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UC-win/WCOMDは、東京大学コンクリート研究室で開発された数値計算部(ソルバー)に弊社が入出力画面(プレ・ポスト処理)を追加した2次元有限要素非線形解析プログラムです。今回の改訂では、東京大学コンクリート研究室から受領した最新の計算部を製品へ反映させて、それに伴う機能追加を行いました。また、節点数や解析ステップ数の多い大規模モデルに対しても計算が可能になり、同時に計算速度も大幅に向上しました。
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●収束安定性の向上
地盤要素や接合要素(RCジョイント要素、ユニバーサルジョイント要素)に対する数値計算上の収束安定性が向上しました。例として、従来の版でRCジョイント要素を用いたモデルを動的応答計算させると入力地震波形の最大加速度を過ぎた小さな振幅領域で計算が発散していたモデルが、最後まで計算できるようになりました。
●大規模モデルの計算
従来の版では、節点数・要素数・解析ステップ数のそれぞれが多い大規模モデルでは計算ができない場合がありました。今回の改訂では、モデル化可能な節点数が500万節点までに拡張されたこと、プログラムが消費するメモリ消費量を大幅に低減したことによって、大規模モデルの計算が可能になりました。特に、地盤要素が多い地中構造物の動的応答計算では、入力地震波形の時間領域を範囲選択して解析ステップ数を数百に低減するなどが必要でしたが、その様な工夫が不要になりました。地震波形全部を指定して計算させることも可能と思います。
●計算速度の向上
製品に添付しているサンプルモデル「subway(s5)」(節点数1358、要素数437)に約1200ステップの波形を入力したモデルを例にとると、従来版で約260分、改訂版で約35分でした。この例では約7倍以上の速度改善効果がみられました。このような速度改善効果はモデルの状態に因りますが、従来よりも確実に計算時間が短くなったと言えます。
●鉄筋構成則に座屈モデル追加
今回新たに追加された座屈モデルは、ニュージーランドのカンタベリー大学助教授、R.Dhakal博士の研究成果です。これを用いることによって、最大耐力以降の挙動を精度よく求めることができます。入力パラメータとして2つの座屈長を与えます(図-1)。荷重変位曲線では、鉄筋の座屈を考慮することによって耐力が低下する現象をみることができます(図-2)。 |
▲図1 鉄筋材料の入力画面 ▲図2 座屈を考慮した荷重変位曲線
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●地盤構成則の機能追加
地盤材料に「非排水状態」オプションが追加されました(図-3)。これを指定すると完全非排水型で間隙水の移動を考慮しないことを仮定します。液状化問題に対する解析では、設計上より厳しい側の結果となります。また、地盤の純せん断応力-せん断ひずみ関係における最大せん断強度以降の勾配を変化させるオプションが追加されました(図-3)。両方ともアドバンスモードでのみ利用可能です。
●入出力画面の改善
入出力画面の改善をいくつか行いました。
・複数の地盤材料がある場合は自動的に色分けして表示するようにしました(図-4)。これにより、異なる地層の様子が視覚的に
把握できるようになりました。
・節点サイズ、ガウス点サイズの大きさを調整できるようにしました。これにより、節点やガウス点を選択する操作が容易になりました。
特に、ジョイント要素のガウス点の選択が困難だったことが改善されました。
・入力データのレポート出力で、各要素が使用している材料種類を番号表示から材料名称に変更しました。これにより、要素表が
わかりやすくなりました。
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▲図3 地盤材料の入力画面 ▲図4 地盤要素の材料別色表示 |
●今後の予定
UC-win/WCOMDは2次元平面問題を扱いますが、これを3次元空間に適用した板要素を新製品として予定しています。板要素では、平面内の変形だけでなく面外の変形も扱うことができます。鉄筋コンクリートの非線形構成則は、UC-win/WCOMDに用いられているものを踏襲します。リリースまではしばらくお時間を頂くことになりますが、どうぞご期待ください。
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■UC-win/WCOMD Ver.2.0 リリース予定日:2006年10月
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