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「深礎フレーム Ver.6」では、NEXCO設計要領第二集(平成21年12月17日付け通達(NEXCO西日本))への対応、並びに、平成22年2月2日付け通達の一部内容変更に対して、設計技術者の皆様にいち早くご使用頂くために、この度、プログラム緊急対応を行いました。主な対応内容は、(1)塑性化後のせん断定数の扱いを変更、(2)杭周面のせん断地盤反力度の上限値の扱いを変更、これらの2項目が機能追加となります。また、一部入力画面の改善として、周面摩擦力度データ画面について、地層数の増加(5層→10層)、地盤種別の選択を岩盤・砂質土・粘性土の3種類に細分化、地盤定数(γ、C、φ)について地層データからのコピー機能の追加を行いました。
●塑性化後のせん断定数の扱いを変更
塑性化後のせん断定数の扱いを次のように変更しました。「旧設計要領(H21.7まで)」、あるいは、「新設計要領(H22.2)」のいずれかを選択可能とし、「新設計要領(H22.2)」では次の箇所を変更しています。
- 土砂〜軟岩の場合 : 粘着力 Co=C (変更なし)、せん断抵抗角 φB=φ
- 中硬岩の場合 : 粘着力 0≦Co≦(1/3)C、せん断抵抗角 φB=(2/3)φ (設計要領第二集p4-83、表4-5-8参照)
旧設計要領(H21.7まで)
計算内容 |
土砂〜軟岩(CL) |
中硬岩(CM以上) |
粘着力Co |
Co=C |
Co=0 |
せん断抵抗角φ |
φB=φ'(φ'=φ≦30°) |
φB=2/3φ'(φ'=φ≦30°) |
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新設計要領(H22.2)
計算内容 |
土砂〜軟岩(CL) |
中硬岩(CM以上) |
粘着力Co |
Co=C |
0≦Co≦(1/3)C |
せん断抵抗角φ |
φB=φ |
φB=(2/3)φ |
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今回の通達では、塑性化後のせん断定数の強度の考え方について変更がなされました。従来、中硬岩の場合は一律に粘着力を0評価とする仕様であったため、水平方向安定度照査における前面地盤の塑性化領域の抵抗力Ro(=くさび状の土塊ブロック部分のすべり抵抗力)の評価式において、すべり面の粘着抵抗が全く考慮されないということとなり、塑性化領域の抵抗力Roが極めて小さくなり、塑性化領域の拡大につながり、結果として杭長が大きく必要になる設計ケースが少なくなかったと考えられます。
今回、塑性化後のせん断定数の強度の考え方の変更により、中硬岩の場合において、すべり面の粘着抵抗が0≦Co≦(1/3)Cの範囲において考慮できることとなりました。この結果、塑性化領域の抵抗力Roを大きく評価できることとなり、結果として地盤抵抗を大きく考慮できるようになります。当然のことながら、設計的にも有利な方向となり、杭長、杭径、鉄筋量等々を削減できると考えられ、経済的な設計が期待できます。
塑性化領域の抵抗力Roの評価式
ここに, |
Ro |
:塑性化領域の極限抵抗力(kN) |
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Wo |
:塑性化領域の岩盤重量(kN) |
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φB |
:塑性化領域と弾性領域のすべり摩擦角(度) |
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Co |
:塑性化領域と弾性領域の粘着力(kN/m2) |
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αo |
:極限水平支持力を与えるすべり角(度) |
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●杭周面のせん断地盤反力度の上限値の扱いを変更
杭周面のせん断地盤反力度の上限値の扱いを次のように変更しました。「旧設計要領(H21.7まで)」、あるいは、「新設計要領(H22.2)」のいずれかを選択可能とし、「新設計要領(H22.2)」では次の箇所を変更しています。
これまでの地盤種別のうち「砂質土および岩盤」を「岩盤」と「砂質土」に細分化し、岩盤については弾性領域と塑性化領域の区分を設けてせん断地盤反力度の上限値を算出。砂質土については従来式での算出とします。(設計要領第二集p4-85、5-11参照)
旧設計要領(H21.7まで)
杭周面の最大せん断抵抗力度f(kN/m2)
砂質土および岩盤 |
f=min[5N、(C+po・tanφ)] ≦ 200 (kN/m2) |
粘性土 |
f=(C+po・tanφ) ≦ 150 (kN/m2) |
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新設計要領(H22.2)
杭周面の最大せん断抵抗力度f(kN/m2)
岩盤 |
弾性領域 |
f=C+po・tanφ |
塑性化領域 |
f=Co+po・tanφB
ただし、0≦Co≦(1/3)C、φB=2/3φ |
砂質土 |
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f=min[5N、(C+po・tanφ)] ≦ 200 (kN/m2) |
粘性土 |
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f=(C+po・tanφ) ≦ 150 (kN/m2) |
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従来、岩盤の場合は一律に砂質土の評価式と同一仕様であったため、杭周面のせん断地盤反力度の上限値fの評価式において、中硬岩、硬岩等の類であっても砂質土と同じ扱いとされ、杭周面の摩擦抵抗力fが極めて小さくなり、結果として杭長が大きく必要になる設計ケースが少なくなかったと考えられます。
今回、地盤種別が「岩盤」と「砂質土」に細分化され、岩盤については弾性領域と塑性化領域の区分を設けてせん断地盤反力度の上限値を算出できるようになりました。この結果、岩盤の杭周面のせん断地盤反力度の上限値fを大きく評価できることとなり、結果として地盤抵抗を大きく考慮できるようになります。こちらも当然のことながら、設計的にも有利な方向となり、経済的な設計が期待できます。
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▲詳細設定データ−設定6(新旧設計要領の適用選択) |
●周面摩擦力度データ画面
入力画面の改善として、周面摩擦力度データ画面について、地層数の増加(5層→10層)、地盤種別の選択を岩盤・砂質土・粘性土の3種類に細分化、地盤定数(γ、C、φ)について、地層データからのコピー機能の追加を行いました。
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▲周面摩擦力度データ画面 |
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■深礎フレーム Ver.6 リリース日:2009年2月15日 |
(Up&Coming '10 新春号掲載) |
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