我が国では下水道の整備に伴い、下水道管路施設の総延長は44万kmを超えています。そのうち、布設後50年を超える管路も1万kmに達しています。今後も高度経済成長期に敷設された管路が次々と耐用年数を迎え、老朽化が進んでいきます。管きょ更生工法は、非開削で行える管きょの効率的な老朽化対策であり、今後ますます利用されるものと思われます。ここでは、新製品としてリリースする「更生管の計算」について、以下にその概要を紹介いたします。 |
更生管は、その構造形式として自立管や複合管に分類することができますが、本製品ではまず、更生材のみで新設管と同様の耐荷能力を有する自立管の計算をサポートします。
適用基準として、公益社団法人 日本下水道協会「管きょ更生工法における設計・施工管理ガイドライン(案)」及び「更生管の手引き(案)」に準拠しています。また、緩み土圧の計算方法については、同協会の「下水道推進工法の指針と解説」を参考にしています。 |
更生自立管の常時の計算(管厚算定)では、作用荷重として、土による鉛直土圧と活荷重による鉛直土圧を考慮します。土による鉛直荷重の算定方法は、管周辺の地盤が乱されない場合はヤンセン公式、乱される場合は直土圧公式、推進工法で布設された管きょについては緩み土圧で算出するのが基本となり、プログラムでは任意に選択が可能となっています。活荷重による鉛直土圧は、T荷重の後輪荷重によるものとなり、「道路橋示方書・同解説」(社団法人日本道路協会)に準じたものとなります。
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▲図1 ヤンセン公式説明図 |
管厚の算定方法としては、曲げ強度から求める管厚とたわみ率から求める管厚があります。それらと各工法ごとに定められる最小更生管厚のうち、一番大きなものが設計管厚となります。 |
耐震設計では、同協会の「下水道施設の耐震対策指針」における「一体構造管きょ(硬質塩化ビニル管(接着接合管路))」として、応答変位法によるレベル1、レベル2地震時の照査を行います。照査内容としては、管軸方向の計算およびマンホールと管きょの接続部についての計算に分類でき、軸方向の照査項目としては地震動による管体応力、液状化による側方流動による管体応力、液状化による地盤沈下による管体応力が可能です。接続部の照査項目としては、地震動による屈曲角・抜出し量、側方流動による抜出し量、地盤沈下による屈曲角・抜出し量が可能で、照査項目は任意に選択可能としています。
耐震計算で必要となる地盤の特性値や固有周期、せん断弾性波速度等については、プログラムでの自動算出だけでなく、設計者が任意に指定することも可能です。
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▲図2 側方流動による発生応力 |
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更生管の計算では、管の構造計算の他、液状化の判定にも対応します。液状化の判定は、「道路橋示方書・同解説 X耐震設計編 公益社団法人 日本道路協会」に準拠したものとなり、準拠基準として、平成14年版と平成24年版の基準から選択することができます。 |
更生管には様々な工法があり、その工法により構造計算に必要となる物性値(強度、弾性係数)や許容屈曲角、許容抜き出し量が異なります。更生管の計算では、工法ごとの物性値や安全率を基準値として登録することができます。登録した基準値は、基本条件の画面から呼び出すことができ更生管の設計条件の入力の手間を省くことができます。基準値に登録されていない更生工法についても、基本条件の画面で直接物性値等を入力することにより、検討することができます。 |
今後、ユーザ様からのご意見,ご要望を取り入れ改善・改良を加えて参ります。どうぞご期待ください。 |
(Up&Coming '14 秋の号掲載) |
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