はじめに
「柔構造樋門の設計・3D配筋」では、本体縦方向の即時沈下量、側方変位量、圧密沈下量の計算を行い、残留沈下量を算出します。今回は、即時沈下量計算時にご注意いただきたい点についてご紹介いたします。
即時沈下量計算時の等分布荷重
柔構造樋門の即時沈下量の計算については、「柔構造樋門 設計の手引き」P-84から85には、堤体を等価な複数の帯状荷重に近似して沈下量の分布を求めると記載があります。この時の帯状荷重(等分布荷重)は、図1のように、盛土を横方向にスライスして分割したものになります。
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図1 即時沈下の計算モデル |
等分布荷重の自動生成
本製品の即時沈下量、側方変位量の計算は、入力された堤防盛土から、等分布荷重を内部生成します。通常は、図2のように横方向の分割により等分布荷重を生成します。
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図2 横方向分割時の等分布荷重 |
ただし、堤防盛土の形状によっては、横方向の荷重分割が不可能と判断され、図3のように縦方向の荷重分割を行うことがあります。この縦方向の分割は、横方向分割とは異なりますので、前述の「柔構造樋門
設計の手引き」に準拠する場合は適切なモデル化ではないと考えられます。
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図3 縦方向分割時の等分布荷重 |
縦方向の荷重分割時の修正方法
荷重分割が縦方向となった場合、等分布荷重が横方向の分割となるように入力を修正する必要があります。今回は、等分布荷重を任意盛土荷重として入力する方法についてご紹介します。
- 本体縦方向|盛土|堤防盛土入力画面より、縦方向の分割となる盛土ブロックの「沈下計算」を「圧密」に変更します。この変更を行った盛土ブロックは即時・側方沈下量の計算には使用されなくなります。なお、圧密沈下量の計算については、縦方向に荷重分割を行いますので、縦方向分割となる盛土ブロックを用いることができます。
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図4 堤防盛土入力画面の修正 |
- 図5のように堤防盛土を横方向に分割します。
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図5 堤防盛土の分割例 |
- 分割した各荷重について、本体縦方向|盛土|任意盛土荷重入力画面にて図6のように入力します。この時、沈下計算は「即時・側方」を指定します。この指定により、任意盛土荷重は即時・側方沈下量の計算にのみ使用されます。
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図6 任意盛土荷重入力例 |
修正後の等分布荷重につきましては、沈下量計算結果確認画面より確認する事ができます。図7より、横方向の分割となったことが分かります。
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図7 荷重分割修正後の等分布荷重 |
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