●節点質量の表形式入力
節点に質量を直接与えることができるようになりました(図1)。1つの節点に対して、並進方向3成分(全体座標系のX、Y、Z)と回転慣性質量3成分(全体座標系のX軸回り、Y軸回り、Z軸回り)の合計6成分を与えます。
要素から節点質量を算出させることも可能です。「要素から計算」というボタンを押すと自動算出されます。節点質量は、モデル設定画面にある「質量マトリクスの作成方法」が「集中質量」に指定されているときに有効です(図3)。集中質量法は精度が良くないことが知られていますが、考え方がシンプルであること、内部的には質量マトリクスが対角成分だけになって行列計算が容易になることから、よく用いられます。節点質量を表形式で与えた場合は、プログラムが自動算出する死荷重や水平震度荷重も節点への集中荷重として反映されます。 |
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▲図1 節点質量の表形式入力 |
●梁要素の初期断面力
梁要素に初期断面力を設定できるようになりました(図2)。部材だけでなく、ばね要素にも与えることができます。初期断面力とは荷重が載荷される前の初期応力状態を再現するための力です。梁要素では材端での曲げモーメント、せん断力、軸力を与えます。ばね要素では、ばね要素の要素座標系におけるxl方向の力、yl方向の力、zl方向の力、およびそれぞれの軸回りの回転力(モーメント)を与えます。本バージョンでは未だ平板要素に初期断面力を与えることはできません。今後の改訂で対応する予定です。 |
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▲図2 梁要素の初期断面力 |
●幾何剛性を考慮した固有値解析
固有値解析は剛性マトリクス[K]と質量マトリクス[M]より、
|[K]−ω2 [M]|=0
を解いて固有振動数ωを求めます。従来までは、剛性マトリクスには線形弾性の剛性マトリクス[K0]を用いていました([K]= [K0])。今回より幾何剛性マトリクス[KG]も考慮することができます。幾何剛性を考慮した場合は上式中の[K]は、[K]=
[K0]+[KG]となります。モデル設定画面の「固有値解析オプション」で指定します(図3)。[KG]を作成するために初期断面力の設定が必要です。 |
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▲図3 モデル設定画面 |
●平板要素のコンタ図表示
平板要素の結果をフルカラーのコンタ図で可視化しました(図4)。コンタ図で表示可能な結果は、変位・応力・ひずみ・曲率・断面力(面内垂直力、面外曲げモーメント、面外せん断力)です。これらの結果は、平板要素が弾性要素でも非線形要素でも表示されます。
構造物を平板要素を用いてモデル化すると要素数が多くなる傾向があります。要素数が多くなると計算結果も膨大になります。そのため、すべての結果を全ての解析ステップで保持することが困難です。本プログラムでは、節点に関する結果(変位・反力)は全て保存し、要素に関する結果は着目している結果の種類が最大最小となるステップだけを保存しています。したがって、ステップ1から順にコンタ図の色が変化するアニメーション機能は、変位だけとなります。要素の応力、ひずみ、曲率、断面力等のコンタ図は、それらの数値がモデル全体で最大(正の最大値)若しくは最小(負の最大値)となるときのステップでのコンタ図を意味します。
変位のコンタ図とモデルの変形状態を同時にアニメーションさせることが可能です。これにより、変形が大きくなっていくにつれて、その部位のコンタ図の色も次第に変化していく様子が確認できます。 |
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▲図4 平板要素のコンタ図表示 |