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Users Report ユーザ紹介/第99回
タイ住宅公社(タイ)
安く、早く、手軽に設計を可視化
UC-win/Roadが住宅地開発に大活躍
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User Information |
National Housing Authority
URL● http://www.nha.co.th/
所在地● 905 Navamin Road, Khlong Chan Bang Kapi, Bangkok 10240
事業内容● 低所得者向けの住宅開発、スラム街の再開発など
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低所得者向けの住宅を供給してきたタイ住宅公社では、住宅設計や住宅の販促などの業務を効率化するため、BIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)やVR(バーチャルリアリティー)などのITシステムの導入を始めました。中でもリアルタイムVRシステム「UC-win/Road」は簡単な操作性とリアルな表現力が高く評価され、試行プロジェクトでの活用が進んでいます。 |
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タイ住宅公社(National Housing Au-thority:NHA)は、社会開発・人的保障省の組織です。1973年に設立されたこの組織は、低・中所得者層のために住宅を提供することを目的としています。また、持ち家を必要とする人への資金援助や、建設業界や不動産ビジネスとの連携、そしてスラム街の廃絶や再開発により、人々の生活や社会・経済状況を改善することも目指しています。
1976年から2011年までの間に全国に約60万戸の住宅を供給してきました。その主なものの内訳は「バーン・ユアアーソン」という低価格住宅建設が25万3370戸、スラム街の再開発が23万3964戸、コミュニティーハウスの建設が14万1522戸、政府職員用住宅が4万9766戸です。
このほか大学の寮や地域の特別プロジェクト、南部の洪水被災者への支援、不動産業への支援などもあります。そしてサステナブルなまちづくりにも取り組んでおり、住宅地の緑化を支援したり、クリーンなまちづくりのコンペを実施したりしています。
タイ住宅公社は、これらの事業を効率的に行うため、BIMやVRを積極的に活用し始めています。
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▲タイ住宅公社の本部庁舎 |
▲タイ住宅公社が建設する住宅のモデルハウス。
洪水対策のため高床式になっている |
タイ住宅公社IT部のサワン・スーンソービニット(Thawan Soonthornvinit)部長は「BIMやVRなどの3D技術を活用していく方針です。今はその導入時期となっており、まだフル活用する段階には入っていません。革新的な技術なので当面はIT部の専門家が建築設計者に対して、これらの技術を使えるように支援しています」と説明します。
2010年にリアルタイムVR(バーチャルリアリティー)ソフト「UC-win/Road」の導入を決めました。翌年の2011年にソフトを購入し、実際のプロジェクトで使用を始めました。
UC-win/Roadの使用手順はまず2次元の図面を描き、次に建物のモデルを選んで平面図上に配置します。このモデルをUC-win/Roadでリアルな3DのVRに仕上げていきます。
試行プロジェクトを行っているのは、既に従来の方法で設計し、完成した住宅プロジェクトです。その設計を今回はUC-win/Roadで3D化しながら効果を検証しています。
「3dsMaxのようなアニメーションソフトは高品質なムービーが作れるが、時間とコスト、作業の手間が大きいのが課題です。その点、UC-win/Roadは安く、早く、簡単にVR作品が作れるのが魅力ですね」とスーンソービニット部長は語ります。
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▲タイ住宅公社庁舎のBIMモデルをプレゼンテーションする
IT部のサワン・スーンソービニット部長 |
▲タイ住宅公社の事業内容の内訳。
低所得者向けの住宅供給が主な業務だ |
作成したVRやアニメーションなどは、住宅を販売するとき、一般の購入者に対するプロモーションに使っています。「VRを使ったプレゼンテーションはとても効果的です。例えば建物の中に入ったとき、どのように見えるのかがよく分かるからです」(スーンソービニット部長)。
簡単な住宅地のプロジェクトでは、わずか3日でVRを作ったこともあります。もっと時間をかけて動きなどの詳細な表現を追加すると、よりリアルなVRに仕上げていくことも可能です。
建物モデルの作成には、オートデスクのBIMソフト「Revit Architecture」も使っており、そのモデルをUC-win/Roadに読み込んでいます。また道路などの土木構造物は「AutoCAD
Civil 3D」用のプラグインを使ってUC-win/Roadに取り込んでいます。
タイ住宅公社では、オフィス内にソフトの講習施設を設け、建築設計者や土木技術者などの教育を行っています。「これまで70〜80人の職員にUC-win/RoadやBIMソフトなどの教育を行いました」(スーンソービニット部長)。
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▲UC-win/Roadで作成した住宅地のVR。住宅地への緑化も力を入れていることが表現されている |
今後、VRやBIMに期待しているのは、大きく3つあります。1つ目は設計の効率化です。3Dによる設計はスピーディーに行えるので設計時間の短縮を目指しています。2つ目は住宅の販促です。見込み客に住宅の計画をビジュアルに見せることで、購買意欲を高めて成約率を高めることを狙っています。3つ目は賃貸住宅の維持管理を効率化することです。住宅の使用開始後、いつ、どのようなメンテナンスを行えばよいのかを管理するのにVRやBIMは有効なツールと考えています。
タイ住宅公社は、フォーラムエイトのドライビングシミュレーターも導入しています。現在はテスト中ですが、将来は住宅地内部の交通問題を事前に予測するなどの用途に使うことを考えています。
UC-win/Roadを使ってみた感想についてスーンソービニット部長は「UC-win/Roadは簡単に使えて、住宅地開発のプロジェクトをリアルに計画するのにとても役立ちそうです。今後、さらに多くの機能を使ってみて、効果を確かめていきたいと思います」と締めくくりました。
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▲BIMやVRの操作を職員に教える講習施設にはパソコンがずらりと並ぶ(左)。
その一角に設置されたドライビングシミュレーター(右) |
(執筆/取材:イエイリ・ラボ 家入 龍太) |
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