擁壁の設計での各種計算は、詳細入力で設定された値を基に行われますが、詳細入力の最初の設定値は初期入力で指定された適用基準や形状、材料、部材、荷重などの基本的な諸条件から自動で設定されます。従って、初期入力とは、詳細入力の各画面の初期設定を行うためのものであり、簡易な形状や条件の擁壁であれば初期入力の画面の設定のみで各種照査が行えます。初期入力としては、主に以下のものがあります。
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基本的に以下の6つの基準類より選択します。この選択により、形状の設定値や照査内容等が変わります。
- 「土工指針」 : (社)日本道路協会、道路土工 擁壁工指針
- 「標準設計」 : (社)全日本建設技術協会、土木構造物標準設計
- 「設計要領」 : 東・中・西日本高速道路、設計要領
- 「道示IV」 : (社)日本道路協会、道路橋示方書・同解説 IV下部構造編
- 「土地改良」 : 農業土木学会、土地改良事業計画設計基準設計「農道」基準書・技術書
- 「宅地防災」 : ぎょうせい、宅地防災マニュアルの解説
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形状タイプや設計方法、基礎形式などを指定します。
形状タイプ
『逆T型、L型、逆L型、重力式、もたれ式、ブロック積、U型、混合』の8タイプから選択します。
設計方法
既に設計する寸法や配筋が決定している時は形状入力を、試行計算によって寸法や配筋のパラメータを決定する場合や許容値と概略のみ決定している時は自動決定を選択します。なお、標準図集を選択している場合、標準設計図面集に基づいた初期形状の設定を行います。
基礎形式
直接基礎、直接基礎(段差フーチング)、直接基礎(置き換え基礎)、杭基礎から選択します。なお、杭基礎が選ばれた場合、弊社製品の「基礎の設計計算/杭基礎の設計」との連動が行えます。
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形状タイプごとの断面寸法(高さ・幅・勾配)や盛土土砂の情報(盛土勾配や盛土形状、全面土砂高、根入れ深さ、内部土砂高)、衝撃力・崩壊土(落石防護柵や急斜面形状等)を指定します。なお、盛土形状は、N=1/tanα(α:盛土角度)で、盛土形状は擁壁全高Hと盛土高さHoの比(Ho/H)を入力します(図1)。
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■図1 断面寸法、盛土土砂の情報、衝撃力・崩壊土の指定 |
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土砂(裏込め土や支持地盤、埋戻し土)の土質タイプ(地盤の摩擦係数、 単位重量、内部摩擦角等に関する土質データ)や、配筋標準ピッチを指定します(図2)。
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■図2 土砂の土質タイプ、配筋標準ピッチの指定 |
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荷重ケースや水位、載荷荷重などを設定します。なお、荷重ケースは「常時」以外に「常時/地震時」が指定できますが、「常時/地震時」が選択された場合、設計震度(地震規模・地域区分・地盤種別)の設定が行えます(図3)。
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■図3 荷重ケースや水位、載荷荷重などの設定 |
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各種照査(鉛直支持力照査、底版剛体照査、竪壁変化位置照査)や計算(危険水位の算出、杭の許容支持力の算出)、考慮(壁面地盤反力の考慮、U型擁壁の剛域考慮)をするしないを指定します。また、安定計算や断面計算の方法を「許容応力度法,限界状態設計法」から選択します。なお、初期入力は、主だった詳細入力のデータを生成しセットすることを目的としており、計算に使うデータは各詳細入力画面のデータになりますので、特殊なケース等は各詳細入力画面で追加する必要があります(図4)。
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■図4 各種照査や計算、考慮の指定 |
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(Up&Coming '11 盛夏の号掲載) |
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