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 FORUM8 デザインフェスティバル 2011-3Days
 (FORUM8 Design Festival 2011-3Days)

●日時 :2011年11月15〜17日 ●開催地 :品川フロントビル会議室(Day2・3)
●後援:CG-ARTS協会、建通新聞社、新建築社、IAI日本
(Up&Coming 2012年1月号)


進化する技術・高度化するニーズを反映
内外のチャレンジングな研究や提案、震災考慮の発表も


2011年11月15〜17日の3日間、フォーラムエイトは「FORUM8 デザインフェスティバル 2011-3Days」を開催いたしました。

もともと個別に実施されていたイベントを段階的に統合し、現行の3日間にわたる「デザインフェスティバル」として再編以来、今回で3年目。このフォーラムエイト主催による年間を通じて最大のイベントでは、年々進化する技術を反映、高度化する業界のニーズに対応した新たなトピックスや試みを積極的に採り入れてきています。

そこで今回は、従来からの「3D・VRシミュレーションコンテスト」にVR-Cloud(R)の機能を導入。また、「UC-win/Road協議会」および「国際VRシンポジウム」から成る「VRコンファランス」、「デザインコンファランス」の開催と併せ、「Virtual Design World Cup(第1回学生BIM&VRデザインコンテスト オン クラウド)」の表彰式を実施。新製品や新サービスに関する展示、書籍出版披露など、多彩な催しを行っています。

フェスティバル全体の構成と各イベントの位置づけ

今回「デザインフェスティバル」のDay1は、「第10回 3D・VRシミュレーションコンテスト オン・クラウド」。これは、会場でプレゼンテーションから審査、表彰まで行ってきた従来の手法を刷新。応募作品の中からノミネートされた10作品に対し、VR-Cloud(R)の機能を利用して事前にWeb上での公開・一般投票を実施。当日はフォーラムエイト東京本社にて、選考委員が審査。その結果と一般投票の結果を総合し、各賞を決定しました。

Day2は会場を品川フロントビルに移し、「VRコンファランス」を開催。午前は第12回目を迎えた「UC-win/Road協議会」。午後の「第5回 国際VRシンポジウム」では、初めに「第10回 3D・VRシミュレーションコンテスト オン・クラウド」および「Virtual Design World Cup(第1回学生BIM&VRデザインコンテスト オン クラウド)」の各受賞作品の紹介と表彰式を実施。次いで、特別講演を挟み、同コンファランスのクロージングは「World 16」による研究発表、という多彩な構成でした。

その後は同ビル内の別の会場で、エンジニアのOpenGLプログラミング入門書として企画された「先端グラフィックス言語入門〜OpenGL Ver.4 & CUDA〜」(フォーラムエイトパブリッシング刊)の書籍出版披露も行っています。

デザインフェスティバル最終日のDay3は、「第5回 デザインコンファランス」。今回は会場を2つに分け、会議室Aでは終日<土木・解析セッション>、会議室Bでは午前が<建築・BIMセッション>、午後が<水工セッション>という構成で展開されています。

Day2・Day3の2日間にわたり、会場内で熱気に満ちた発表やディスカッションが繰り広げられたのと並行し、6Kマルチクラスタデジタルサイネージ、ドライブシミュレータ、3D・VRクラウドなどに関する展示や体験のコーナーが設置され、注目を浴びていました。

今回デザインフェスティバルを構成する各イベントの概要ついては、以下にご紹介します。

■Day2・3会場の品川フロントビル会議室 ■展示コーナーの様子


Day1  第10回 3D・VRシミュレーションコンテスト・オン・クラウド

 講演ムービー公開中! 講師の方々による講演発表の模様を視聴できます。

クラウドによる新しい試み

「FORUM8デザインフェスティバル2011-3Days」1日目の2011年11月15日、第10回「3D・VRシミュレーションコンテスト オン クラウド」をフォーラムエイト東京本社セミナールームにて開催しました。

UC-win/Roadのソフトウェア・プロダクト・オブ・ザ・イヤー受賞(2002年)を機に創設され、10回目を迎える本コンテストでは、ノミネート作品をクラウドで公開して投票・最終審査を行うという新しい試みとなりました。

前回に引き続きの傘木宏夫氏(NPO法人地域づくり工房)・関文夫氏(日本大学)小林佳宏氏(アリゾナ州立大学)の3名に加えて、新たに稲垣竜興氏(道路・舗装技術研究協会 理事長)が選考委員を務め、本選に先立つ11月4日に選考会を実施。全16作品の中から上位10作品がノミネートされました。

ノミネート作品は5分未満のスクリプトとシナリオでVR-Cloud(R)により公開され、11月8日から11月14日の間に一般投票を実施。11月15日の審査員による最終審査作品選定では、一般投票による順位点および特別賞順位点により、一般投票が70%、当社選考委員が30%の重み付けで集計を行った上で各賞の決定となっています。なお、表彰式は「FORUM8デザインフェスティバル2011-3Days」2日目の11月16日に行われました。

■ノミネート選考会の模様 ■ノミネート作品発表の模様 ■VR-Cloud(R)を用いた審査


受賞作品


 グランプリ
 「運転設備設置位置検討システム」
 独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構 
鉄道の信号機標識類は、運行の安全確保のため、所定位置で乗務員等の視点から視認性確認が求められるが、列車検証が設計段階で可能になれば、設置後に移設するリスクが軽減できコスト節減も図れる。本システムは、 鉄道線路の新設・改良にあたって、乗務員等からの信号機標識類の視認性を、VRにより確認するものである。

※このムービーには音声が含まれております。
スクリプト「概要」を実行すると、駅周辺の様子や運転視点での走行を見ることができます。
景観位置「停止限界標識」「地上信号機」で、配置された信号標識類の一例を見ることができます。

 優秀賞
 「VICSドライブ・シミュレータ」
 財団法人 道路交通情報通信システムセンター
渋滞や交通規制などの道路交通情報をリアルタイムで送信し、カーナビゲーションなどの車載機に文字や図形で表示する画期的な情報通信システム「VICS=VehicleInformation and Communication System」が体験できるシミュレータ。ITSスポット、DSSSサービスも体験可能である。

※このムービーには音声が含まれております。
実行スクリプト:「コース紹介」を実行してください。
概要:各コースの概要説明と、景観を確認することができます。
景観視点で各コースにジャンプすることができます。

 アイデア賞
 「仮面ライダー サイクロンレーシングシミュレータ」
 東映 株式会社 
襲い来るショッカー軍団と迫り来る無数の岩石と炎をくぐり抜けゴールを目指すレーシングゲーム。さらに、得点ランキングのほか、途中ライダージャンプもあり、仕掛けの楽しいコンテンツとしてWヒーローフェスティバルに来場した子供たちを熱狂させた。

※このムービーには音声が含まれております。
UC-win/Roadの機能をゲーム作成に活かしており、主にシナリオ機能を利用してゲームシステムを構成。障害物への接触やメニュー画面の表示、炎の表現、音声の再生など、荒れ地をイメージしたコース上に多彩な要素を配置している。

 エッセンス賞
 「ITSドライビングシミュレータ」
 株式会社 アムラックストヨタ
高度な自動車関連技術であるITSについて、わかりやすく体験いただくことを目的として開発されたシミュレータ。高速道路上における最新のインフラ協調システム「ITSスポットサービス(DSRC)」が体験できる。運転シミュレーションの体験後には運転内容の診断結果も表示され、家族連れや仲間同士でも楽しめる内容となっている。

※このムービーには音声が含まれております。
スクリプト「コース紹介」を実行すると、池袋から飯田橋までの架空の道路コース全体を確認することができます。コンテキストの切り替えを行うと、天気や路面の反射など気象設定を切り替えることができます。

 開発賞
 「自転車シミュレータ」
 徳島大学 大学院 
UC-win/Roadとアイマークレコーダーや頭部姿勢センサーを連携させ、多様な実験条件が構築可能な自転車シミュレータ。各種サインのサイズや掲出間隔の違いによる見込み角、視認時間が自転車視認に与える影響、架空看板や看板柱、矢羽根やピクトなど路面表示の有効性を確認するための実験で活用されている。
スクリプト「Cycling」実行で、自転車シミュレータの概要紹介と、周辺景観の確認を行うことができます。また、景観視点「sign 01」〜「sign 06」で、自転車用案内標識の配置状態を確認することが可能です。

 審査員特別賞 地域づくり賞
  NPO地域づくり工房  傘木 宏夫 氏
 「通学路整備計画シミュレ−ション」
 株式会社 巽設計コンサルタント
通学路である当該区間は、周辺が森林地帯で日中も暗く死角が多いため、安心・安全な道とする目的で、地域住民を交えワ−クショップを開催した。ル−ト選定では、図面に不慣れな人もイメ−ジしやすいようUC-win/Roadを利用し、出入口部で運転者の死角とならないかを検証するシミュレ−ションにも使用した。結果、ワークショップ最終回では全5案からスム−ズに第1案の採用が決まった。

※このムービーには音声が含まれております。
実行スクリプト:「説明用スクリプト」を実行してください。
概要:既存階段と計画階段の全体俯瞰と計画階段の上り下りルートを走行します。
景観:Before/After → 設計後
景観位置は、7番8番を是非ご覧ください。

 審査員特別賞 デザイン賞
   日本大学 理工学部 土木工学科 関 文夫 氏
 「ハンター・エキスプレスウェイの3D・VRシミュレーション」
 ニューサウスウェールズ州交通省(オーストラリア)  
ハンターエクスプレスウェイは豪ニューサウスウェールズに建設中の高速道路である。本データには全長40kmの道路、6本のインターチェンジと接続された地方道、周辺の歴史的な鉄道路線向けに新設された橋のトラス等が含まれ、想定される交通量データも設定されており、計画の利害関係者によるプレゼンテーションや土地権利者との会議などで利用された。
スクリプト「About the Hunter Express way」で、Hunter Express wayの概要説明を見ることができます。景観視点にて各ポイントを確認することができる他、コンテキスト「Temp」にて、温度表現を変更できます。また、道路の走行機能で「HunterExpressway-West」や「HunterExpressway-East」を選択すれば、広大なHunterExpressWayを走行することができます。是非お試しください。

 審査員特別賞 グッドコミュニケーション賞
  道路・舗装技術研究協会  稲垣 竜興 氏
 「交通結節点改善事業における合意形成のためのVRシミュレーション」
 旭測量設計 株式会社
K市S地区の交通結節点改善事業においては、公共交通利用者の利便性向上のための電停移設による結節強化、幹線道路の通行車両の走行性向上、放置自転車対策のための駐輪場整備などがある。このVRは、県・市・警察・鉄道事業者・コンサル・施工業者など、さまざまな関係機関との協議の場において、合意形成を目的として活用された。
スクリプト「概要」を実行すると、駅前の様子、乗り換えルート、夜の景観などを確認できます。任意切り替えの場合は、コンテキスト「照明OFF」「照明ON」で昼と夜を切り替え、景観位置1〜4などで歩道橋の各所を確認することができます。電車通りを昼夜の景観で走行し、交差点や歩道橋の見え方などを是非ご確認ください。


Day2  第12回 VRコンファランス

広がる3D・VR技術利用の可能性 3D・VR関連コンテストにクラウド技術導入


デザインフェスティバルDay2は「VRコンファランス」として、午前が「第12回 UC-win/Road協議会」、午後が「第5回 国際VRシンポジウム」という構成により品川フロントビルで開催されました。
そのうち前半の「UC-win/Road協議会」は、「UC-win/Road」のリリースを機に2000年からスタート。「VR-Studio(R)」が2009年にリリースされて以降は「VR-Studio(R)協議会」も兼ねる形となっており、今回で第12回目を迎えています。

■フォーラムエイト 代表取締役社長 伊藤 裕二


 第12回UC-win/Road協議会

 講演ムービー公開中! 講師の方々による講演発表の模様を視聴できます。

交通分野での各種利用と最新ツール

今回「UC-win/Road協議会」の皮切りは、九州大学大学院システム情報科学研究院教授の川邊武俊氏による「自動車の省エネルギー化制御、その将来展望 ―シミュレーション技術への期待―」と題する特別講演。同氏はまず、自動車の電動化・情報化の流れを背景に、次世代制御・運転支援システムのプラットフォームと、それをベースに情報を利用した走行方法の改善による省燃費化の考え方を提示。次いで、交通流や最適経路に着目し、運転支援システムによる省燃費化への制御工学的アプローチについて解説。その上で、ITSあるいは車載センサを用いた省エネルギー化運転支援システムの構成を提案。一方、その実用化に向けた効果検証法にはさまざまな課題があるとし、従来の車両実験の制約に対し、交通流シミュレータやドライビングシミュレータのメリットに言及。さらに、人と自動車、交通流の相互作用が可能なシミュレーションシステムの開発、それを利用した研究領域の拡大に期待を示します。

■九州大学大学院 システム情報科学研究院
教授 川邊 武俊 氏

 続く特別講演は、メカニカル・シミュレーション社商品企画ディレクターのトマス・ギレスピー氏による「CarSim、TruckSim、BikeSimとの連携による3D・VRの活用と将来展望」。同社は、車両力学シミュレーションソフトや工学ドライビングシミュレータ(DS)の分野に力を入れており、CarSim、TruckSim、BikeSimの開発元として知られます。同氏は、先の川邊氏による講演に触れながら、それらのソフトや人間工学を反映するDS、マーケティングシミュレータ、工学シミュレータ、など自社が提供する各種シミュレータについて解説。さらに、そこでの先進運転支援システム(ADAS)や高忠実度(high-fidelity)車両モデルへの対応といった開発コンセプト、将来のITS(高度道路交通システム)やCAMP(Crash Avoidance Metrics Partnership)などへの考慮、車両工学と土木工学との連携による新たな可能性に言及します。

■メカニカル・シミュレーション社
商品企画ディレクター トマス・ギレスピー氏

休憩を挟んだ3番目の特別講演は、アルパイン株式会社京浜開発室主幹技師の藤田謙一郎氏による「ITS対応カーナビの紹介とドライビングシミュレータの活用について」。同氏はまず、カーナビとITSに関する機能や普及動向を概説。次いで、ITSスポットに焦点を当て、その仕組みや多様なサービス内容、メリットを紹介。一方、情報化に伴うDriver Distraction(運転以外の行動にドライバーが注意散漫になること)などの課題に注目。社団法人日本自動車工業会のガイドラインなどがあるものの、個別判断に委ねられる部分もあり、その対応は自社の課題になると位置づけ。そこで、「注視」の概念を定量化するための視界遮断法(オクルージョン法)と運転挙動測定法という2つのパフォーマンス評価方法を例に、それらの差異を説明。併せて、その測定プロセスへのドライビングシミュレータ活用の有用性に言及しました。

■アルパイン株式会社
京浜開発室主幹技師 藤田 謙一郎 氏

続く「VRシミュレーションを活用した車両内部のパッケージ評価(HMD)活用」と題する特別講演は、亜州大学校産業情報システム工学部教授のパク・ポム氏。同氏はまず、自身がこれまで取り組んできた自動車や医療分野、あるいは近年ウェートを置くHCI(人間とコンピュータのインターフェース)に関する研究を含め、人間工学に根差す多彩な研究活動について解説。その上で、スマートフォンを使いながら運転した場合の危険性の確認、運転時の視界に対する自動車車内の設計の関係および視界への影響要因に関する研究で、UC-win/Roadを利用したシミュレーションについて詳述。とくに後者の実験では、VR自体を設計することで視界に影響する因子を検討でき、競争力のあるデザインに繋げ得るといった見方に言及。今後はVRの利用により視界性やモデルの評価のみならず、それに基づく定量化やガイドラインへの反映、さらには生体医療をはじめ他の分野への応用展開にも期待を示します。

■亜州大学校産業情報システム工学部
教授 パク・ポム 氏

特別講演を受けた最初のプレゼンテーションは、当社担当者による「UC-win/Road Ver.6新機能および8DOFドライビングシミュレータの開発」。UC-win/Road最新バージョンの新機能として、容易に多数の歩行者の動きを表現可能な歩行者群集シミュレーション、FBXモデル対応の拡張、ドライビングシミュレーションにおけるフォースフィードバックやタイヤ音の改善、SDKにカーナビ可視化のサンプルプラグイン追加、交通シミュレーションのリアル感の改善、IFCファイルの対応などデータ連携の拡張、津波解析ソフトウェアとの連携について説明。併せて、開発中の8DOFシミュレータの特徴や完成イメージを紹介しました。
今回「UC-win/Road協議会」最後のプレゼンテーションは、当社担当者が「鉄道信号機等設置位置検討支援システムの開発」と題して講演。独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構による受託で開発したUC-win/Roadベースの新システムに対し、開発の目的、システム概要、基本条件入力、視認性判定と調整、各種関連機能について解説しています。



Day2  第5回 国際VRシンポジウム

 第10回 3D・VRシミュレーションコンテスト オン・クラウド発表

 講演ムービー公開中! 講師の方々による講演発表の模様を視聴できます。

内外から多様なアプローチの提案

Day2「VRコンファランス」午後の部、「第5回 国際VRシンポジウム」の冒頭は、「第10回 3D・VRシミュレーションコンテスト オン・クラウド」の受賞作品の発表と表彰式。各賞の受賞は、Day1の選考委員による最終審査の結果、およびクラウドを介した事前の一般投票の結果を総合して決定されています(同コンテストの選考プロセスおよび内容の詳細についてはDay1の章をご参照願います)。

選考委員を代表して日本大学理工学部教授の関文夫氏は、今回の選考を通じ応募作品数はこれまでと同程度であったものの、大きなプロジェクトに関する適用例は少なかったと位置づけ。一方、景観シミュレーションや分析、合意形成といった従来のUC-win/Roadの使われ方に加え、新たに製品プロデュースやPRの分野に踏み出した作品が複数あったことに注目。同コンテストが始まって10年という節目に当たり、UC-win/Roadの本質的な使い方が問い直された、との見方を示しました。

 
■日本大学理工学部 教授 関 文夫氏による講評    ■コンテスト受賞者のみなさん


 Virtual Design World Cup〜第1回 学生BIM & VRデザインコンテスト オン クラウド〜 授賞式

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続いて、2011年にスタートした「Virtual Design World Cup 〜第1回学生BIM&VRデザインコンテスト オン クラウド〜」の授賞式が行われました。

これは、学生を対象とする国際デザインコンペ。フォーラムエイトのBIMやVRソフトを利用し、先進的な建築や都市をデザイン。作品のデザイン性、アイデアの先進性やユニークさなどを競うもの。今回設定されたテーマは「“SHIBUYA Bridge” ペデストリアンブリッジデザイン 〜新しい都市空間装置〜」。当社が提供する渋谷エリアのVRデータをベースに、歩道橋およびそれを中心とする建築、まちづくりを含むデザインが課題とされました。

最終作品は、スクリプトを設定した「VRデータ」と「コンセプト・ポスター」で応募することが求められました。10月1日〜31日の期間中に応募された作品に対し、11月4日にフォーラムエイト東京本社で最終審査。併せて、結果が発表されています。

授賞式に当たり、Virtual Design World Cup実行委員会委員長の池田靖史氏(慶應義塾大学大学院教授)はまず、今回コンペの新しい試みとして、作品を見るためにVRを利用した印象に言及。従来のようにポスターに描かれるパースを見た場合と、VRを見て感じた作品の印象は必ずしも同じではないとし、公共工事などのコンペのあり方は将来、今回のような手法にシフトしていくのでは説きます。また、今回の審査を通じ、BIMやVRの使い方を含む総合力か、あるいはアイデアの斬新性のいずれにウェートを置くかで悩ましい局面があったと述懐。今後は、BIMの活用により斬新かつ総合的にも優れた成果に繋がっていくことへの期待を述べます。

 
■実行委員会委員長 池田 靖史氏による講評   ■Virtual Design World Cup受賞者のみなさん


 第5回 国際VRシンポジウム

 講演ムービー公開中! 講師の方々による講演発表の模様を視聴できます。

「第5回 国際VRシンポジウム」最初の特別講演は、プロジェクションマッピング協会代表の石多未知行氏による「プロジェクションマッピングとその可能性」。最近、企業のプロモーション用あるいはパフォーマンスアートとしても注目されるプロジェクションマッピング。同氏はまず、複数例を基にそれぞれの演出法について解説。さらに、その基本的な仕組み、歴史、その特性に基づく利用シーン、具体的な実現プロセス、そこでの制約と必要な要素、今後の利用可能性に言及。こうした実情を背景とした協会の役割、最近の取り組みを紹介しています。

続いて、アンビエントメディア代表の町田聡氏が「3Dマーケティングの活用」と題して講演。3D映像の技術やマーケットの歴史、それらの最新技術の実情とそこでの新たな市場性といった観点から3Dマーケットの全体像を解説。その上で、3DARから3Dモバイル、さらにモバイル3DARへという流れに触れます。次いで、デジタルサイネージにフォーカス。その多様なメディアや利用目的を分類した後、3DARや3Dプロジェクションマッピングの活用例とそれらの効果を紹介。最後に、人間の欲求としての3D体験、3D映像・3DCG・3Dモバイルを組み合わせることによる3Dマーケット拡張の可能性、個々の3Dメディアの特質を理解することの重要性について説明します。

 
■プロジェクションマッピング協会
代表 石多 未知行 氏
  ■アンビエントメディア 代表 町田 聡 氏


 World 16発表

 講演ムービー公開中! 講師の方々による講演発表の模様を視聴できます。

「第5回 国際VRシンポジウム」後半は、同シンポのコアを成す「World 16」の発表が行われました。その前身となる「World 8」が組織化されたのは2007年。3D・VRモデリングの新たな針路を探ることを目的に、世界の建築・建設系研究者によるネットワークを結成。その研究成果を発表する場との位置づけで同シンポはスタートしました。2009年からは構成する研究者の数をほぼ倍増したのに合わせ、「World 16」として再編。その後、一部メンバーは入れ替わりながらも、第5回目を迎えた活動へと引き継がれています。

「World 16」最初の発表は、カリフォルニア大学サンタバーバラ校メディア・アート技術研究大学院プログラムのマルコス・ノヴァク教授による「メディア領域におけるナビゲーション」。「注意のベクトル」という副題を冠し、環境の中にさまざまな情報を取り込んで表現していく研究を通じ、そうした過程でもたらされるプラスマイナス両面の効果にも注目。UC-win/Roadを使い、仮想空間の中を運転走行する中で多様な情報が視界に入ってくる様子を再現した例などを紹介しています。

■カリフォルニア大学サンタバーバラ校/アメリカ
 Marcos Novak 氏

ハーバード大学大学院デザインスクールのコスタス・テルジディス准教授は、「eパーキングシミュレーション」と題して発表。同氏はUC-win/Roadを活用した新しいビジネス機会の開拓という観点から、自らが取り組むeパーキングに焦点を当て、そのコンセプトや仕組み、開発中のソフトなどを説明。ユーザーによるリクエストの際、事前にルートをシミュレーションするツールとしてUC-win/Roadを利用する例を示しました。

■ハーバード大学大学院/アメリカ
 Kostas Terzidis 氏

続いて、「UC-win/Road ”デジタル漫画”」と題する発表は、香港中文大学建築学院のマーク・アウレル・シュナベル准教授。多様なメディアに対応し、コミュニケーションツールとしての可能性が高い漫画。しかし、その作業プロセスでは手間が掛かることから、同氏はそこでのUC-win/Roadの活用に着目。簡単に、しかも多彩な品質の成果を生成できるプラグインを開発。それを使い、実際の写真やVRデータから静止画の漫画やアニメーションを作成する手順やその成果を紹介。その市場性への期待を述べます。

■香港中文大学/中国
 Marc Aurel Schnabel 氏

また、バーレーン大学工学部建設学科のワエール・アブデルハミド助教授の発表は、「建設プロジェクトのモニタリングにおけるVR活用」。前回(2010年)の研究から継続して取り組む、プロジェクトマネジメント(PM)へのUC-win/Road活用の試みを紹介。PMソフトと連携させ、建設プロジェクトの作業状況をステージに応じて可視化し、設計変更の反映など柔軟な可視化も可能。同氏はPMソフトと連動させながら建設中の構造物内をウォークスルーの視点で確認する例を再現しました。

■バーレーン大学/バーレーン
 Wael Abdelhameed 氏

ウィンストン・セーラム州立大学(米国)美術学科のトマス・タッカー助教授は、「3Dキャラクタ開発」と題して発表。それまでUC-win/Roadのキャラクタの動きに制約があったことから、複数のソフトを駆使しつつ、出来るだけ短時間に3Dキャラクタをモデリングし、外観を精緻化、着色、ローポリゴン化して、動きを付け、UC-win/Roadで適切な動きになるよう調整していくというプロセスを、実例を交えて解説。最後に、FBX 3Dモデルに対応するUC-win/Roadの新バージョン(Ver.6)でアニメーションとして利用できる様子もシミュレーションしました。

■ウィンストン・セーラム州立大学/英国
 Thomas Tucker 氏

休憩を挟んだ最初の発表は、ジョージア工科大学建築学部のマシュー・スウォーツ研究員による「UC-win/Roadのシェーダーグラフィックス」。同氏は、アンビエント・オクルージョンによって柔らかい質感の陰影を付加することで、リアルタイムにレンダリングされるイメージの表現力を豊かにすることを着想。その基本的な考え方から、それまでに取り組んできた具体化プロセス、さらなる課題について解説。継続してUC-win/Road向けに開発を目指す意向を語りました。

■ジョージア工科大学/アメリカ
 Matthew Swarts 氏

続くザイード大学ドバイ校総合科学部造形学科のロナルド・ホーカー准教授は、「農村コミュニティ“ワディ・マディアグ”の可視化」と題して発表。同氏は、アラブ首長国連邦(UAE)の中でも乾燥地帯として知られるシャルジャ首長国、とくにワディ(涸れた川)・マディアグ地域に注目し、水が不足する環境の中で農業をどうやっていくのかを探ることを狙いとしてフォーラムエイトとコラボ。UC-win/Roadとxpswmmを組み合わせて地形と雨水の流れのシミュレーションなどを実施したプロセスと、その成果を紹介しています。

■ザイード大学/UAE Ronald Hawker 氏

大阪大学大学院工学研究科環境・エネルギー工学専攻環境設計情報学領域の福田知弘准教授の発表は、「2つのクラウド技術:都市景観デザインを目的とした点群の最適化とVRクラウドアプリケーション」。環境デザインと参加型デザインにウェートを置く観点から、同氏は点群の効率的なデータ化を支援するシステム開発に注力。併せて、遠隔地での協働に資するべくクラウドVRの利用を提案。実際に大阪大学と会場とで同じVRを見ながらプレゼンする様子をデモンストレーションしました。

■大阪大学/日本 福田 知弘 氏

「軽量なキャラクタモデル表現による高速化とパース作成プラグイン」と題する発表は、ニュージャージー工科大学建築デザイン学部の楢原太郎助教授。建築パースでは必ずしも人間の細部表現が必要なく、2Dの人のシルエットによるスケールフィギュアの表現へと発想を転換。次元を落とすことで情報量を大幅に軽減し、障害物回避も可能な技術を開発してUC-win/Road上に実装。併せてプラグインを作成。どんな角度のパースにも後から人を挿入でき、しかもその数を増やせる、とそのメリットを説きます。

■ニュージャージー工科大学/アメリカ
楢原 太郎 氏

次いで、ロバートゴードン大学デザインテクノロジー学部建築構築環境学科のアマル・ベンナージ講師は、「よりスマートで環境に配慮した都市ナビゲーションに向けたフォーラムエイトとGPS企業のコラボレーション」と題して発表。ナビゲーションのトップ企業との協働により、ロンドン市内を対象とする車両や歩行者に関する情報を共有しながら交通問題の解決を目指すそうと着手したプロジェクトの背景や狙いについて紹介しました。

■ロバートゴードン大学/英国
Amar Bennadji 氏

また、マギル大学(カナダ)建築学科長のマイケル・ジェムトラッド准教授の発表は「データスケープに隠された複数の利害関係者」について。同氏が一貫して取り組むモントリオールの再開発プロジェクトのUC-win/Roadで作成したモデルをベースに、点群データを用いて利害関係者間の異なる視点を反映。デベロッパーと地域住民によるモデルを介したディスカッションの可能性に言及します。

■マギル大学/カナダ Michael Jemtrud 氏

ピサ大学(イタリア)土木工学科のパウロ・フィアマ助教授は「ルッカ市街における交通シミュレーション」と題して発表。ルッカ市とのコラボにより、イタリアの古代都市における交通流のマネジメントに関する研究、市の環境に配慮した建設デザインの提案を目指した取り組みを紹介。そこでUC-win/Roadを利用し、多様な情報を3D環境でシミュレーションしつつ検討した試みを、実際に作成したモデルを使い説明しました。

■ピサ大学/イタリア Paolo Fiamma 氏

今回発表の最後は、「World 16」代表のアリゾナ州立大学計算・情報・意思決定工学部プリズム研究所の小林佳弘研究員(FORUM8 AZ代表)による「シティデザインツールによる日本の城のVRモデリング」。冒頭で「World 16」の活動の流れおよび自身の研究の推移に触れた後、その一環で開発してきたシティデザインツールを活用し作成した日本の城のモデルを紹介。併せて、UC-win/Roadに関連してこれまで開発してきたツールを組み合わせ、それを基に作成したゲームの例を示しています。

■アリゾナ州立大学プリズム研究所
FORUM8 AZ 代表 小林 佳宏 氏

なお、今回「World 16」の研究成果に対するアカデミー奨励賞がコスタス・テルジディス氏、ロナルド・ホーカー氏、楢原太郎氏、福田知弘氏、パウロ・フィアマ氏の5名に贈られました。


Day3  第5回 デザインコンファランス

重要性増す各種解析技術 先進ICT活用で広がる可能性

デザインフェスティバルのDay3は、「第5回 デザインコンファランス」。立体骨組み構造の3D解析プログラム「UC-win/FRAME(3D)」のリリース(2002年)を受け、2003年10月に「UC-win/FRAME(3D)協議会」がスタート。2007年からはこれを拡張し、「UC-win/UC-1ユーザ協議会」と併催する形で「デザインコンファランス」へと発展してきました。

第5回目を迎える今回は、同コンファランスを2会場に分けて開催。会議室Aでは終日<土木・解析セッション>、会議室Bでは午前に<建築・BIMセッション>、午後に<水工セッション>がそれぞれ実施されています。


 土木・解析セッション

 講演ムービー公開中! 講師の方々による講演発表の模様を視聴できます。

土木・解析セッションの幕開けは、東京工業大学大学院理工学研究科土木工学専攻の川島一彦教授による特別講演「東日本大震災による被害から見えてきた、土木構造物の現状と今後の展望」。同氏はまず、兵庫県南部地震や道路橋示方書タイプ2の地震動との比較を交えた今回地震、過去の例との比較を交えた今回地震による津波高さについて解説。次いで、耐震技術や耐震設計基準の変遷、地震時保有耐力法(1990年以降の耐震設計法で適用)、橋梁の各種補強工法へと言及。その上で、今回地震後に行った橋梁の調査に基づき、地震動および津波による被害について分析。1.地震動による橋梁の被害は地震時保有耐力法適用前のものに著しく、とくに耐震補強のレベルが不十分なケースで被害が大きい 2.その意味で平成2年道路橋示方書および耐震基準は今回地震による橋梁被害の軽減に寄与している ― としつつ、都市型の高架橋梁やより大きな地震動について、今後考慮していく必要があると説きます。

■東京工業大学大学院理工学研究科
土木工学専攻 教授 川島 一彦 氏

続いて、財団法人 計算科学振興財団(FOCUS)共用専門員の西川武志氏が世界最速のスーパーコンピュータ「京(けい)」をテーマに講演。まず、FOCUSおよび京について解説。その後、スパコンによる地震の伝播、ヒートアイランド現象、津波対策などに関する高度なシミュレーション例、その土木・建築技術への活用可能性などへと話を展開します。

午前の部の最後は、当社担当者による「スパコンクラウド(TM)サービスの概要」と題するプレゼンテーション。初めに、FOCUS内に設置した当社スパコンクラウド神戸研究室の概要を紹介。その上で、FOCUSが運用するスパコンを利用した当社の「スパコンクラウド(TM)サービス」について概説。UC-win/Road CGムービーサービス、騒音音響スパコン解析・シミュレーションサービス、騒音測定シミュレーションサービス、Engineer's Studio(R)スパコンクラウドオプション、解析支援サービス"スパコンオプション"、風・熱流体解析スパコン解析・シミュレーションサービスなどを事例を交えて説明。スパコン津波解析サービス、地盤エネルギーシミュレーションなど開発中のサービスにも触れています。

午後の部最初の講演は、株式会社篠塚研究所取締役の中村孝明氏による「地震リスクマネジメントの活用と東日本大地震の教訓」。同氏はまず、地震リスクマネジメントの考え方、その手順やポイント、リスク評価やマネジメントの実施例を紹介。併せて、今回震災を通じ明らかになった教訓を挙げ、そこでの地震リスクマネジメント活用の意味を述べます。

■株式会社篠塚研究所 取締役 中村 孝明 氏

株式会社オリエンタルコンサルタンツSC事業本部九州支店技術部技術主査の大森貴行氏は「ファイバーモデルを用いた鋼製ラーメン橋脚と逆L型偏心鋼製橋脚の耐震設計」と題して特別講演。予備付橋梁詳細設計業務の具体例を基に、建設コンサルタント業務の流れを概説した後、当該業務での耐震設計上の課題、設計対象橋梁の諸元、耐震設計方針、耐震設計とその方法について説明。そこでのUC-win/FRAME(3D)による解析モデル利用、その過程で生じた課題と工夫、解析結果、同業務を通じて得た知見を紹介しました。

■株式会社オリエンタルコンサルタンツ SC事業本部
九州支店 技術部技術主査 大森 貴行 氏

続く特別講演「Engineer's Studio(R)を用いたイージーラーメン橋のレベル2地震時の照査について」は、朝日エンヂニヤリング株式会社常務取締役の中井良彰氏。イージーラーメン橋工法の概要と特徴、メリットを解説。次いで、イージーラーメン橋のレベル2地震時の照査の流れ、照査の具体例、さらにEngineer's Studio(R)を実際に使った際の作業手順について具体例を示しつつ説明。Engineer's Studio(R)による部材のひずみ分布などの可視化への評価とともに、入力サポート機能や印刷出力機能のさらなる充実が要望されました。

■朝日エンヂニヤリング株式会社
常務取締役 中井 良彰 氏

休憩を挟み、最初のプレゼンテーションは当社担当者による「Engineer's Studio(R)、UC-win/FRAME(3D)の最新機能と活用事例の紹介」。大規模モデルの計算性能向上、地盤バネのジェネレータ機能をはじめとするEngineer's Studio(R) Ver.1.07の主な新機能、列車荷重「EA荷重」の牽引分布荷重対応、モデル構造部や断面力図のDWG/DXF形式での出力、固有値解析の剛性低減オプションといったUC-win/FRAME(3D) Ver.5.01の主な新機能、各製品で予定されている主要追加機能について紹介。さらに、Engineer's Studio(R)の解析事例をデモを交えて解説。損傷判定のより分かりやすい可視化への対応にも触れます。

「土壌汚染および地盤情報データベースを活用した地盤特性の把握」と題する特別講演は、大同大学工学部都市環境デザイン学科の大東憲二教授。まず、「統合化地下構造データベース」の構築動向、それに関連した中部地域における地盤情報データベースシステム構築の流れを解説。土地汚染情報へのニーズの高まりを背景に、土地や地盤に関する情報を3D的に集積し、土地に関するリスクを早期に顕在化する、土地地盤・集積情報提供システムの構築が求められた経緯を説明。多様な平面情報、地点情報、深度情報が提供される同システムの概要とその活用の可能性について、当社担当者によるデモを交えて紹介しました。

■大同大学工学部都市環境デザイン学科
教授 大東 憲二 氏

続く特別講演は、株式会社ブルドジオテクノ代表取締役の花田俊弘氏による「GeoFEASによる地盤解析で気をつけていること ― 解析結果にたどり着くまでの道のりと解析例」。同氏は、自らL型擁壁(直接基礎)作用力問題、地山安定問題、およびL字型擁壁の変位問題に対し、GeoFEASを使って地盤解析した事例を紹介。それぞれの現場の事情、そこでFEM解析を実施した意図、具体的な作業手順、解析結果について説明。一連の取り組みを通じて得たGeoFEASの評価や留意点を述べます。

■株式会社ブルドジオテクノ
代表取締役 花田 俊弘 氏

同セッション最後は、「地盤解析シリーズ最新情報」と題し、当社担当者がプレゼンテーションを行いました。地盤解析支援を通じた当社製品の活用事例、斜面の安定計算Ver.9高盛土地震時変位量、3次元地すべり斜面安定解析Ver.2、土留め工の設計Ver.9外的安定性の検討、圧密沈下の計算Ver.7の新機能、といったテーマを冠し、それぞれ新製品の新機能などのデモも交えて解説しています。


 建築・BIMセッション

 講演ムービー公開中! 講師の方々による講演発表の模様を視聴できます。

タイムリーなBCP策定についての講演で幕開け。プレゼンではBCP支援ツールの紹介も

土木・解析セッションと並行して行われた「建築・BIM」セッションは、副島一也氏(ニュートンコンサルティング株式会社 代表取締役社長)による「BCP策定支援事業の最新情報と策定のポイント」からスタート。災害対応への関心度が高まっている昨今において注目を集めるテーマであるだけに、多くの来場者の方が熱心に聴き入っていました。

■ニュートンコンサルティング株式会社
代表取締役社長 副島 一也 氏

同氏は、事業継続計画(BCP)において突然やってくる災害に際して行うのは、会社の資産を守ること(=防災)と事業を続けること(=事業継続)の2つだけであり、企業にとっては必要不可欠なツール、営業としてのツールにへと変わってきているという点を強調。さらに、BCP策定の基本的な考え方として、文書を作るだけでなく当事者がそれを精査し継続・演習および共有を行っていくことの大切さについて述べました。

また、これに続いて当社担当者による「自治体ソリューション・BCP支援ツールのプレゼンテーションが行われ、当社のBCP策定の取り組みを紹介すると共に、それを通じたBCP策定自動化ツールの開発背景と機能を解説。併せて自治体ソリューションについても製品群を紹介しました。


BIM先進国であるシンガポールの事例紹介や、
統合的な情報を利用した最新の都市計画の手法などを紹介


昨年に引き続き本年も、最先端のBIMをテーマとした講演やプレゼンを実施。まず最初に、「生産性の向上:BIMによる電子積算数量計算書のスピーディーな発行」と題して、エヴリン・アイ・リン・テオ氏(シンガポール国立大学 設計環境研究院建築学科 准教授)が、シンガポールでのBIMがどのように進んでいるかについて事例を挙げながら解説しました。同国では2500万シンガポールドルのBIM基金があり、2013年には20,000m2、2015年には5,000m2を超える行政業務でBIM利用を義務化していることについて触れ、さらにBQというシンガポールの法規に準拠した積算システムについても紹介しました。

■シンガポール国立大学 設計環境研究院建築学科
准教授 エヴリン・アイ・リン・テオ 氏

次に、「都市計画におけるCO2削減を目的としたセマンティックな情報技術」をテーマとする特別講演を行った英国ティーズサイド大学教授 ナシュワン・ダウッド氏は、エネルギー、環境、建築情報、経済等のデータを統合するセマンティックな情報をプラットフォームとした、都市計画におけるCO2削減アプローチを紹介。2020年までにCO2とエネルギーを20%削減することを目標として、マテリアルについての研究・分析を行い、さまざまななデータを橋渡ししてエネルギー消費量や汚染データ、都市の3Dデータなどを抽出・可視化する試みについて解説しました。

■英国ティーズサイド大学教授
ナシュワン・ダウッド 氏

また、同様のテーマでフォーラムエイトのBIM&VRソリューションについてもプレゼンテーションが行われました。Allplan2012、UC-win/Road新バージョンの機能紹介に加えて、BIMコンペティション「Build Live Kobe 2011」におけるUC-win/Roadでの課題敷地や各受賞作品、第1回Virtual Design World Cup入選作品など、BIM活用の事例をデモンストレーションで紹介しました。

さらに、当社のロボット開発分野における最新プロジェクトとして、『建物の熱、浸水の赤外線センサとサーモグラフィーによる可視化』についてのプレゼンテーションも。カメラ、AGUL AR.Drone、サーモグラフィを利用した3Dスキャニングシステムを用いて、建物のエネルギー使用の最適化を行う提案の説明およびAGUL AR.Droneのデモンストレーションが行われました。


 水工セッション

 講演ムービー公開中! 講師の方々による講演発表の模様を視聴できます。

災害対策への多様で総括的なアプローチを模索

xpswmmユーザー会(主催:SWMMユーザー会、後援:NPO法人 水環境創生クラブ、FORUM8、XP Solutions社)を兼ねて開催されてきた水工セッションは、本年で4回目となりました。今回は、XP Solutions社のマネージメント責任者であるスディシュ・ムダリロー氏より、最も多くxpswmmを販売したティストリビューターとしてフォーラムエイトへ「xpswmm Distributor Award」の表彰があり、当社代表取締役社長の伊藤が受賞しました。

■XP Solutions社のマネージメント責任者
スディシュ・ムダリロー氏よりxpswmm
Distributor Awardが贈られた

まず最初に、芝浦工業大学 工学部土木工学科教授の守田優氏による「都市雨水排水における洪水リスクの定量化-xpswmmの適用例」で幕を開け、防災および減災、洪水リスクマネジメントの概念についての講演が行われました。その中で同氏は、日本においては洪水マネジメントの明確な輪郭がなく、今後は何らかの方向性を提示していく必要性があるということを述べ、現在の高精度の解析理論が確立されるまでの流出解析モデルの歴史的推移についても解説を行いました。過去には河川計画のためのモデルから、都市モデルといった土地利用を考慮したモデルへと変化し、90年以降はハザードマップの作成などに見られる2次元浸水氾濫モデルへと変化しているが、今後は被害額を計算するモデルが必要とされ、これをリスクマネジメントや対策へと応用していく必要性があるということ、また、被害の大小のみをリスクとして見がちだが、リスク概念の中には確率の考え方が必要であり、浸水被害額と豪雨の生じる確率からの検証が必要であるというリスクマネジメントの定義についても触れました。

■芝浦工業大学 工学部土木工学科 教授
守田 優 氏

続いては、「都市域の雨天時汚濁流出解析におけるモデリングの視点」というテーマで、東京大学大学院都市工学専攻 教授の古米弘明氏が都市における水管理の5つの視点を解説。治水、利水、親水、水域生態系保全、水を介した熱管理についての講演を行いました。同氏は、都市部における流出モデルを作るうえで考慮すべきことについて、浸透施設等を考慮した汚濁流出解析、都市流出モデル解析における展望などを挙げて説明。また、GISデータの必要性を認識およびデータの充実・活用を提案すると共に、データを定期的に更新する必要性があることを時、データ管理や更新、人材確保と技術の集約・普及を目的とした検定や資格認定などを行うことについても提案しました。

■東京大学大学院都市工学専攻 教授 古米 弘明 氏

さらに、日本水工設計株式会社の小林岳文氏は、浸水常襲地域であるA市B地区を事例として、雨水整備計画の策定による浸水被害の解消と、現況の浸水想定区域図の作成による浸水リスクの可視化を目的とした業務事例を紹介しました。xpswmmを用いて当該地域の水路および地表面を1D/2Dモデルで再現し、現況の問題点の把握や段階的な雨水整備の実施による対策効果の確認に活用していること、また、浸水原因の調査と現況評価、対策方針などについても併せて解説。短期計画では、早期の浸水解消を目的として管路の断面増強とポンプによる別の水路へのバイパスを行い、将来計画では、抜本的な雨水排水能力確保を目的として新規のポンプを設置、バイパス管の敷設、一部を河川に自然放水するといった対策を行うことなどについて触れました。

■日本水工設計株式会社 小林 岳文 氏

xpswmmによる災害解析の最先端モデリングから活用方法と展望までを追求

3つの特別講演に続いて、後半はプレゼンテーションとディスカッションが行われました。XP Solutions社の開発責任者であるアシィス・デイ氏は、xpswmmを用いた防災解析をテーマとするモデリングのポイントや、支配方程式における各項の工学的意味について触れました。さらに、xpswmmでの現象のモデリング、建物周りの流れ解析でのモデリングのパターンを列挙し、その流況特性についても説明。フェンス等の倒壊に伴う流況の変化のモデリングや、地下街浸水のモデリングに際しての階段からの流入の考え方などについても解説しました。

■XP Solutions社 開発責任者 アシィス・デイ 氏

「災害解析に向けた活用方法と今後の展開」というテーマで開催されたパネルディスカッションでは、NPO法人 水環境創生クラブの石川高輝氏が司会を務め、先に特別講演やプレゼンを披露した守田氏、古米氏、デイ氏がゲストパネラーとして参加しました。

ディスカッションではまず、災害において想定すべきことや対策について話し合われ、「海外では長期かつ大流域に渡る降雨を想定しているが、日本ではどう設定していくべきかについて、この場からも情報発信をしていく必要がある」という問題提起がなされました。

また、リスクアセスメントの評価ツールとしての活用や、BCP(事業継続性)を考える上でリスクアセスメントという考え方が必要となることについても触れられました。水害が生じた際のコストについて被害の評価を、10年、100年のスパンを想定して行う必要性があること、また、アメリカではリスクの高いエリア等に対する保険の期待値が変わるため、その指標を策定することがリスクアセスメント研究のきっかけとなっていることについても言及。xpswmmはアメリカの洪水保険の検証に使われる認証ソフトとなり、米国での水害保険システムは国の事業として大掛かりに行われる一方、日本での保険システムは民間主導であり、大きな事業展開が見られないこと、今後日本でのこのような動きが期待されるということも。話し合われました。

■「災害解析に向けた活用方法と今後の展開」をテーマに行われたパネルディスカッションの様子


締めくくりに行われた当社開発者によるプレゼンテーションでは、釜石市の津波シミュレーションにおける、xpswmmによる解析とUC-win/Roadでの可視化について紹介しました。
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