誌上セミナー ●情報化講座 (3) |
監修 :
田中 成典 教授
関西大学
総合情報学部 |
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●UML(Unified Modeling Language)とは
オブジェクト指向分析、設計のためにシステムをモデル化する際の記法(図法)を規定した言語です。
●オブジェクトとは
ソフトウェアの開発技術の1つで、データとその操作、処理(入力、保存、表示など)をひとつのものとして広く捉えたものをさします。
●UMLの種類
UMLに規定されている図をダイアグラムと呼びます。UMLのダイアグラムには以下のものが定義されています。
システムや問題はどういったものなのかをよく考え、それにあわせて適切なダイアグラムを使い分けていくことが重要です。 |
定義内容 |
視点 |
ダイアグラム名 |
要求図 |
モデル化対象に対する要求を表す |
ユースケース図 |
構造図 |
モデル化対象の静的な構造を表す |
クラス図 |
オブジェクト図 |
振る舞い図 |
モデル化対象の動的な振る舞いを表す |
シーケンス図 |
コラボレーション図 |
アクティビティ図 |
ステートチャート図 |
実装図 |
モデル化対象の物理的な実装を表す |
コンポーネント図 |
配置図 |
■ユースケース図:
システムの提供するサービスとその利用者の関係を表したダイアグラムです。
■クラス図:
クラス間の静的な関係を表したダイアグラムです。非常に難しい部分をモデリングする際に使用します。
■オブジェクト図:
オブジェクトの関連を表したダイアグラムです。
■アクティビティ図:
操作や処理を行っている状態を簡単に表現することができるダイアグラムです。複雑な処理を表したいときに使用します。
■シーケンス図、コラボレーション図:
この2つをまとめて相互作用図といいます。相互作用図はオブジェクトどうしの協調動作を表すダイアグラムで、システムの振る舞いを直接記述することができ、コラボレーション図はオブジェクトの協調関係に注目したダイアグラム、シーケンス図はメッセージの順序に着目したダイアグラムです。
■ステートチャート図:
ある特定のオブジェクトに注目して、そのライフサイクルを表現することができるダイアグラムです。
■コンポーネント図:
ソフトウェア内部のコンポーネントに対する依存関係を表現するダイアグラムです。
■配置図:
システムの物理的な構成を表したダイアグラムです。
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●UMLモデリングの基礎
各ダイアグラムは以下の工程で使用されています。
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1. |
要求ワークフローユースケース図やアクティビティ図を中心に、ユーザからの要求を分析します。 |
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2. |
分析ワークフロー要求ワークフローで行ったユースケース図を中心に要求を分析、定義します。個々のユーザケースに対して具体的な処理の手順を行ってから問題領域の概念(クラス)の抽出が行われます。それらを、クラス図を使ってモデリングしたものを「概念モデル」といいます。 |
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3. |
設計ワークフロー要求、分析モデルをもとに決定されたアーキテクチャの中に論理的な設計モデルを構築します。アーキテクチャとは、ハードウェア、OS、ネットワーク、アプリケーションソフトなどの基本設計や設計思想のことをいいます。クラス図を中心にアクティビティ図、シーケンス図、コラボレーション図などが使用されます。 |
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4. |
実装、テストワークフロー設計ワークフローで行った設計モデルを中心にプログラミングが行われます。ダイアグラムはコンポーネント図を使用します。コンポーネント単位でテストを行い、完全性、信頼性を評価し、システムを完成させていきます。 |
●UMLの使用メリット
UMLは様々なレベルのコミュニケーションに役立ちます。
UMLのメリットは以下が挙げられます。
1.プログラムを書く前に、自分の考えを整理でき、効率よくプログラム作成ができる。
2.チーム開発において図でコミュニケーションすることにより、検討しやすくする。
3.ユーザと仕様を検討するとき、ユーザがシステムの機能を簡単に理解することができる。
UMLの最大のメリットは開発者間の共通言語になることです。
開発者間のコミュニケーションの道具としてUMLを使用すると、
・意味が正確に伝えられる。
・ノウハウが残せる
といったメリットが挙げられます。
言葉や文章を使ったコミュニケーションよりも曖昧性のない図を使用してコミュニケーションしたほうが、大量の情報を正確に伝えることが可能になります。システム開発では非常に重要なポイントです。
また、様々なノウハウをモデルという抽象的な形で残すことができ、システム完成後の使用変更・保守作業を簡単にすることができます。
UMLはソースコードよりも圧倒的に理解しやすい言語です。ダイアグラムを描くといった作業は大変ですが、システムの変更点、修正点、拡張点などがすくにわかり、どこまで変更すればいいのか簡単に検討することができるため、最終的にはとても役立つ資料となります。
●UML具体事例
建設分野では主に,ライフサイクルにおける情報の交換,連携,共有,再利用のためのデータモデルの設計に利用しています。
国内におけるUML事例
・G-XML(Geographical-eXtensibleMarkup Language)
・地理情報標準(Japanese Standards for Geographic Information)
・JHDM(Japan Highway Data Model)
海外におけるUML事例
・OKSTRA(Objektkatalog furdasStrasen-und Verkehrswesen)
・bcXML(Building-Construction eXtensibleMark-up Language)
・GML(Geographical Markup Language) |
参考 : ケンセツ21 CALS/JAPAN UML入門
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(Up&Coming '07 新緑の号掲載)
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