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震度算出(支承設計)のなぜ? 解決フォーラム
負の分担重量はどうして算出されるのか
 
 負の分担重量が算定される
複数下部構造の解析を行う場合、モデルによっては、負の分担重量が算定される場合があります。分担重量は、上部構造と下部構造の自重を水平方向に載荷して行うFrame解析により算定されます。具体的には、下部構造天端位置に発生するせん断力の値が分担重量となります。

■図1 Frame解析モデル

では、負の分担重量が発生しているというのは、どのような状態なのでしょうか。図2をご参照下さい。

■図2 下部構造変位図

  • δ1は橋脚に自重を載荷した場合の変位
  • δ2は橋脚に自重と上部構造重量を載荷した場合の変位
を表しています。通常であれば当然、上部構造の重量が加わったδ2の方が大きくなります。負の分担重量が発生している状況では、この関係が逆転します(δ1>δ2)。隣接する下部構造の剛性が大きく、下部工が自重により大きく変位しようとしているのを上部構造に引き戻される様な状態となる場合が該当します(図3参照)。

■図2 下部構造変位図

1基下部構造計算では、下部構造単体のモデルにより解析をおこなうので負の分担重量が発生することはありません。複数下部構造解析において、下部構造剛性比が大きく異るとこのような状況が発生する場合があります。

お問い合わせのほとんどのケースは、モデルの特性により負の分担重量が発生しているもので、入力データに問題があるわけではありません。しかし、稀に入力データの設定ミス(例:基礎ばねの入力指数を間違えて極端に小さいばね値が設定されている等)のために下部構造の剛性が極端に小さくなっている場合もあります。負の分担重量が発生した場合は、「下部構造の水平方向の剛性」機能にて、各下部構造の水平剛性を比較していただき、剛性差が正当なものであるのかをご検証下さい。
 負の分担重量が発生した場合の対策は?
道路橋示方書X耐震設計編では、P82下段に「複数の下部構造で上部構造が支持される橋においては、支承条件や橋脚間の剛性の相違により、設計計算上、橋脚の慣性力の分担が小さくなる場合もあり、その結果として耐力が極端に小さい橋脚が設計される場合も生じる」との記述されています。負の分担重量が生じるケースは、これに該当する極端な例と言えます。
平成8年版の耐震設計編では、このようなケースで極端に耐力が小さい橋脚が設計されないよう、鉛直死荷重反力に設計水平震度を乗じた値の2/3を慣性力の下限値としていました。
平成14年版からは、単に慣性力を増加させて耐力の小さい橋脚が設計されないようにするだけでなく、橋全体系としての耐震性の向上を図る方法の選択も可能であると規定してることから、下部構造設計用の慣性力決定には設計者のご判断が必要であると考えます。

     
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(Up&Coming '14 盛夏の号掲載)
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