Vol.4 |
「第19回 ITS世界会議ウィーン2012」を終えて |
ITS 技術は研究室での開発段階から路上へ
UC-win/Road 最新版にも熱い視線 |
フォーラムエイトも参加した「第19回ITS世界会議ウィーン2012」が2012年10月22日〜26日、メッセウィーン展示&会議センター(オーストリア・ウィーン)で開催されました。
同会議公式Webサイト(英語)(http://2012.itsworldcongress.com/content/)によると、オーストリア交通技術省(BMVIT:または「運輸・技術革新・技術省」)のドリス・ブーレス大臣は今回会議を振り返り、純粋に科学的な会議だったものから、ついに実物を示し、新しい開発成果のメリットを目に見える形にするイベントへと進化した、と総括しています。つまり、新しい交通技術を研究室で開発するという段階から、路上で実際に体験する段階へと、まさに歩み出しつつある、と位置付けます。
今回の会議には90ヵ国から1万人を超える参加者があり、これまでのITS世界会議の記録を塗り替える来場者数となりました。その盛況ぶりを示す一つとして、会議初日のオープニングセレモニーには1,600席の会場に2千人が出席。また、会期中に参加した女性の総数は、全体の21%に当たる2,090人。一般公開日(10月26日)には約2,400人が来場。そのうち900人以上の子供や学生がガイド付きツアーに参加して会場を回り、展示やデモンストレーションを通じて関連技術への興味を深めるなど、ITS理解のすそ野の着実な広がりが窺われました。
今回会議の特色として、オーストリアの複数企業がデモ・プログラムの15プロジェクトに貢献。全23テクニカルデモンストレーションのうち、8プロジェクトはウィーンの実際の交通を使って実施されており、これはITSが導入に向けて準備段階にあることの顕れとしています。
また、25ヵ国の企業・ベンチャーによる300超の特色ある展示は、モビリティに関するそれぞれの将来構想を効果的に演出。展示会には4,500人以上の来場者があり、ITSの多様な取り組みに触れました。なお、フォーラムエイトはUC-win/Road最新版と、国土交通省国土技術政策総合研究所の協力による道路基盤地図情報に関する展示を行い、高い注目を集めました。
さらに、トップクラスの政府関係者を含む閣僚円卓会議も実施。そこではITSの導入を推進し、今後のITS世界会議の成果を政治的枠組み構築の中により強く統合していく考えを共同で宣言しています。
一方、ITS Japanは今回会議の概要、プレナリセッションやデモンストレーションなどのポイント、日本からの各セッションおよび展示会(フォーラムエイトを含む)への参加概要について同会議関連情報Webページ(http://www.its-jp.org/conference/world_congress_list/vienna2012/)で紹介しています。
官民協調でITSはじめ新しい道路機能の創造・拡充へ |
道路機能の健全な発展と道路整備の拡充に貢献し、それらを通じて国民経済の発展と国民生活の向上に寄与する、とのミッションを掲げる財団法人
道路新産業開発機構(HIDO:Highway Industry Development Organization)。
官民協調による新しい道路機能の創造・拡充を目指し、HIDOが設立されたのは、1984年7月に遡ります。以来、その実現に向けて
- 道路に関連する新しい産業分野についての調査研究
- 道路に関連する新しい産業の開発プログラムの策定
- 道路に関連する新しい産業の開発についての関係機関との連絡・調整・広報
- これら事業に関連し委託された業務の執行
― など必要な事業を行う、とのアプローチが位置付けられました。
その間、わが国の経済社会の発展や暮らしの向上に、道路が大きく貢献してきた半面、交通事故や渋滞、環境など道路に関わる重要な課題も山積。加えて、近年は高度情報化や少子高齢化、国際化などわが国を取り巻く社会情勢の変化への対応も求められてきています。
そのような背景からHIDOはこれまで、
- 高度道路交通システム(ITS)の推進
- 防災情報を共有するための広域情報ネットワークの推進
- 都市の魅力や国際競争力を高めることを狙いに道路機能にフォーカスした都市再生事業の推進
- 道路環境の向上に関連するビジネスの振興
- 道路交通情報提供ビジネスの新展開に向けた調査研究
- 道路交通環境の改善と輸送の効率化の調査研究
- ITSに関連する国際標準化およびその広報の支援
― をはじめとする広範な活動を展開してきました。
そのうちITSの推進に関しては、利用者の視点に立ったITSに対応する道路(スマートウェイ)の構築、スマートウェイを構成する通信基盤・データ基盤・情報ネットワーク基盤を活用した多様なITSサービスの実現に向けた調査研究・開発に注力。具体的には、VICSサービスの高度化、ETCの多様な展開、DSRCを用いたサービス、地域ITSの推進などに取り組んでいます。
またその一環として、HIDOのWebサイトでは「トピックス」「新着情報」「ITS関連ニュース」の各コラムで、主として会員向けにITS関連情報を紹介。併せて、ITSに関するさまざまな情報を集めた「ITSコーナー」を設置しています。
例えば、『ITSの展開』ではマルチ展開するカーナビ、ETC、自律移動支援プロジェクト、バスロケーションシステム、タウンカーライフナビ、地域に密着したITS、防災関連のITSといったカテゴリごとに情報や関連サイトへのリンクを掲載。『ITSの国際標準化』では国際標準化活動の必要性、国際標準化機構(ISO)、ISO/TC204、国際電気通信連合(ITU)、用語などのテーマから同様に関連する詳細情報にアクセスできます。
さらに『ITS関連用語集』は、ITS海外文献等抄録委員会がITS世界会議などで用いられる英文資料の作成に際し、代表的な訳の範囲でITS関連用語の表記の一貫性を保つことを目的に整理してきた情報を基に構成。和英・英和のいずれからも検索が可能で、利用者の責任の下、広く参考資料として活用できるよう、公開されています。
そのほか、『ITSの技術情報』はカーナビやETC、走行支援道路システム(AHS)、先進安全自動車(ASV)をはじめ、ITSで実現される多様なサービスに関する情報をカバーしています。
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■ トップページ:
財団法人 道路新産業開発機構(HIDO) |
■ ITSの展開 |
■ ITS関連用語集(凡例) |
(取材/執筆:池野 隆)
※本記事後半のコーナー(ITS関連サイト紹介)は、財団法人 道路新産業開発機構(HIDO)の許諾を得て書かれています
※画像は財団法人 道路新産業開発機構(HIDO)により提供(images provided
by HIDO:Highway Industry Development Organization) |
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(Up&Coming '13 新年号掲載) |
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