTLS (Real Time Location System) |
IT TERMS INFORMATION
2019-No.1 |
|
|
|
|
|
|
RTLSとはReal Time Location Systemの略で、リアルタイムの位置情報システムです。様々な目的に応じたシステムがありますが、一般的には屋内で使用され、測定の対象となるものにタグを取り付け、その範囲(建物等)に設置したセンサー(アンカー)で、そのタグの三次元の位置をリアルタイムで検出するものです。
この技術は、生産管理や物流の管理、安全管理等様々な用途に応じて活用できます。例えば、倉庫や工場内での部品・商品、病院での機器やスタッフといったトラッキングのために使用されています。そのコンセプトや設計によって、UWB、RFID、GPS、Bluetooth、Wi-fi等様々な技術が使用され、それぞれに特徴やメリット・デメリットがあります。今回はUWBを使ったRTLSについて説明します。
|
UWB |
Bluetooth |
Wi-Fi |
GPS |
RFID |
使用場所 |
全対応 |
狭範囲・屋内 |
主に屋内 |
屋外のみ |
屋内のみ |
初期費用 |
やや低 |
中 |
やや低 |
低 |
高 |
精度 |
約30cm |
約3m |
5m以上 |
3m/1m |
位置追跡
不可 |
対応規模
(タグ数) |
多
(1千個) |
少
(数十個) |
中
(100個) |
広
(無制限) |
広い
(1万個以上) |
安定さ |
良 |
干渉次第 |
干渉次第 |
良 |
干渉に弱い |
UWB(ウルトラワイドバンド)とは超広帯域無線システムのことで、広い周波数の帯域を使用し、短い距離で高速な通信を行える無線通信技術です。本来は米軍の軍用技術として開発が行われていましたが、現在では一般でも利用できます。日本では3.4〜4.8GHz(干渉回避技術の搭載が必要)と7.25〜10.25GHzの帯域が利用可能です。主な特徴として次の点が挙げられます。
- 位置検出の精度
- 通信の安定さ、高速通信
- 低消費電力
位置検出の精度はとても高く、誤差は数cm程度です。通信は近距離用で、広い帯域を利用するため非常に高速であり、各周波数帯域の電波は弱いため別の無線機器への妨害も起きにくく、安定性があります。また、送信出力が抑えられていることなどから、消費電力も削減できます。
2013年、センサー用途UWBの精度緩和に関する電波監査審議会で電波法が規制緩和され、これによりUWBを使用したRTLSが屋内に限り使用できるようになりました。
UWBを使用したリアルタイム位置情報システムでは、狭い個室はもちろん複数のエリアで構成されるビル、巨大倉庫、公園やイベント等の広い範囲まで、アンカーの数によってカバーすることができます。また、Wi-fi、Bluetooth、RFID等と比べて高精度な上、導入費用が抑えられます。
UWB以外の技術と比較すると、位置検出の精度や通信の安定さがメリットですが、UWBのシステムを利用するにはインフラの設計が必要になります(アンカーの設定、接続)。また、かなりの広範囲(例えば市全体)にわたってUWBを利用することは難しいです。
その場合には技術を混合させたRTLSを利用できます。例えば、屋外での広領域ではインフラ設定が必要ないGPSを使用し、建物の中あるいはGPSより細かい位置情報が必要なところではUWBを使うという使い分けができます。
弊社ではUWBシステムを利用したRTLSを開発しました。まずアンカーを設置し空間にメッシュを作り、タグは人や物に付けます。各アンカーはタグへの距離・周辺の距離などを取得して、その情報をサーバーに送信、そこでタグの3次元位置が計算されます。ゲートウェイを設定し、インターネットからタグの位置にアクセスすることも可能になっています。この位置情報システムは、Design
Festival 2018でも紹介し、NAB SHOWやSIGGRAPH Asia 2018等の展示会でも展示・紹介を行っています。今後の展開にぜひご期待ください。
|