|
|
●プログラム概要
「UWLC Ver.2.0」について紹介をさせて頂きます。本プログラムは、有限要素法にもとづく地盤の動的有効応力解析を行い、表層地盤の地震応答、構造物と地盤の動的相互作用および砂地盤の液状化を解析するプログラムです。土の構成モデルに弾塑性モデル、非線形モデルを用い、大規模地震における地盤変形を求めることが可能です。本バージョンにて、パラメータ決定機能が強化されました。従来から本体に付属している液状化パラメータ決定機能をもつ要素試験シミュレーションプログラムに加え、新たに最適化手法による同定解析プログラムを付属プログラムとして追加しました。また、本体プログラムの材料パラメータ設定に標準貫入試験値から砂のパラメータを推定する機能を追加しました。
●材料パラメータの同定解析が可能
砂および粘土の土には、地震時の動的変形特性としてひずみ依存性があります。これは、せん断ひずみγの増加にともない、せん断剛性Gが低下し履歴減衰hが増加する性質です。全応力法および有効応力法を問わず土の動的変形特性として地震など繰り返し荷重がかかる状態において、せん断ひずみの増加とともに次第にせん断剛性が低下し、エネルギーの消費を表す減衰が増大します。この特性は、振動三軸試験や中空ねじり試験などの室内試験において、繰り返し交番荷重をかけて土のせん断ひずみの計測しG〜γ曲線として結果が求められます。今回、UWLCに最適化手法による同定解析プログラムが加わり、室内試験によって求められたGとγの値から、土の構成モデルに最適なパラメータを決定する機能を有しています。適用できる土の構成モデルはRO
(Ramberg-Osgood) モデル、HD(Hardin-Drnevich) モデルおよびUW Ugai-Wakai)-Clayモデルです。
この同定解析プログラムは、本体とは独立して付属のプログラムとして利用できます。同定解析プログラムで得られた最適なパラメータは、UWLC本体で材料プロパティの設定に読み込むことができます。また、土の構成モデルUW-Clayについては、決定されたパラメータを従来からの要素試験シミュレーションプログラムで読み込み、応力ひずみ曲線等をシミュレーションすることができます。
|
▲最適化手法による同定解析 |
●N値から砂の構成モデルパラメータを推定可能
一般的に地震時の現象を精密にモデル化し、詳細な入力データ及び高度な技術的な判断を要します。特に、液状化の可能性がある砂の土の構成モデルについては、今回、本バージョンにて標準貫入試験N値からパラメータを推定する機能を追加しました。これは、N値から一旦、内部摩擦角や変形係数を求め、さらに砂の構成モデルに用いられるパラメータを推定する機能です。従来のバージョンから付属する要素試験シミュレーションによって詳細に土の構成モデルについて検討を重ねることができます。
UWLCには液状化の土のモデルとして弾塑性モデル、PZ-Sand(Pastor-Zienkiewicz)モデルが用意されています。従来はパラメータを決定するために内部摩擦角や変形係数を事前に求め、変相線を定義するパラメータ等を式によって計算する必要がありました。変相線とはモールの応力円が変相線以内の応力状態であれば砂は収縮し、変相線以上の応力状態であれば膨潤する砂のダイラタンシーの収縮と膨潤の変化を応力空間で定義する線です。今回の推定機能によってN値からパラメータを推定することが可能となりました。
|
▲PZ-sandのパラメータ推定 |
●他のファイル形式との互換性強化
当社の地盤解析シリーズでは、有限要素法にもとづく解析ソフトGeoFEAS2D、あるいはVGflowを用いて静的な地盤変形解析や浸透流解析を行うことができます。それぞれの製品では、解析対象となる地盤などのモデルを有限要素(メッシュ)でモデル化する必要がありますが、設計で作成したCADファイルやスキャナーで読み込んだ図面からモデルの外形線を読み込む機能として、「SXF生成ツール」が組み込まれています。今回のUWLCのバージョンにも装備されました。また、CADファイルとしてインポートできるファイル形式にDXF,DWG形式を新たに加え利便性を高めました。
さらに当社のUC-1シリーズ「柔構造樋門の設計」との連動を意識して、モデル形状を保存するGF1形式のファイルについて読み書きが可能となりました。ちなみにGeoFEAS2Dについても既に標準装備され互換性が高められています。
|
▲柔構造樋門の設計からインポート |
●モデル作成機能の強化
UWLCのモデル作成時に画面上では認識しにくい近接点、すなわち1点に画面上では見えるようで拡大すると近接して2点あるような点についてチェックする機能を追加しました。この機能をもうけることでモデル作成時に発生しやすい間違いや解析不要なモデルを作成してしまうような過ちを予め回避し、正常なモデルに修正することが可能となります。
CADファイルを読み込みモデルを生成する場合などモデルの外形線や地層の区分などの線は一般図で描かれているので、線分は節点は有限要素モデルとして四角形あるいは三角形の閉合したメッシュとなっていない状態でUWLCにインポートされます。近接する節点や閉合していない図形が一つでも残っていると有限要素モデルとして解析ができません。そのため、プログラムで近接点を表示し、閉合していない図形を表示して確認し、修正しやすくなりました。
|
▲閉合チェック |
●鉛直地震動の入力震
今回のバージョンより水平方向と鉛直方向の2方向について同時に地震動を入力することが可能となりました。
|
▲地震波形の設定 |
|
|
■地盤の動的有効応力解析(UWLC) Ver.2 リリース日:2010年1月29日 |
(Up&Coming '10 新春号掲載) |
|
|
>> 製品総合カタログ
>> プレミアム会員サービス
>> ファイナンシャルサポート
|