イージースラブ・ラーメン橋は、比較的小規模な橋梁に適した工法で、上部工としてH鋼を使用してスラブを形成し、橋台との一体化によるジョイントレス構造となっています(図1)。
■図1 平板要素の解析結果例 (壁=平板要素、柱=ファイバー要素)
Up&Coming86号では、レベル2地震動に対する耐震照査を行うために開発したEngineer's Studio(R)データエクスポートオプション機能について紹介しましたが、2009年8月の有償改訂版リリース以降、その他数々の機能追加・改善を行い、設計の実務に対応すべくプログラムの強化を行っております(図2)。今回は、その中で主な項目を取り上げて紹介します。
■図2 ESレベル2照査用データのモデル画面
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ラーメン橋の図面として、上部工構造図、頂版構造物、主桁加工図、小部材加工詳細図、橋台竪壁配筋図(図3)、橋台基礎杭詳細図などを用意しています。杭は、鋼管、場所打ち、PHC杭、SC杭に対応しています。その他、矢板式など、必要と思われる作図機能にはほぼ対応しています。また、図面機能の充実に加えて、数量計算、工事費計算についても精度を向上させました。
■図3 橋台竪壁配筋図
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杭基礎タイプとして、回転杭を追加しています。回転杭とは、先端に羽根を設けた鋼管を回転させることにより地盤中に管入される杭で、「杭基礎設計便覧 平成18年度改訂版」に追記された比較的新しい杭種です。杭の諸元を直接入力する機能を合わせ、全9種類の杭タイプに対応しています。
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下部工(竪壁、底版)において、ひび割れモーメント、降伏モーメント、終局モーメントを出力するようにしました。「Mc<My<Mu」の関係の確保を確認する機能です(図4)。ただし、部材に生じる曲げモーメントの1.7倍がひび割れモーメント以下の場合には、仮に、上記の関係が確保されていない場合でもOKと判断しています。
■図4 Mc、My、Muの照査結果画面
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指定された地震動レベルに応じて、道示Vに準拠した設計水平震度の標準値を算出する機能を「付属設計」として用意しました。当該橋台の設計水平震度の標準値および橋台の許容塑性率(仮定値)から算定した設計水平震度を用いて変位を算定します。許容塑性率が「基本条件」で入力されている場合は入力値を、入力されていない場合は「3.0」を仮定値として用います。
荷重条件として、自重は全部材について部材分布荷重、部材集中荷重を各部材両端の格点集中荷重に置き換えて、鉛直集中荷重を自重として考慮します。自重相当の水平方向(右向きがプラス)に同じ大きさの荷重を載荷します。さらに、橋面荷重、雪荷重(活荷重なし)を考慮します。
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今後の開発のテーマとしては、旧活荷重の線荷重強度、等分布荷重強度の編集機能が挙げられます。また、Engineer's Studio(R)データのエクスポートモデルにおいて、上部工にもファイバー要素を用いるように改善することを予定しています。
本製品の開発において培ってきたレベル2照査機能を、その他の橋梁製品にも取り入れていきたいと考えています。 |
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