UC-win/Roadでは、道路に加えて沿道の建物や標識など、街や情景を構成する構造物モデルも正確に再現することでリアリティが向上します。そのためには、モデル作成に必要なテクスチャの元素材となる資料写真を用意する必要があります。例えばビルのモデルを1つ作る場合、壁面2面分以上を撮影した数枚の資料写真があればテクスチャ作成が可能ですが、街全体となると膨大な枚数の資料写真を撮影しなくてはなりません。
このような大量の資料写真データを扱う際はGPS付きのカメラを使用することで、写真の整理や制作に必要な写真の特定・選択が容易になり、取材者および制作者の両方にかかる煩雑な作業を効率化することができます。
最近ではGPS搭載のデジタルカメラが普及してきており、コンパクトなものから本格的な一眼レフまでさまざまな機種が登場しています。GPSカメラは衛星から位置情報を取得し、写真データにExif情報として記録します。この位置情報には緯度と経度が表記され、専用の地図ソフトで読み込むと地図上で撮影場所が確認できます。こういった機能を使うことで、バラバラに撮影された取材写真でも地図上で即座にどの建物や構造物を撮影したものか確認できるようになるわけです。
また、地磁気センサーと加速度センサーを内蔵して、カメラを向けている方角が記録できる機種もあり、これらの機能も合わせればより効率が上がります。
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■図1 GPS搭載カメラなら地図上や写真データから撮影位置を容易に特定できる |
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UC-win/Roadで現在開発中の機能として、GPSデータを含む写真を読み込み、自動的にVR空間上に配置する機能を開発しています。現在、2Dの地図上に配置する機能を搭載したアプリケーションはありますが、これを3D空間上に配置することで撮影位置と同時に写真撮影時の方角に合わせた向きでの写真配置などが可能となり、UC-win/Road上に配置した建物モデルと実際の取材写真の比較や、風景や景観の比較検討などもより容易になります。また、VR-Cloud®で使用すれば、写真を利用したより詳細な情報共有が可能になり、街づくりにおけるディスカッションなどでも絶大な効果を発揮します。
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■図2 VR空間上にGPSデータ付き写真を表示させた場合のイメージ例。
位置や向きなどに合わせて配置させることも可能 |
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こちらも現在開発中の機能となりますが、専用の3D作成ソフトウェアで行われているモデリング作業をUC-win/Roadで行うため、GPSおよび方角のデータを活用したモデリング方法の研究を行っています。これは、2枚以上の写真データを基に、構造物の任意の頂点を指定することで、写真データの指定した頂点がそれぞれ同一のものであることを認識させ、撮影時の位置・撮影方角および仰俯角を設定することにより、各カメラの撮影位置から指定した頂点までの線の交わる場所を判定し、自動的に写真の角度およびサイズを調整して、モデリングの際の参考にする支援機能です。また、組み合わされた資料写真をそのままテクスチャに加工することも可能になります。ただ、カメラが受信するGPS情報は現状では十分な精度を得られないため、現状では手入力による補正が必要になります。
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■図3 2枚の写真で同一の頂点となる箇所を指定。この場合はビル上の赤い点 |
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■図4 頂点を指定して読込後、座標と角度を考慮して撮影位置から指定頂点位置を
結んだ線同士が重なる場所で画像を組合わせると、立体が形成される |
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(Up&Coming '12 夏の号掲載) |
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