| 今回はMultiframeによる鉄骨ブレースと露出柱脚のモデル化について、お話しさせていただきます。 建築物の設計では一貫計算プログラムを用いて応力解析、断面検定を行うことが多いと思います。一貫計算プログラムでは、鉄骨ブレースを柱梁部材心の交点に配置することになります。但し、柱脚部ではベースプレートの下端レベルに配置することが多いため、ブレース端部から基礎梁心の間で偏心モーメントが生じることになり、別途検討が必要となります。その検討応力についてMultiframeを用いて算出したいと思います。 
 
        
          
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            | 図1 ブレースと露出柱脚部のディテール |  
 1.モデルの作成 今回の対象構造物はスパン6m×高さ4mの一構面とします。「フレームウィンドウ」にて、以下の設定をします。 
        ラーメン生成、「ベイ数=1」「階数=1」「フレーム数=1」「ベイの間隔=6m」「階の高さ=4m」ビューを「正面表示」に切り替え、上部梁を選択し、「作成|複製」にてy方向を-4mと設定します。下層柱脚部を選択し「ピン拘束」、
        左柱を選択し、「作成|部材分割」にて下部の長さを0.5mと設定。
        「作成|部材追加」にてブレース材を配置
        セクションタイプは全てH-250x250を設定、
        ブレースと上部梁を選択し、ピン端部とします。
        
 
        
          
          
            
              
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                | 図2 ラーメン生成 |  2.露出柱脚回転バネと剛域の設定 「鋼構造接合部設計指針」に準じ、露出柱脚部の回転バネを算出し、柱脚部に設定をします。 剛域は「オフセット」機能より、基礎梁断面内に設定しますが、ブレースの接合部では節点間全てを剛域とすることはできないため、499mmまでを剛域とします。 
 
        
          
          
            
              
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                | 図3. 露出柱脚部の回転バネ |  
 3.荷重の設定と解析実行 「荷重ウィンドウ」にて、以下の設定をします。
 
        ビューを「正面表示」に切り替え 
        
        
              
        上層梁、ブレース、柱の交点を選択し、「節点荷重」にて左向きに100kNと設定、
        
              
        「解析|線形」にて解析を実行します。
            
       
        
          
            
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              | 図4 モデル図 |  
 4.解析結果の確認 「プロットウィンドウ」にて、曲げ応力や架構の変形に異常がないことを確認します。(左図はブレースによる偏心モーメント有、右図は柱梁交点部ブレースを設けた場合) 
        
          
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            | 図5 解析結果|曲げ応力図 |  
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            | 図6 解析結果|軸力図 |  
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            | 図7 解析結果|変位図 |  
 5.考察 図5を見るとブレース軸力による偏心モーメントを基礎梁で負担しています。図6ではブレースの勾配分だけ左の方が軸力が小さくなっていることが分かります。図7ではブレースの傾斜角より左の方が剛性が高くなるため変位量が小さくなっています。今回のモデルは1層のモデルですが、複数層の場合、上層の剛性率に悪影響を与える可能性があるため注意が必要です。 基礎梁についてのみ一貫計算プログラムより応力が増加したことになるので、この応力を追加応力として考慮して基礎梁の設計を行うことになります。 
 ■ Multiframe CONNECT Edition v21.13.00.19 2018年12月リリース■ 開発元:Bentley Systems (Formation Design SystemsはBentleySystemsに吸収合併)
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