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ちょっと教えたいお話  BCMS(事業継続マネジメントシステム)

  • 日本ではこれまでBCMSの英国規格であるBS25999-2をフレームワークとした認証制度が実施されてきましたが、国際規格である ISO22301 が 2012 年 5 月中旬に発行されたことにより、認証体制の準備が整い次第この規格に切り替えられます。今後はISO22301をベースとしたBCMSの策定が普及していくものと思われます。

 BCMSとは

 早速ですが下の問いにお答えください。

あなたは社外にいて帰社中です。徒歩で最寄り駅へ向かう途中、激しい地震が起こり、周りの建物の窓ガラスや壁が崩れ落ちてきました。
  • この時あなたはどうしますか?
  • やっと揺れは収まりましたが、電車が止まり、道路も大混雑しています。そして携帯電話も使用できません。あなたはこれからどう行動しますか? 

 いかがでしょう。即答できない方も多いのではないでしょうか。地震以外にも鳥インフルエンザや洪水など、予期しない出来事は数多くあります。この質問に明確に回答できるようにするためには、予め自社で取り決めを作成し、社員を教育しておく必要があります。このような、災害時に企業の被害を最小限に食い止め、早急に復旧できるようにするための取り決めや関連する教育を含む体系的な仕組みが、今回のテーマであるBCMSです。BCMSとはBusiness Continuity Management System(事業継続マネジメントシステム)の略で、事業を継続するための体制を管理する仕組みのことです。これはまた、災害時に実効性のあるBCPを策定、運用、維持するための仕組みということもいえます。このためBCMSの構成要素は、BCPを策定するための部分とこれを運用・維持するための部分に大別できます。


 BCPとは

 BCMSの中核をなすBCPはBusiness Continuity Plan(事業継続計画)の略で、企業が自然災害などの緊急事態に遭遇した場合において事業資産の損害を最小限にし、中核事業の継続あるいは早期復旧を目指すための取り決めを指します。最初にあげた質問のように、初動対応や外出中の帰社・帰宅・避難の判断、通信手段の確保、事業資産の復旧方法など、前もって決めておける項目を定めた文書といってもよいでしょう。

 限られたリソースですべての業務を早期に復旧させることは困難です。事業の影響度を分析して早期に復旧したい事業を特定し、それを構成している業務に対してリソースを集中させ、図1のように目標時間内に目標レベルまで復旧させるイメージです。

▲図1 BCPのイメージ


 BCMSの必要性

 昨今の経済環境はIT化とグローバル化が進んだ結果、ビジネス活動のサイクルがますます加速しています。このような状況で、事業が中断し復旧の見通しが立たないと、得意先や顧客は別の企業に流れてしまいます。これがきっかけで競争力と信用力が著しく損なわれ、場合によっては廃業という事態も十分に考えられます。また、逆に地震・パンデミック等の広域災害で同業他社が同様に被災した中で、得意先や顧客に製品やサービスを提供し続けることができれば、競争力と信用力が飛躍的に向上するともいえます。このため、これからの企業にとっては、事業継続のために対策をしておくことが必要不可欠なのです。


 BCMSの最新の話題

 BCMSが適切に機能しているかは、第三者機関に認証してもらうことが一番です。たとえばJISやISOなどのようにBCMSにも認証規格が存在します。BCMSの認証規格としては、英国規格であるBS25999-2:2007があげられますが、今年の 5 月中旬に ISO22301:2012 が国際規格として発行されました。日本でこの規格に基づいた認証制度が開始されるのは11月頃になりそうです。それまでは各認証会社はプライベート認証という形
で認証活動を行うところが多いようです。日本ではすでに、5月26日付けで ISO2230:2012の認証を取得したという企業も現れました。 世界的にも極めて早期の取得です。


 フォーラムエイトにおけるBCMSの取組み

 フォーラムエイトでは昨年、東京発チーム事業継続の活動で
BCP の策定を行い、現在ISO22301の年内認証取得を目標にBCMSの構築・運用を行っております。また、BCP策定に役立つ製品として、「BCP作成支援ツール」も提供しております。詳細は当社HPの製品情報ページをご覧ください。


監修:株式会社 ヒルベット・ソリューション 代表取締役 小山 隆


     
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(Up&Coming '12 夏の号掲載)
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