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マイグレーション (migration) |
IT TERMS INFORMATION
2018-No.2 |
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皆さんは「マイグレーション(migration)」という言葉をご存知でしょうか。もともとは「移動」「移住」「移植」などの意味を持ち、ある場所から別の場所に拠点を移すといった概念を表している単語で、こういった背景からITの世界では、プログラムやデータ資産を、旧来の基幹システム、ハードウェア、OSなどといった環境から、新たな環境で利用できるように移行して切り替えることを指しています。
マイグレーションでは蓄積されたノウハウやデータをそのまま活用できることから、一から新規開発を行う場合と比較すると、従来の資産を有効に使って品質を維持できること、システムそのものを停止することなく作業を行いマイグレーションが完了すればすぐにシステムが利用できること、導入するにあたって必要な教育コストの低減などといった利点があります。
マイグレーションには、ソフトウェア・アプリケーションを移行する場合、ストレージを移行する場合、データベースを移行する場合といったように、移行の対象によっていくつかの種類があります。ストレージ移行の場合は、記憶装置そのものを仮想環境に移し替える方法が多く取られています。データベース移行の場合には、フォーマットが変わるため変換作業が必要になります。
また、既存のクローズドなシステムからオープン環境へと移行する場合を、特に「レガシーマイグレーション」と呼び、クラウド化の進展に伴って注目されています。
オープン環境は拡張性が高く、システムの修正や変更・追加も柔軟に行えるため、IT技術の進歩によってビジネスにおけるスピードが重要視される現在の状況にマッチしています。また、常に最新のハードウェア・ソフトウェア環境で利用できるようになる点や、管理コストが削減できることも大きなメリットといえます。IT分野ではTCO(Total
Cost of Ownership。システム導入・維持管理の総額コストを指す)という概念がありますが、現行システムをベースにすることでイニシャルコストを、小型化によってハードウェアのランニングコストを抑えられるため、このTCOの低減にもつながります。
レガシーマイグレーション実施の手法にはいくつかの種類があり、目的や状況に応じて使い分ける必要があります。主なものとしては、メインフレームを残しつつ標準インタフェースに対応させることで外部のシステムからアクセス可能とする「ラッピング方式」、従来のプログラムをオープン系のプラットフォームへそのまま移行させる「リホスト方式」、従来の仕様をもとにしてアプリケーションを新たに開発する「リビルド方式」、プロセス自体を新たに再構築する「リエンジニアリング」などがあります。
最近ではAIやIoTの技術が進展し、ビッグデータのリアルタイム活用といった需要も大きくなっています。こういった流れに対応する上で仮想化技術は欠かせないものとなっており、サーバの統合や移行、クラウド化などにおいてマイグレーションが適用される機会も増大しているといえます。
現在フォーラムエイトでも、ビッグデータへの対応方針として、UC-win/Roadのクラウド機能を拡張開発中です。従来のVR-Cloud®ではWindowsおよびAndoroid OSに対応していましたが、この開発によりオープン環境に対応し、さらにリアルタイムで地図基盤情報などのデータベースとも連携することで、VRプラットフォームを推進していく予定です。同様に土木設計CAD UC-1シリーズでも、オープンプラットフォームへの対応とクラウド化の開発を進めており、今後は3DVR、設計、維持管理ソリューションのマイグレーションによって、さらにシナジーの強化も図っていきます
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▲オープンクラウドへのマイグレーションの例 |
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