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ユーザ紹介第60回
国土交通省四国地方整備局 松山河川国道事務所
Matsuyama Office River and National Highway,
Shikoku Regional Development Bureau, MLIT

松山河川国道事務所のホームページ
http://www.skr.mlit.go.jp/matsuyam/

3次元リアルタイムVRによるシミュレーション、地元説明会やオープンハウスで効果を発揮

 今回は、国土交通省四国地方整備局における管内事務所の一つ、松山空港と松山市の中心部を結ぶほぼ中間(いずれからも車で10分程度)に拠点を置く「松山河川国道事務所」をご紹介いたします。

 フォーラムエイトの「UC-win/Road」を昨年夏に導入いただいたのは、現在、同事務所にとって最も主要な道路事業の一つとして位置づけられている「松山外環状道路」のプロジェクトが本格化するのを前に、地元への設計説明会をいかに分かりやすく、効果的に行うかが問われていた頃。まさにその説明会を直前に控えた昨年10月に着任し、一連の説明会を担当されることになった同事務所調査第二課計画係長の古市(ふるいち)圭司氏にお話を伺いました。
■重信川と石手川、中予・東予における主要国道の整備をカバー

 松山河川国道事務所は、松山市内を流れる重信川と石手川、さらに愛媛県の中予(松山市はじめ一帯)・東予(新居浜市はじめ一帯)の主要な国道の整備を担当しています。

 重信川は、普段の穏やかで地域に潤いをもたらす身近な川というイメージとは裏腹に、昔から「暴れ川」としても知られています。そもそも400年前、「伊予川」と称されていた当時、豪雨の度に氾濫を繰り返していたのを時の松山城主・加藤嘉明が家臣の足立重信に命じて改修させ、その功績により現在の名称を冠するに至ったという逸話からもその一端が窺われます。

 また近年、四国地方はしばしば水不足の問題に悩まされています。そうした際に、重要な役割を担っているのがダムです。73年に石手川上流に設置された石手川ダムは、拡張を続ける松山市の水源としてはもちろん、防災や農業用水の供給などを通じて地域社会への貢献を果たしています。

 さらに温暖な気候に加え、瀬戸内海と四国山地に囲まれ、夏目漱石らの小説の舞台としても知られる当地は、歴史・文化・自然がほどよくミックス。そのことが永く広く観光地としても人気を集めている所以と言えます。また、それを支えている別の要素として、瀬戸内しまなみ海道や松山自動車道などによる新しい魅力とアクセス向上の実現が挙げられます。

 しかしその一方で、松山市内に流入する交通量が年々増大。過去10年間で3割以上も増加したといいます。そのため、事務所管内における国道整備事業は渋滞緩和を主眼に、安全で快適な道づくりをいかに図っていくかに力が注がれているわけです。

 松山河川国道事務所は重信川出張所、石手川ダム管理支所、西条国道維持出張所、松山第一国道維持出張所、松山第二国道維持出張所の5出先機関を配し、職員116名(そのうち、事務官45名、技官〔河川〕22名、技官〔道路〕49名:05.10現在)を擁しています。


■松山都市圏の新たな渋滞緩和策、「松山外環状道路」整備事業

 松山市は、松山城や県庁・市役所などが集積する市の中心部から国道11号・33号・56号・196号といった幹線道路が放射状に広がる形で道路ネットワークを形成しています。そのため、市の中心部に向かって交通が集中しがちとなる構造的な渋滞要因は早くから指摘されていました。それに対するソリューションとして整備されたのが、松山環状線(99年に全線供用)です。

 同環状線が整備されたことで、市内中心部の渋滞緩和の効果がもたらされました。しかし、郊外のベッドタウン化や、同環状線沿線への大型店舗の立地が加速。その結果、今度は環状線の交通量が急増し、一日5万台を超えるなど飽和状態を来すに至りました。とくに、前述の放射状道路と同環状線との交差部は、慢性的な渋滞ポイントとなっています。

 そこで新たに、松山都市圏の抜本的な渋滞緩和策として「松山外環状道路」の整備に取り組まれることになりました。
 これは、松山環状線の外側に新たな環状道路を建設。松山自動車道(松山IC)、松山空港、松山港、FAZ(Foreign Access Zone:輸入促進地域)といった広域的交流拠点・地域開発拠点を結び、市内へ流入する交通の分散と併せ、松山都市圏の地域発展にも資するアクセス向上を目的に「地域高規格道路」として整備しようというものです。
「外環状道路は今、管内で最も優先順位の高い道路事業と言えます」
 これが出来ることによって松山市内の渋滞要因となってきた通過交通の流入が分散され、渋滞緩和につながる、と古市圭司氏は期待を語ります。

 現在は前述の構想のうち、国道11号から同56号に至る区間(延長6.8q)について都市計画決定されており、さらに国道33号から同56号までの「松山外環状道路インター線」(延長4.8qの区間)が事業化されています。

 その区間は自動車専用道路部を中心に、両サイドにそれぞれ一方通行の車道および自転車歩行者道から成る一般道路部が併設される、という構成です。その中の自動車専用道路部は国土交通省(松山河川国道事務所)が、一般道路部については事業区間のほぼ中央に位置する県道松山伊予線の東側を愛媛県が、西側を松山市がそれぞれ担当しています。

 同事務所では「松山外環状道路」の事業化と並行して、放射状道路の4車線化、拾町(じっちょう)交差点や小坂交差点など松山都市圏主要交差点の立体交差化など、さまざまな渋滞緩和対策の検討も進められています。


■Road利用のドライブシミュレータを運用、多様な利用可能性に注目

 古市圭司氏は「この4.8qの区間には盛りだくさんの要素が含まれています」、と「松山外環状道路インター線」の事業を形容します。

 例えば、住宅地に近い「井門(いど)ランプ(仮称)」は、一般道とその上の自動車専用道路、さらに松山自動車道(松山IC)へとつなぐ橋梁から成る3階建てのJCT構造となります。また、道路は「坊っちゃんスタジアム」はじめ複数の運動施設が集まる「松山中央公園」、JR予讃(よさん)線、県道、住宅密集地、田園地帯、河川域など変化に富んだ環境を縫って建設されます。その間、高架構造と盛土構造を繰り返しつつ、JR線との交差部はその下をアンダーパスし、松山中央公園に面した高架下は公園用の駐車場として利用される予定 ― といった具合です。

 その上、今回は国・県・市による共同事業であるため、事業主体同士の意識をいかにうまくまとめ上げていくか(合意形成できるか)という点も重要になります。
 加えて、「美しい国づくり政策大綱」(03年7月公表)やそれをベースとする「景観法」(05年6月全面施行)が施行されるなかで、同事務所では03年に、学識経験者らにより構成される「松山都市圏幹線道路景観検討委員会」を設立しています。「松山外環状道路インター線」事業に対しても、同委員会は景観整備の考え方について審議、その結果を事業に反映させる体制が取られています。

 一方、社会資本整備事業に対するアカウンタビリティ向上が求められる社会情勢を受けて、同事務所では積極的に、一般の方々に対する事業内容の説明が効果的かつ効率的となるよう力を入れてきました。そうした具体例として、前述の小坂交差点や拾町交差点の立体化プロジェクトに向けたインフォメーションセンターの設置やポータルサイトの運営展開が見られます。

 そこで「松山外環状道路」事業ではまず、地元住民に対する「設計説明会」を通じ事業の概要について理解浸透を図り、次のステップとしてより幅広い人々向けに「オープンハウス」を開設することとしました。

 昨年11月から今年2月にわたって5ヵ所で実施された説明会では、従来の2次元図面やパースのみに頼るやり方を改め、ビジュアル的にも優れた3次元バーチャルリアリティ(VR)のシミュレーション技術(「UC-win/Road」)を採用。立体的な位置関係や完成後の交通流などを体感してもらおうという試みは期待通りの効果を発揮していた、と古市圭司氏は振り返ります。

▲松山河川国道事務所


▲調査第二課 
  計画係長 古市圭司様 


▲松山河川国道事務所
  イメージキャラクター
  も ぐりん


▲ドライブシミュレータ

▲「UC-win/Road」を使用した
  松山外環状道路ドライブシミュレータ

▲調査第二課の皆様
 これらの経験を踏まえて、同事務所は去る9月22日から10月末までの予定でジャスコ松山店内に「もぐりんのオープンハウス」を開設しています。松山市内で取り組まれている渋滞緩和対策事業に関して総合的に紹介しようとの目的から、パネルおよび模型を展示。今回はとくに、説明会で活用した3DVRをさらにグレードアップしたドライブシミュレータを設置し、来場者がVRの「松山外環状道路インター線」4.8q上で走行シミュレーションを体験できる環境を整えています。

 古市圭司氏は、VRの多様な利用可能性に注目、コストなどの問題も踏まえながらさらに発展的な活用も目指したいとしています。


 お忙しい中、取材にご対応いただいた関係者の皆様に改めてお礼申し上げます。



  
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