今回は昨年の12月にフォーラムエイトと表技協が共同開発した「プロジェクションマッピングテーブル」についてその概要をご紹介します。2014年12月11日〜12日開催の「人とくるまのテクノロジー展」にて初披露が行われ、2015年1月14日〜16日に開催される「国際カーエレクトロニクス技術展」でも、フォーラムエイトブースにて展示が予定されています。 |
プロジェクションマッピングテーブル
プロジェクションマッピングテーブルの誕生
この装置は、高度なプロジェクションマッピングを手軽に活用するために開発された「汎用の全周プロジェクションマッピングテーブル」です。プロジェクターとテーブルが一体化されており、テーブル中央に置かれた造形物に周囲4方向と上部からの合計5方向から映像を投影し、かつ造形物が置かれている床面には液晶ディスプレイが埋め込まれており、ここにも映像を表示することができます。つまり中央に置かれた造形物は6方向からの映像に包まれることになり、その結果全周に映像を投影することが可能となっています(※造形物底面への投影はありません)。
実は“高度なプロジェクションマッピング”といった理由はこの全周投影にあります。
通常のプロジェクションマッピングでは投影対象に対して観客は限られた方向からしか見ないことを想定して作られています。たとえば建築物に投影する場合は正面からしか見ることはありませんし、実物の車などに投影する場合でも視聴エリアは固定されているのでステージの横や後ろから見ることはありません。 |
▲図1 プロジェクションマッピングテーブル
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全周プロジェクションマッピングの場合は、映像で包まれたオブジェクトを回り込んだり、上から下からと様々な角度から見ることができるのです。このように映像でオブジェクトを包み込もうとすると、前述のように多方向から映像を投影し、それらの映像をオブジェクト上で合成する必要があります。これらを実現するためのプロジェクタの配置や複数映像の同期出力、オブジェクト上での位置合わせや合成の調整など、すべてをクリアした投影環境やシステムを構築する必要があります。これには専門的な知識や経験が必要で、実現は容易ではありません。
そこで、投影環境とシステムをパッケージとして提供することで、手軽に全周プロジェクションマッピングを実現しようと考えて開発されたのが、この「プロジェクションマッピングテーブル」なのです。
その威力は、初めて展示した名古屋での「人とくるまのテクノロジー展」で発揮されることになりました。
おそらくほとんどの方は、全周からのプロジェクションマッピングをご覧になったことはないと思われます。映像に覆われ物体を見ること自体が初めてのために、展示会で見た方の中には空中に投影されるホログラフィと勘違いして、手を伸ばして実物であることを確認する方を多く見受けました(※実は触られてモデルが動くと、投影位置がずれて大変困ります)。
▲図3 「人とくるまのテクノロジー展 名古屋」での展示
3Dプリンタとのコラボで実現できた全周投影
プロジェクションマッピングテーブルで投影できる範囲は、約60cm(W) x 30cm(D) x 20cm(H)です。このサイズ内であれば、車でなくとも、なんにでも投影することができます(※ただし、凹凸が大きいものや箱の内側など光が届かないところは投影できないという制約があります)。
全周投影するためには、投影対象のオブジェクトと投影される映像が実空間上でぴったりと合う必要があり、オブジェクトと映像は同じ3Dデータから制作する必要があります。オブジェクトの制作には3Dプリンタを使用します。実物しかなく3Dデータがない場合には3Dスキャナで3Dデータを作成し、同じように3Dプリンタで出力することで全周のプロジェクションマッピングが可能です。
今回はフォーラムエイトの3Dププリンティングサービスで出力した車の模型を使用しています。
▲図4 3Dプリンタで出力した模型
表示用のメディアサーバーにはUC-win/Roadを使用して全周投影を実現
5台のプロジェクターと1台の液晶ディスプレイ、計6台の動画出力をさせるためには図5のハードウエア構成を使用しており、ソフトウエアにはUC-win/Roadを使用して、3Dモデルに対してリアルタイムで動画データを貼り付けた上で、それぞれのカメラでレンダリングして出力させています。3D模型上での位置合わせは、この時のカメラの位置やカメラデータを調整することで行っています。
活用が広がるプロジェクションマッピングテーブル
プロジェクションマッピングテーブルの用途に下記があげられます。
1.展示会やショールームでのプロモーション用途
→ 今回の展示会で高い集客力が実証されました
→ 車、建築模型、機械模型、家電製品、フィギュア、ボトルや
ケースなど様々なものが可能
2.デザインの検討
→ 実際の形を見ながら様々な方向から、色やデザインを検討できる。
→ 複数の人が同時に議論しながら検討可能。
3.解析結果の表示
→ 建築物や製品の表面や内部の解析結果を表示することで、実物可視化によるよりリアルな検討が行える。
(※内部の表現は視点が限定されます)
プロジェクションマッピングテーブルの今後
全周表示とリアルタイムレンダリングという機能を最大限に生かした活用方法を実践しながら、その価値を広げていきたいと考えています。事例がでましたらこの誌面でご紹介していきます。
プロジェクションマッピングテーブルは、フォーラムエイト東京本社ショールーム(品川インターシティ)に常時展示していますので、ご興味のある方はお気軽にお問い合わせください。
また、「このような用途に使えるのではないか」というアイディアがありましたら是非ご連絡いただければと思います。
▲図5 プロジェクションマッピングテーブル機器構成
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