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Vol. 34 |
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城市交通研究中心(CUSTReC) |
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近年、さまざまな分野で急速な発展が目覚ましい中国。一方で、交通やそこから派生する環境などに関わる新たな問題も次第に顕在化しており、持続可能な発展の観点から、広範な領域にわたる調査・研究を目指す取り組みの広がりも見られます。今回紹介するのは、「持続可能性」をキーワードに将来の都市交通に関する研究開発や普及活動などを行う「城市交通研究中心」です。 |
■ China Urban Sustainable Transport Research Center(http://www.urbansustrans.cn/) |
- 持続可能な交通に関して、世界が認める一流の研究機関になること
- 持続可能な都市交通における研究開発、教育・研修、普及のためのプラットフォームを構築し、その主体として機能すること
- いっそう安全・便利、効率的で公正、環境に配慮し、持続可能な未来に向けて世界の交通システムの開発を促進すること
China Urban SustainableTransport Research Center(CUSTReC)はそのビジョンとして、こうした観点を描きます。
ボルボ研究教育財団(VREF)による支援の下、CUSTReCが創設されたのは2006年。以来、CUSTReCは国や地域はもちろん、国際的にも評価される、将来の都市交通に関する研究開発、普及啓発、教育・研修の拠点となることを目指してきました。
CUSTReCは、交通や他の政治的・財政的に権限を与えられた地方および世界的レベルの当局と協働することで、重要な交通上の問題を調査分析し、持続可能かつ最も効果的なソリューションを提唱・実行することができる、と自らを位置づけます。
その一例として挙げられるのが、近年(2008年の機構改革により)発足した中国交通運輸部。その設置は、中国の交通における重要なステップであり、CUSTReCが中国の政治指導部に有用な研究を提供する、よりよい機会を与えるものとの見方を示します。
CUSTReCは制度改革のプロセスを主導。また、主要行政官や国際的な専門家の首脳会談や会議の組織化にいち早く取り組んできました。そうした中から、高度に組織化された、交通、財政学、環境科学、公共政策、工学、エネルギーおよび経済学といった多分野にわたる研究に従事するスタッフから成るチームを養成。世界で通用する専門家グループがCUSTReCのアドバイザーあるいは客員教授として働いているとしています。
その上で、CUSTReCは
- 人と移動性:悪化した交通および環境状態を改善し、人々に必要な生活および交通サービスを供給する能力を保証する
- 技術革新:持続可能な交通の開発を動機づける知的財産権を維持しつつ、科学および技術を進展させる
- 人材育成:世界で通用する交通研究者のチームを育成し、交通当局の基本方針と執行のレベルを高める
- 市民参加:交通情報および意思決定プロセスへの市民参加を保証する
といった活動目標を掲げます。
多岐にわたる研究領域Webサイト上段の「Research(研究)」タブをクリックすると、CUSTReCの主要な研究プロジェクトの一覧を表示。具体的な取り組みとして、
- 中国における持続可能な交通開発戦略と政策研究
- ボルボ中国持続可能な都市交通研究センター
- 中国の都市における持続可能な交通開発モデルと対策
- 道路生態工学の研究および技法紹介
- 都市旅客輸送の事業経営に関する対策研究
- 道路および水路の救急搬送機能の構築
- 都市および郊外一体型交通開発の現状
- クリーンな都市交通に向けた大規模な普及
- オリンピック期間中のTDM(交通需要管理)政策研究
- 貴州省の道路および水路開発戦略に関する研究
- 寧夏回族自治区の統合交通システム開発戦略計画
- 武漢の新開発エリアにおけるグリーン交通計画
- 四川省成都市の最新統合交通開発に関する実証研究
- 中国の都市におけるBRT(路線バスによる高速輸送)ネットワーク計画の主要技術
- 土地利用の統合と交通計画に関する研究
- 地震災害区域内の幹線道路における遠隔モニタリングの主要技術
- 南昌市の主要幹線道路中心部における総合計画
- 交通環境ガバナンス
― といったプロジェクトをカバー。各項目名からそれぞれの詳細な内容にアクセスすることができます。
また、トップページの「Research Areas(研究領域)」では、大きく「政策および戦略」「計画およびコンサルティング」「リモートセンシング技術」「高度交通」の4項目を掲げます。
そのうち政策および戦略部門では、国外の交通研究機関と協力財団を構成。政策および戦略に関する研究を行うとともに、都市交通、都市農村交通、地域および総合交通に関わる全国および地方の交通当局に対する意思決定支援を提供しています。
また、計画およびコンサルティング部門では、都市交通ネットワーク、総合交通と交通の要衝、計画評価、コンサルティングサービスに関する作業を実施。併せて、TOD(公共交通指向型開発)モデルでの土地利用および計画の研究・評価、あるいは移動行動および都市交通需要に関する研究を行います。
さらにリモートセンシング技術に関しては、中国財政部の資金を得て交通リモートセンシング研究室を設置。衛星データを迅速に処理・解析するとともに、交通、環境への影響、自然災害に関する衛星情報製品を提供しています。
これらの項目に関するページでは、それぞれの詳細な研究領域や代表的なプロジェクトも紹介しています。
そのほか、「Communications and Education(交流および教育)」ではCUSTReCが行う国際フォーラムや会議、交流イベント、教育・研修に関する情報についてアクセスすることができます。
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■ トップページ:
「China Urban Sustainable Transport
Research Center(CUSTReC)」 |
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■ 政策および戦略(研究領域)
のページ |
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■ 計画および
コンサルティング(研究領域)のページ |
※画像はCUSTReCにより提供(images provided by CUSTReC)。
この記事は、CUSTReCの許諾により上記サイトの内容に基づいて作成しています |
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(Up&Coming '11 晩秋の号掲載) |
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