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第19回 ITS世界会議ウィーン2012 |
UC-win/Roadで道路基盤地図情報に関する展示も 〜第19回ITS世界会議 |
ITS(Intelligent Transport Systems:高度道路交通システム)について、北米、欧州、アジア・太平洋地域の世界3地域を代表するITS団体(北米:ITS
America、欧州:ERTICO、アジア・太平洋地域:ITS Japan)が連携し、技術開発、政策、市場動向など広範にわたる観点から情報交換。それによりITSを普及させ、併せて交通問題の解決やビジネスチャンスの創出を図っていこうというイベントが、「ITS世界会議」です。同会議はITSに関する最新の取り組みや情報を反映したシンポジウム、展示、ショーケースなどから構成。1994年11月の「第1回ITS世界会議パリ1994」を皮切りに、欧州、アジア太平洋、北米の順番で毎年会場を変えながら開催されています。
フォーラムエイトが初めて同会議に参加したのは、「第11回ITS世界会議愛知・名古屋2004」。当社の3次元リアルタイムVRソフトをベースとするUC-win/Roadマルチディスプレイシステム(4PDP)を出展し、来場者にUC-win/Roadの操作体験をしていただきました。
続く「第12回ITS世界会議サンフランシスコ2005」には、ITS Japan、愛知県ITS推進協議会および東京大学生産技術研究所上條研究室と共同出展。UC-win/Roadの新版を中心に紹介しています。
また、「第13回ITS世界会議ロンドン2006」では、展示ブースにステアリングコントローラを用いたUC-win/Roadのドライブシミュレーション体験コーナーを複数設置。「第14回ITS世界会議北京2007」には、3面液晶画面によるUC-win/Road3Dステレオシアターを展示。「第15回ITS世界会議ニューヨーク2008」では他にも複数のVRシミュレーションが出展されていた中で、車両システムの開発やITSの研究などで既に先行利用されていたUC-win/Roadドライブ・シミュレータ(DS)の性能の高さがとくに注目を浴びました。
当社は「第16回ITS世界会議ストックホルム2009」で初めて展示と併せ論文を発表。UC-win/Road・DSをはじめ、UC-win/Road
ECOドライブプラグインによるエコドライブシミュレータ、UC-win/Roadコミュニケーションプラグイン、5ch映像表示機能を利用した「幻のアリゾナ・フェニックスF1レースゲーム」などを展示。論文は当社スタッフが交通用VRシミュレーションについて、東京農業大学や中日本高速道路株式会社、株式会社ニュージェックとの共同執筆で遺伝的アルゴリズムによる道路線形最適化システムとUC-win/Roadの連携について、それぞれ発表しました。
また、「第17回ITS世界会議釜山2010」ではハイウェイ・ドライビングシミュレータとUC-win/Roadの体験コーナー、UC-win/Road
for RoboCar®、クラウドで3D・VRを体験可能なUC-win/Road for SaaS、MR/ARを展示。当社スタッフが安全な道路設計へのUC-win/Roadの適用について解説する論文を発表しました。
前回の「第18回ITS世界会議オーランド2011」では当社とBMIA社、SimCraft社との3社共同ブースで、UC-win/Road、トンネル管理訓練システム(BMIA社)およびAPEX
3GT・DS(SimCraft社)を展示。当社スタッフがドライバー向けに開発されたUC-win/Roadと6DOFモーションプラットフォームのDSを紹介する論文を発表しています。
さらに今年開催される「第19回ITS世界会議ウィーン2012」では、国土交通省国土技術政策総合研究所(国総研)の協力を得、道路基盤地図情報に関する展示を予定しています。
国土技術政策総合研究所(国総研)は2001年4月、国土交通省内に設立されました。以来、住宅および社会資本整備に関連する技術の調査、試験、研究および開発を実施。国交省の政策を的確かつ迅速に企画・立案・遂行するための必要な技術的支援を、自らの使命に掲げます。
そのうち、高度情報化研究センター高度道路交通システム研究室(ITS研究室)は
- 産学官の連携による次世代サービスの創造
- ITSスポットサービスの検証
- 道路政策効率化のためのデータ収集・活用
- ITSを用いた環境負荷の低減
- 国際連携・展開、国際標準化における位置づけの確保
― といったITS技術に関する研究開発を実施。道路行政と密接に連携しつつ、ITS施策の立案を支援しています。
次世代ITSに関する検討が進められてきた中で、近年注目されている一つが、高速道路上の自動運転を実現するシステム(オートパイロットシステム)です。その具体的なアプローチとして、ITS研究室では高速道路サグ部の渋滞にフォーカス。ACC(定速走行・車間距離制御装置)の利用など、その円滑化に向けた研究に力を入れています。
このITS研究室の専用サイトでは、まず「ITSの位置付け」として、「高度情報通信社会推進本部」(1994年設置、本部長:内閣総理大臣)が1995年に決定した「高度情報通信社会推進に向けた基本方針」でITS推進が位置づけられたのを受け、1996年に当時の5省庁(建設省、警察庁、通産省、運輸省および郵政省)が協力して「ITS推進に関する全体構想」を策定したことに遡ります。その推進体制はその後、日本のIT革命を推進する「高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部(IT戦略本部)」(2001年1月設置、本部長:内閣総理大臣)の下、国交省、警察庁、総務省および経済産業省の4省庁をはじめ産学官が連携する形へと継承。さらに、同本部による「IT政策パッケージ2005」(2005年)、「IT新改革戦略」(2006年)などを通じ、「世界一安全な道路交通社会」の実現に向け、ITSがより重要な国家プロジェクトとして位置づけられてきた、と振り返ります。
次いで「ITSに関する研究」では、分野横断的な国家プロジェクトであるITSの9項目から成る開発分野ごとに設定された開発・展開目標、スマートウェイおよびセカンドステージのITS、それらに向けたITS研究室の取り組みについて概説。その上で、スマートウェイ推進会議による「スマートウェイの実現に向けて」(1996年)や「ITS、セカンドステージへ」(2004年)といったバックボーンとなる提言、それらを受けた官民共同研究、スマートウェイ具体化のプロセスに言及します。とくにVICS、ETC、スマートIC、AHS、道路管理支援、高速バスロケーションシステムといったアプリケーションについては、それぞれの研究の背景や概要、効果などを個別に整理。さらに、
- 多様なITSサービスを統合的に実現させる共通基盤となるスマートウェイの構成とその構築アプローチ
- 交通シミュレータ「SIPA」や統合交通シミュレーションシステム、ITS導入シナリオ検討ツールなど施策評価ツールおよび地域ITSへの展開手法の開発
- 国際標準化やITS世界会議、二国間会議への対応
について詳述しています。
加えて、1996年度以降にITS研究室として取り組まれた発表論文を年度ごとに整理。同研究室で作成した一部資料のほか、国内外で取得した特許の一覧やITSに関する用語集の閲覧も可能です。
一方、中央に配置された「トピックス」欄には、国総研および国交省を中心とするITS関連の最新情報を掲載。最近はとくに、ITSスポットサービス絡みの情報が目立ちます。なお、ITSスポットサービスに関しては前号の同コーナーでご紹介した国交省道路局の同サービス専用ページへのリンクも設けられています。
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■ トップページ:
国土交通省国土技術政策総合研究所 ITS
(高度道路交通システム) |
■ スマートウェイの目指すゴール |
■ デジタル道路地図の高度化 |
(取材/執筆● 池野 隆)
※画像は国土交通省国土技術政策総合研究所により提供
images provided by National Institute for Land and Infrastructure Management,
Ministry of Land, Infrastructure and Transport
※本記事後半のコーナー(ITS関連サイト紹介)は、国土交通省国土技術政策総合研究所の許諾を得て書かれています。 |
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(Up&Coming '12 秋の号掲載) |
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