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前回に引き続き、最新バージョンxpswmmj2012の改訂機能についてご案内します。主な改訂内容である
- 橋梁、柱状構造物、ボックスカルバート等の抵抗を考慮した流況解析機能
- 2D土地利用における浸透損失の設定(任意パラメータ設定およびUSDA(米国農務省)パラメータ自動セット)
- グリーンアンプト法および一定初期損失・一定継続損失での浸透能の計算
- 浸水深に応じた粗度係数を任意曲線での設定
- 1D/2Dインターフェース流量変換オプション
- 1次元解析での2D浸水アニメーション
- さまざまなリスクを表現した2次元マップ(ハザード、河床せん断応力、質量保存等)出力
- 1次元解析結果の任意指定断面での横断図アニメーション出力
- ノードからの累積溢水量のグラフ出力
- 結果のESRI ASCII Gridファイル形式エクスポートロジックの改訂
- ノードおよびリンク入力値のGIS形式属性エクスポート
- XPテーブルのGIS形式属性エクスポート
の改訂機能中から、前回の続きとして、今回は[5]以降についてご案内します。
2次元解析の改訂機能
1D/2Dインターフェース流量オプション
1D/2Dインターフェースの設定で逐次計算において流量計算に対応しました。
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■図1 1D/2Dインターフェース入力ダイアログ |
ここで、1D/2D水頭インターフェースライン(HX)とは、従来の1D/2Dインターフェース仕様であり、今回、1D/2D流量インターフェースライン(SX)のオプションが追加されました。対象とする現象に応じて、これらオプションから適宜、現象をシミュレートするのに適したオプションを使い分けられる位置づけになります。
これらの使い分けは、1次元解析における流路幅とそれに連結する2次元解析のセルサイズに依存して決定します。たとえば、1D/2D水頭インターフェースライン(HX)とは、2次元解析におけるセルサイズが1次元解析での流路幅より大きい場合に適しています。一方、1D/2Dインターフェースライン(SX)とは、2次元解析におけるセルサイズが1次元解析での流路幅より小さい場合に適しています。
たとえば、下図のように、リンクはメイン画面での表示上では幅のない“線”としての表示となります。
 |
■図2 メイン画面での表示上のリンクの表現 |
しかしながら、下図に示すように、このリンクは三連ボックスカルバートであり、ボックスカルバート1本当たり幅はセルサイズより小さくても、三連の場合にはセルサイズより大きくなります。
 |
■図3 三連ボックスカルバート |
すなわち、ボックスカルバート吐き口では、吐き口幅がセルサイズより大きくなるような場合に、吐き口は複数のセルにまたがることになります。この場合には、新しいオプションである1D/2Dインターフェースライン(SX)での設定が効果的となります。
1次元解析の改訂機能
1D解析の2次元アニメーション
これまで1次元解析結果は、1Dネットワークとしてのアニメーションのみであり、ハザードマップに代表される氾濫域のアニメーション表示は1D/2D解析として行う必要がありました。本改訂では、1次元解析結果および3次元地形とから、氾濫原を含む2次元アニメーションでの出力が可能となりました。
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■図4 1D氾濫マップの設定 |
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■図5 1D氾濫マップのプロパティ |
■図6 1D氾濫マップの出力例 |
昨年9月21日に東京、品川コクヨホールにてxpswmmユーザー会が第六回FORUM8デザインコンファランスで盛況に開催されました。水工セッションでは、ゲリラ豪雨対策および浸水リスク解析、ノンポイント汚染解析の考え方や、津波解析およびダム決壊シミュレーション等の実に多岐にわたるxpswmmの活用に対して、他分野の幅広い水関連技術者間で活発な意見交換が行われ、有意義に技術交流していただけたと思います。
近年の気象変化に伴い災害の形態が多岐にわたってきたことから、その対策にはより汎用的な数値シミュレーションの活用が必須となってきている中で、技術者間でのより広い活用を知っていただける機会となり、多くの議論をベースに活用されていくことが期待されました。
広島大学の河原先生からは、「近年の豪雨災害と氾濫解析技術の課題」と題して、ゲリラ豪雨の発生過程から豪雨の特性および最新の豪雨災害についてのご説明から、現在取り組まれているXバンドMPレーダを活用した氾濫解析技術の進展と課題について、ご講演いただきました。
芝浦工業大学の守田先生からは、「xpswmmによる都市雨水排水の洪水リスクマネジメント」と題して、洪水リスクマネジメントにおけるミクロ理論とマクロ理論の考え方、リスク・マクロ理論におけるxpswmmの利用についてご講演いただきました。
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■図1 XバンドMPレーダの利用について |
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■図2 浸水リスクマネジメントについて |
東京大学の古米先生からは。「ベトナムフエ市における水質を含めた浸水被害予測の現状と課題」と題して、数値解析モデル構築に必要なデータ類が揃いにくい環境化で、いかにモデル構築を図っていくか等、興味深い観点からご講演いただきました。
日本水工設計東京支店の小林様より「下水道施設の効果的な津波対策の検討事例紹介」と題して、津波解析における現時点での非常に高精度な最新のベンチマークテスト結果において、そのモデリングの考え方等について活発な意見交換が行われました。
 |
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■図3 ベトナムフエ市での研究報告 |
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■図4 津波解析事例 |
開発ベンダーからは、汎用水理解析として更なる多くの活用が期待される2次元解析エンジンの開発しているPhillip
Ryanを招聘し、大規模解析を想定したソルバーの今後の開発計画に関して発表され、さらなる汎用利用が期待される多くの反響を得ております。
水工セッションの最後に開催されたパネルディスカッションでは、NPO法人水環境創生クラブの石川高輝様をチェアマンに迎え、パネラーとして河原先生および守田先生、古米先生、Phillip
Ryanと会場の技術者を含め非常に活発な意見交換が展開されました。
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■図5 GPUソルバーの解析速度ベンチマーク |
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■図6 パネルディスカッションの様子 |
当社からは、ダム決壊シミュレーションへの活用について発表しております。
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■図7 ダム決壊シミュレーションの出力例 |
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浸水氾濫津波解析セミナー |
CPD |
●開催日 : 2013年 1月23日(火)、9:30〜16:30
●本会場 : フォーラムエイト東京本社GTタワーセミナールーム
※TV会議システムにて 東京・大阪・名古屋・福岡・仙台にて同時開催
●参加費 : 1名様 \18,000 (税別) |
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(Up&Coming '13 新年号掲載) |
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