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Q&A深礎フレーム Q&A 

目  次

Q 1. 地震時保有水平耐力法の照査結果がNGとなったとき、まず何から条件変更をすればよいですか。

Q 2. 杭底面のバネ条件を有効断面とした場合の、基礎の換算載荷幅Bvはどのように計算しているのですか。

Q 3. 大口径深礎の取り扱いについて教えて下さい。

Q 4. 隣接杭の影響による補正係数μは、どのように計算しているのですか。

Q 5. 水平方向安定照査の結果で、塑性化位置はどこを見たらよいのでしょうか。

Q 6. DOS版データの読み込み時に必要なデータファイルは何ですか。

Q 7. 保耐法による設計時、上部構造の慣性力の作用位置における水平変位の制限値は特に明記されていませんが、目安となる数値はあるのか?

Q 8. 大口径深礎の場合の連成バネの取扱いについて、追加機能とされましたがこのスイッチが追加された主旨はなにか。

Q 9. 保耐法の計算で、杭底面の押込み支持力の上限値はどのように計算しているのですか。

Q10. 杭底面鉛直地盤反力PNが、押込み支持力の上限値PNUを超えNGとなった場合、どう対処すればよいですか。

Q11. 杭底面鉛直地盤反力PN=0、押込み支持力上限値PNU=0となり、判定がOKと出力されています。どう判断したらよいですか。

Q12. 計算途中で、「鉛直方向のバネがなくなり不安定です。」というエラーメッセージが出るのですが?

Q13. 深礎基礎においてもケーソン基礎と同様に、前面地盤の塑性率60%、杭底面の浮き上がり率60%を降伏点と判断するのが正しいか?

Q14. 道路公団設計要領第2集(平成12年1月版)への深礎フレーム(Ver1.40)設計計算上の変更内容について

Q15. 公称径と設計径の計算上の違いは何か?

Q16. フーチングの保耐照査は可能か?

Q17. 水平方向安定度照査の判定のしくみについて。

Q18. 保耐法の水平震度−水平変位曲線で、載荷終了時(αi=1)のときの変位が減少する(=最終部分だけグラフが左上を向く)というケースがありますが、どう判断すれば良いでしょうか?

Q19. 水平バネ算定における杭の有効載荷幅Deの取り扱いについて。

Q20. 「杭1が山側に変位」というエラーメッセージが出ます。

Q21. フーチング式組杭深礎の入力で、杭頭を結ぶフレーム部材の剛性はどう考えればよいですか?

Q22. 面外方向の設計において組杭として計算する場合の、荷重分担率の取り扱いについて。

Q23. 各種の入力符号について。斜面の傾き、設計水平震度の向き、作用荷重の向きの考え方。

Q24. 「深礎杭研究会」の正式名称などを教えてください?

Q25. 杭頭が地表面より下の場合、上載荷重q(KN/u)についての留意点は?

Q26.水平支持力の算定に用いるすべり角αの入力範囲について、道路公団設計要領では0〜180度となっていますが、プログラムで直接入力する場合の入力範囲は45〜135度となっているのはなぜですか。

Q27.礎フレームの保耐法において算出される杭本体の降伏モーメントの値が、杭基礎の地震時保有水平耐力で算出される杭本体の降伏モーメントの値と異なり、深礎フレームの方が大きくなっています。(計算条件は、杭径、鉄筋量など同一条件です。)RC断面で計算すると、杭基礎の地震時保有水平耐力の降伏モーメントと同じ値になります。理由を教えてください。

Q28.法の設計水平震度がkhp>khcのときの荷重載荷について。

Q29.法の組み合せデータで、常時および地震時が混在した組み合せケースの場合、計算実行時に「常時と地震時が混在しています。」というメッセージが出る。ヘルプを見ると「常時および地震時が混在した組み合せは、結果の評価には十分注意して下さい。」と記されている。
ここで質問だが、例えば死荷重などは常時・地震時に共通の荷重だが、常時用の死荷重、地震時用の死荷重と基本荷重ケースを分けて入力する必要があるのか。

Q30.面鉛直地盤反力度の式中の各種パラメータについて。

Q31.杭構造で引抜き側の杭底面が浮上がり状態となっても、安全と判定して良いのか。

Q32.格点位置の断面力の取り扱いについて。

Q33.直方向に単位荷重を与えても、鉛直方向変位がアウトプットされないが?

Q34.杭構造でフーチングなし(Wf=0)の場合の荷重載荷について。

Q35.水平方向安定度照査結果で弾性域には0.5mしか入っていないと思うが、結果判定では弾性域に2.0m以上根入れされてOKの判定となる。どう解釈すれば良いか。

Q36.杭体突出部やフーチングの慣性力の取り扱いについて。

Q37.弾性解析結果の断面力と、水平方向安定度照査結果の断面力値が違うのはなぜか。

Q38.面外解析時の杭軸回りの回転拘束条件について教えてほしい。

Q39.周面摩擦力について教えてほしい。周面バネを考慮しない場合は周面摩擦力のデータは入力しなくてもよいのか?

Q40.組杭深礎(2×2列)の計算を行う場合に、各杭のデータを4本分入力し、押込み側、引抜き側それぞれ同一のフレーム格点に杭を2本ずつ結合して、計算を行うことは可能か。

Q41.”Q6−7”の内容に従い基礎バネを算出しているが、単位水平荷重を作用させたときの回転変位θと、単位モーメント荷重を作用させたときの水平変位δxが同値とならないが、なぜか?

Q42.杭体の主鉄筋が2段配置のとき、帯鉄筋の有効長dは外側帯鉄筋の位置を用いるとの解説だが、なぜか。道路橋示方書p.131には明記されていないようだが。

Q43.杭頭でのせん断力合計が入力荷重と一致しない。

Q44.保耐法における変位照査位置は、杭頭or設計地盤面のどちらか?
もし、保耐法における詳細位置が杭頭であるならば、その理由を教えて欲しい。

Q45.杭体断面が鋼管杭や中空断面の場合、計算は可能か?

Q46.面外方向の設計の考え方として、単杭にバラして検討するのと組杭のまま検討するのと、どちらが良いのか。

Q47.杭周面摩擦の条件と杭径の関係について

Q48.フーチングの設計は可能か。

Q49.2×2列などのフーチング式組杭の基礎バネの考え方は?

Q50.基礎バネにおける鉛直バネ成分の算出方法について。

Q51.斜面が2方向に傾斜している場合は製品ヘルプQ1−12に説明があるが、実際の入力方法を教えて欲しい。  


Q1. 地震時保有水平耐力法の照査結果がNGとなったとき、まず何から条件変更をすればよいですか。
A1. 基礎の安全性の判定の結果、基礎が降伏する、あるいは、基礎の変位の制限値を満足しない場合には、一般には次のような構造変更を行います。
1)杭体の軸方向鉄筋量を増加させる。
2)杭長、杭径、杭間隔、杭本数などを変更する。

せん断力の照査を満足しない場合には、杭体の帯鉄筋を増加させる。ただし、道示W10.11.3= により帯鉄筋の最小中心間隔は12.5cm以上とされているので、帯鉄筋を増加させても所要のせん断耐力が得られない場合には、杭径や杭本数を変更する必要があります。

大口径深礎の場合で、杭体がMyに達して降伏している場合は、まず軸方向鉄筋量を変更します。ただし、浮き上り率60%、あるいは、塑性化領域率60%で降伏している場合は、まず杭長、杭径の構造変更を行います。一般的には、杭長を伸ばすことによって杭底面の曲げモーメントが小さくなり浮き上り率が低減され、杭長が長くなることで塑性化領域率が低減されます。
 
Q2. 杭底面のバネ条件を有効断面とした場合の、基礎の換算載荷幅Bvはどのように計算しているのですか。
A2 杭底面の鉛直方向地盤反力係数を求める際の基礎の換算載荷幅Bvは、Bv=Dとして計算しています。(設計要領p4−64)
DOS版深礎フレーム(U)では、Bv=DまたはBv=√A’が選択できましたが、Windows版深礎フレームでは、設計要領の記載どおりBv=Dのみとしています。
 
Q3. 大口径深礎の取り扱いについて教えて下さい。
A3. 現時点での設計要領(H10.7)では、大口径深礎の取り扱いについて下記のように示されています。
《設計要領(H10.7)p4−56より抜粋》
本設計要領はその主たる対象を直径5m未満の組杭基礎としているため、基礎径5mをこえる大口径深礎に適用する場合には、下記項目に留意するとともに、適宜道示Wケーソン基礎の規定を参照しなければならない。
1)杭周面のせん断地盤反力度の上限値
2)地盤反力、断面力および変位量の計算
3)基礎の降伏
4)土留め工の設計

本プログラムでは、大口径深礎に対する留意事項について、次のように対応しています。

1)杭周面のせん断地盤反力度の上限値
大口径深礎に適したせん断地盤反力度の上限値を設計者があらかじめ決定し、「周面摩擦力度の入力」画面において、直接入力方式で対処可能です。上限値をどう決めるかについては現時点では明記されておりませんので、設計者の判断で上限値を入力して下さい。

2)地盤反力、断面力および変位量の計算
「基本データ」画面で、杭周面摩擦の取り扱いを「2:考慮する(XY)」、または、「3:考慮する(XYθ)」のどちらかを選択することで対処可能です。

3)基礎の降伏
基礎の降伏判定について、ケーソン基礎に準じて塑性化領域率60%、底面浮き上がり率60%による降伏判定を自動的に行います。

4)土留め工の設計
本プログラムでは、土留め工の設計は行っていません。土留め工の種別(モルタルライニングまたはライナープレート)に応じて、別途設計を行って下さい。
 
Q4. 隣接杭の影響による補正係数μは、どのように計算しているのですか。
A4. 補正係数μは、設計要領p4−65に示す方法で内部自動計算し、地盤反力係数に考慮しています。なお、補正係数μそのものを直接入力することはできませんので、これを行いたい場合は、杭中心間隔P1、P2の入力値で調整して下さい。
 
Q5. 水平方向安定照査の結果で、塑性化位置はどこを見たらよいのでしょうか。
A5. 塑性化位置は、プリンタ出力の表の欄外に示されている下記の数値Zpで確認して下さい。
「弾性領域への根入れ長 (塑性化位置Zp=##.###m) 」
この塑性化位置Zpは、杭頭からの距離を表しており、その位置までの地盤が塑性化したことを示しています。 結果の解釈としては、杭に作用する外力と、繰り返し計算によって塑性化位置を次第に深くしていったときのZp位置での塑性化抵抗力Rouが杭体に作用して、水平方向安定度がOKとなったと解釈して下さい。
なお、特殊な例として、Zp=0.000mと表示される場合がありますが、これは外力が比較的小さいため、地盤が全く塑性化しなくても水平方向安定度がOKとなった場合ですので、注意して下さい。
 
Q6. DOS版データの読み込み時に必要なデータファイルは何ですか。
A6. DOS版のデータファイルは、深礎基礎に関するデータとフレーム部分に関するデータがそれぞれ別個のファイルで保存されています。
具体的には、
  • 面内解析のとき、深礎基礎データ[*.SNH]とフレームデータ[*.SFH]
  • 面外解析のとき、深礎基礎データ[*.SNH]とフレームデータ[*.SZH]
のようにファイル保存されています。
Windows版で、DOS版データを読み込む際には同一ファイル名の、深礎基礎データ[SNH]とフレームデータ[SFH(またはSZH)]がペアで必要です。仮に、[SNH]だけをコピーして読み込みを行った場合、フレームデータがないためエラー発生となりますので注意して下さい。
DOS版データを読み込む場合は、下記のファイル
  • 面内解析のとき、同一ファイル名の[*.SNH]と[*.SFH]
  • 面外解析のとき、同一ファイル名の[*.SNH]と[*.SZH]
をデータディレクトリ(またはフォルダ)にコピーしておいて下さい。
 
Q7. 保耐法による設計時、上部構造の慣性力の作用位置における水平変位の制限値は特に明記されていませんが、目安となる数値はあるのか?
A7. 上部構造の慣性力の作用位置における水平変位についての制限値は、特ににありません。
ただし、基礎天端位置での制限はあります。
  基礎天端の水平変位 40 cm
  基礎天端の回転角  0.025 rad
  がその制限値になっております。
 
Q8. 大口径深礎の場合の連成バネの取扱いについて、追加機能とされましたがこのスイッチが追加された主旨はなにか。
A8. 大口径深礎における底面の連成バネの取り扱いについては、深礎杭研究会で今年4月頃に、「杭径5m以上の大口径深礎では、底面連成バネを考慮するものとする。」との統一見解が得られました。本プログラムでは、Ver1.2.3より本件への対応を行っております。
 
Q9. 保耐法の計算で、杭底面の押込み支持力の上限値はどのように計算しているのですか。
A9. 押込み支持力の上限値は下記のように計算しています。

   PNU=qa×A'
   ここに、PNU ;杭底面の押込み支持力の上限値
       qa ;保耐法で用いる許容鉛直地盤反力度の上限値
       A' ;杭底面の有効載荷面積

なお、プログラムでは有効載荷面積A'の代わりに、全断面積Aを用いる方法、押込み支持力上限値PNUを直接入力する方法が選択できます。
 
Q10. 杭底面鉛直地盤反力PNが、押込み支持力の上限値PNUを超えNGとなった場合、どう対処すればよいですか。
A10. 杭底面に生じる鉛直力(N)と曲げモーメント(M)の関係で、荷重載荷が進み、計算途中で次第にMが大きくなると、底面に浮き上がりが生じて、地盤反力度の分布幅が小さくなり、有効載荷面積A’が減少し始めます。すると、押込み支持力の上限値は、PNU=qa×A’で算定されるためPNUが減少し、底面鉛直地盤反力が押込み支持力の上限値を超えてしまう場合があります。
このような場合の対策としては、杭長・杭径を変更しNとMの関係を改善するのがよいでしょう。ある程度寸法を変更しても結果が改善されない場合は、杭本数や杭間隔も変更してみて下さい。
 
Q11. 杭底面鉛直地盤反力PN=0、押込み支持力上限値PNU=0となり、判定がOKと出力されています。どう判断したらよいですか。
A11. 本プログラムでは有効載荷面積A’=0となった場合、鉛直反力N=0としているため、このような出力(PN=0、PNU=0)となっています。これは、荷重載荷が最後まで終了(αi=1)した時点で杭底面の有効載荷面積が0となり、全断面浮き上がり状態となっていると思われます。
単杭構造でこのような症状となった場合、底面が全断面浮き上がり状態というのは好ましくないと考えられますので、杭長を伸ばして再計算を行って下さい。
組杭構造であれば、押込み側の杭底面に十分耐力があって、引抜側の杭底面が浮き上がり状態になるのはOKです。しかし、単杭構造の場合は、周面摩擦抵抗による鉛直荷重の分担がある場合でも、杭底面で鉛直荷重をある程度分担した方が良いと考えるからです。
 
Q12. 計算途中で、「鉛直方向のバネがなくなり不安定です。」というエラーメッセージが出るのですが?
A12. 杭底面に生じる鉛直力(N)と曲げモーメント(M)の関係で、計算途中で次第にMが大きくなると、底面に浮き上がりが生じて、地盤反力度の分布幅が小さくなり、有効載荷面積A'が減少し始めます。
そして、最終的にA'=0となったとき、底面鉛直バネはKv=kv・A'=0となり、バネ値が存在しなくなってしまうので鉛直方向が不安定として、プログラムを停止しています。

対策としては、杭長・杭径を変更し底面反力のNとMの関係を改善するのがよいでしょう。ある程度寸法を変更しても結果が改善されない場合は、杭本数や杭間隔も変更して下さい。

杭周面摩擦との関連について
杭周面摩擦を考慮していないケースでは、底面バネがすべて0となった時点で、杭体の鉛直方向のつりあいが不安定となるので、プログラムを停止しています。
杭周面摩擦を考慮しているケースでは、底面バネがすべて0となっても、杭周面摩擦バネによって鉛直方向のつりあいが保たれているので、プログラムを停止することなくそのまま計算を進めています。ただし、鉛直方向の杭周面摩擦バネがすべて塑性化した時点では、プログラムを停止しています。

底面バネの計算方法について
底面に生じる鉛直力(N)と曲げモーメント(M)により、円形基礎地盤に生ずる地盤反力度、および、有効載荷面積を求めます。底面バネ値は、次式によって計算します。
 底面鉛直バネ  Kv=kv×A'
 底面回転バネ  Kr=kv×I'
 底面せん断バネ Ks=0.3×kv×A'
 ここに、
 kv:杭底面の鉛直方向地盤反力係数
 A':杭底面の有効載荷面積
 I':杭底面の有効載荷面積の断面2次モーメント

[図]


   
Q13. 深礎基礎においてもケーソン基礎と同様に、前面地盤の塑性率60%、杭底面の浮き上がり率60%を降伏点と判断するのが正しいか?
A13. 本プログラムでは、前面塑性率60%、浮き上り率60%による降伏判定の有無を入力スイッチとし、設計者の判断により選択できるようにしています。

しかし、本来は、前面地盤の塑性率60%、杭底面の浮き上がり率60%は考慮せず、荷重−変位関係における変位急増点を判断したうえで降伏判定を行うのがよい方法です。

設計要領の記載では、深礎基礎の降伏とは、基礎の全体挙動における水平荷重−水平変位関係の中で、上部構造の慣性力の作用位置での水平変位が急増し始める点としています。ただし、次の局所的降伏が変位急増点より先行して生じる場合は、これをもって基礎の降伏としています。
 1.すべての杭体が降伏した状態
 2.一列の杭底面地盤反力が極限支持力に達した状態

一方、道示に記載されるケーソン基礎では、水平変位が急増し始める点に関しては同一の考え方ですが、さらに設計実務の簡素化のため、降伏を判定する要因として、前面地盤の塑性率60%、杭底面の浮き上がり率60%が追加で取り上げられています。しかし、これらは一般的な地盤条件、形状のケーソン基礎に対して行った計算結果から近似的に規定した値であり、本来は目安程度のものというのが主旨です。

斜面上の深礎基礎は、多種多様な地盤条件(傾斜地盤、岩盤地盤)下に建設され、その形態も様々であることから、平坦地盤上の基礎とは異なった挙動を示します。このようなことから、一律に何らかの60%という指標を、深礎基礎の全体挙動としての降伏と関連づけるのは無理があるので、深礎基礎の設計には60%の規定が採用されていません。
したがって、深礎基礎の降伏判定は、前面地盤の塑性率60%、杭底面の浮き上がり率60%を考慮せず、荷重−変位関係における変位急増点を判断したうえで降伏判定を行うようにして下さい。

なお、深礎杭研究会において、上記内容の前面地盤の塑性率60%、杭底面の浮き上がり率60%による降伏判定を行わなくてよいという件に関して、口頭で確認がなされております。
 
Q14. 道路公団設計要領第2集(平成12年1月版)への深礎フレーム(Ver1.40)設計計算上の変更内容について
A14. 設計要領(平成12年1月版)改訂内容について
 
Q15. 公称径と設計径の計算上の違いは何か?
A15. 公称径は、深礎の安定計算に用います。
各種の地盤反力係数や地盤バネ、各種の地盤抵抗の上限値や極限水平支持力、
杭体自重、土圧などを計算するときには、この径を使います。
(=正確には、次の設計径で使う以外のところは、すべて公称径を用います。)

設計径は、深礎の断面計算に関係するものに用います。
具体的には、杭体応力算出時、M−φ関係算出時、せん断耐力算出時の杭径として用います。

公称径と設計径の関係は、次のとおりです。
・モルタルライニング土留め工の場合、設計径=公称径
・ライナープレート 土留め工の場合、設計径=公称径−5cm
 
Q16. フーチングの保耐照査は可能か?
A16. 本プログラムでは、杭本体の保耐照査はサポートしておりますが、フーチングの保耐照査はサポートしておりません。
照査に必要な杭頭反力の値は、[保耐法の計算結果]−[杭体断面力他]にて得られますので、この杭頭部の反力を用いてフーチングの設計を行って下さい。
具体的なフーチング照査方法は、「道路橋の耐震設計に関する資料(平成10年1月)」p8−45を参考にして下さい。
 
Q17. 水平方向安定度照査の判定のしくみについて。
A17. 水平方向安定度照査の計算上のしくみですが、これは、前面水平バネを上から一つずつ順番に外して繰り返し計算を行い、水平方向安定度が保たれているかどうかを判定し、そのときの弾性領域根入れ長を確認するものです。

判定内容としては、
・「水平方向安定度」のOKまたはNG
・「弾性領域根入れ長」のLd≧Ldmin
の2つを確認し、両方とも満足しているとき判定をOKとしています。

水平方向安定度については、詳細出力結果での各深さの Rou+ΣRH>Rqa となる箇所が一つでもあると、水平方向安定度はNGとなります。

弾性領域根入れ長については、水平方向安定度が満足された時点、または、バネを可能な限り外したときの弾性領域根入れ長を示しています。
最小根入れ長の値は、プログラム内部では最低限の弾性範囲(=これ以上
バネが外れない区間の長さ)として確保する長さと考え、計算を行っています。
つまり、繰り返し計算の過程で、バネが外れる条件が続いても、入力されている最小根入れ長より先へはバネが外れないようにしています。
これは仮にこれより先へ外しても、結果的に最小根入れ長を満足しなくなるはずなので、照査結果はNGとなることが明らかだからです。

一つの例ですが、
弾性領域根入れ長 2.40m > 2.00m でNGという結果は、2.40m 以上はバネを外せないからで、次に外したとしたら、バネ間隔が 0.5m の場合、2.40−0.50 = 1.90m となり、最小根入れ長 2.00m を下回ってしまうからです。
 
Q18. 保耐法の水平震度−水平変位曲線で、載荷終了時(αi=1)のときの変位が減少する(=最終部分だけグラフが左上を向く)というケースがありますが、どう判断すれば良いでしょうか?
A18. 載荷途中で前面地盤の塑性化が進み、塑性化領域が拡大すると前面水平バネが1つ外れて杭体はたわみやすくはなるものの、次の載荷ステップに移る時点において、杭頭に作用する微小な荷重増分ΔPに比べて、塑性化領域が1段階深くなったことによる地盤の塑性化抵抗力Roの増加量の方が階段関数的に激増するケースでは、(すなわち、0.5m下がった位置のRoが大きいので杭体が山側に押し戻されるため)、一時的に杭頭変位が減少するケースがあります。

これらの現象はやむを得ないものと考え、プログラムでは、変位が減少した途中の載荷ステップは無視し、直前変位より大きい変位が生じる載荷ステップだけを有効として、水平震度−水平変位曲線を図化しています。
なお、この症状および取り扱いは、以前、深礎杭研究会でも話題となり、各社とも確認されている事項です。

ただし、プログラム的には、載荷終了ステップ(αi=1.0)の点についてだけは、最終荷重に対する変位を必ず記録する必要があるため、グラフを図化した場合、変位が減少する(=最終部分だけグラフが左上を向く)ケースが希にありますが、問題なしと考えて下さい。

この症状は、地盤定数のうちC、Φ、Eoの変化が大きい地層が存在する場合に希にある現象です。

このような場合、最終荷重の大きさを若干増加すれば、水平震度−水平変位曲線は右上がりになっていることがわかりますので、変位が減少するのは一時的な現象(=希な荷重状態)であることがわかります。
例えば、khcやkhpの値を若干増加させて再計算すれば、右上がりの曲線が得られ、荷重を上げればより大きく変位していく正常な基礎体であることが確認できると思います。
 
Q19. 水平バネ算定における杭の有効載荷幅Deの取り扱いについて。
A19. 設計要領(平成12年1月版)p4−77に示される、水平バネ(KH)算定式における杭の有効載荷幅Deについて、本プログラムでは下記のように取り扱っています。

道路公団設計要領では、周面摩擦を考慮できる土留め(モルタルライニングおよびコンクリート吹付け)を標準としています。
したがって、p4−77の水平バネの記述に関しては周面摩擦を考慮することを前提として、
『杭の有効載荷幅は、一般に、De=0.8×D(D:基礎径)とする。』
といった記述になっているものと思われます。

当社では、この箇所について当初から気になっていた部分であります。深礎杭研究会においても、周面摩擦を考慮しないときのDeを変える話題は出ていませんので、本プログラムでは従来からの取り扱いどおり、De:杭の有効載荷幅(m)で、

De=D(周面摩擦を考慮しないとき) 
De=0.8*D(周面摩擦を考慮するとき)

としています。

なお、当社より深礎杭研究会の事務局に問合せを行い、上記解釈の確認を得ております。
 
Q20. 「杭1が山側に変位」というエラーメッセージが出ます。
入力データおよび荷重方向をチェックしましたが、山側に変位が出るとは思えないが?
A20. 「杭1が山側に変位」というエラーメッセージが出る原因の1つとして、次のような場合が考えられます。これに該当するケースでは、下記のように入力データを対策し、再計算を行って下さい。

地盤データのうち、粘着力C=0の土層がある程度の厚さで存在する場合は、本件症状の可能性が十分あります。このような地盤条件に対しては、深礎基礎の設計計算的な立場からみると、あまりにも特殊で不利な地盤条件であるといえます。
この入力データのまま、地盤の極限水平支持力Rqを計算すると、算出式の仕組み上、地中部において極限水平支持力Rqが激減して小さくなる箇所があります。
このRqが小さくなる深さでは、解析上、水平方向の安定が保てないため、その結果として地盤の塑性化領域が深く進むことになるのですが、この進む過程で、次第に大きな塑性化抵抗力Roが杭体に対して山側方向へ作用することとなり、あるとき杭頭変位が山側に生じてしまいます。
本プログラムでは、山側への変位を想定していないので、この症状が出たときは計算を停止させています。(←これがメッセージの出る原因です。)
元来、深礎基礎の水平方向安定度照査を行う際のRq算出式は、山岳地帯での岩盤を想定してできた式であり、地盤種類が「土砂および軟岩」に区分される土層であっても、粘着力C=0という状況は想定していない算出式と思われます。

このような症状の対策として、「土砂および軟岩」であっても粘着力が全く0というのはほとんどないものとお考えいただき、粘着力をC=0からC=1kN/m2(0.1tf/m2)に変更して粘着力をわずかに与え、再計算を行って下さい。この変更によって、多くの場合、計算結果が得られるようになります。
 
Q21. フーチング式組杭深礎の入力で、杭頭を結ぶフレーム部材の剛性はどう考えればよいですか?
A21. 杭基礎構造モデルの解析では、フーチングの剛性は杭体に対して剛体扱いとするのが前提となっています。
したがって、深礎杭の設計においてはフーチングの剛度は実剛度ではなく、十分剛な値(=1.0E+05)を入力し設計を行って下さい。
この値は、深礎杭研究会のベンチマークテストで検討された値であり、各ソフト会社とも統一した値を採用しています。
また、フーチングの設計を行う場合はこの結果から得られた杭頭反力を使用して下さい。
なお、杭頭を結ぶフレーム部材をフーチングでなく継ぎ梁とみなす場合は、部材剛性として実剛度を入力し設計を行って下さい。
 
Q22. 面外方向の設計において組杭として計算する場合の、荷重分担率の取り扱いについて。
A22. 組杭として計算する場合は、荷重分担率は全く関係がなくなり、純粋に面外ラーメン構造として解析します。したがって、各杭頭のせん断力の比(=荷重分担率に相当)は、0.5を下回るケースも十分あり得ます。
面外方向の設計にあたっては、以下の点を念頭において下さい。
・組杭を1本ずつバラして各杭ごとに設計する場合は、各杭の荷重分担率を最低0.5(=n本組杭の場合は1/n)とし、単杭モデルに作用する荷重データを作成して下さい。
・組杭として計算する場合は、面外ラーメン構造として解析しますので、荷重分担率の考慮は必要ありません。
 
Q23. 各種の入力符号について。斜面の傾き、設計水平震度の向き、作用荷重の向きの考え方。
A23. 斜面の傾き、設計水平震度の向き、作用荷重の向きの考え方につきましては、
・面内解析であれば、全体座標系の+X軸方向を基準として、
・面外解析であれば、全体座標系の+Z軸方向を基準として、
定義していますので、この点に注意しながらデータ符号を入力して下さい。

1.層の傾斜角θの考え方
層の傾斜角はX軸(面外の場合はZ軸)の正方向に向かって、上がる傾斜角を+θ、下がる傾斜角を−θとします。(詳細は画面ヘルプを参照願います。)

2.設計水平震度の向きの考え方
全体座標系のX軸(面外の場合はZ軸)の正方向の慣性力を+kH、負方向の慣性力は−kHとします。(詳細は画面ヘルプを参照願います。)

3.作用荷重の向きの考え方
全体座標系あるいは部材座標系の正方向の荷重を+P、負方向の荷重を−Pとします。
(詳細は画面ヘルプを参照願います。)

※特に、面外解析モデルの場合は、入力符号が混乱しやすいので、上記3原則を念頭において、入力データを作成して下さい。
 
Q24. 「深礎杭研究会」の正式名称などを教えてください?
A24. 深礎杭研究会について
【名称】深礎ぐいプログラム研究会
【機関】財団法人高速道路調査会に設置された研究会
【研究会名簿】
事務局:高速道路調査会、日本道路公団構造技術課、白石、日本技術開発
ソフト会社:フォーラムエイト、横河技術情報、川田テクノシステム、綜合システム、CRC総合研究所
【活動成果】
「深礎基礎の設計計算プログラムに関する検討」報告書    H10.5
「深礎基礎の設計計算プログラムに関する検討」報告書(2) H12.5
 
Q25. 杭頭が地表面より下の場合、上載荷重q(KN/u)についての留意点は?
A25. 設計地盤面(第1層目の地層線)より下方の地盤については、埋込杭であっても、プログラム内部で自動的に土塊ブロックとして重量に反映しますので、上載荷重qの入力は必要ありません。
設計地盤面(第1層目の地層線)より上に土砂等が存在する場合、その土砂に相当する重量をq(KN/u)として入力して下さい。
 
Q26. 極限水平支持力の算定に用いるすべり角αの入力範囲について、道路公団設計要領では0〜180度となっていますが、プログラムで直接入力する場合の入力範囲は45〜135度となっているのはなぜですか。
A26. すべり角αの範囲について

土質力学において、地盤が受働状態(杭体が地盤を押す状態)となった場合の受働崩壊角は45度より大きいことがわかっていますので、本プログラムではすべり角αの下限値を45度としています。なお、本プログラムの開発当初におきまして、45度以下についても検証を行っており、Rqが最小となるすべり角は45度以下には存在しないことを確認しています。

また、すべり角が90度〜180度の範囲については、設計地盤面の傾斜角より急なすべり角は存在しませんので、実際には検討対象の斜面勾配によって上限値の制約を受けることになります。多くの場合、傾斜角45度(α=135度)以上の急な斜面上の構造物はほとんどないのではないかと考えられます。希に60度程の急斜面もありますが、これらのデータで実際に計算を行ってみても、すべり角αは135度より小さい結果となっています。

上記を踏まえて、最小となるすべり角αの範囲の多くが45度から135度の範囲で決定されるであろうと考えられることから、入力時の上下限値をこの範囲としています。
 
Q27. 深礎フレームの保耐法において算出される杭本体の降伏モーメントの値が、杭基礎の地震時保有水平耐力で算出される杭本体の降伏モーメントの値と異なり、深礎フレームの方が大きくなっています。(計算条件は、杭径、鉄筋量など同一条件です。)RC断面で計算すると、杭基礎の地震時保有水平耐力の降伏モーメントと同じ値になります。理由を教えてください。
A27. 深礎杭の場合の杭体降伏時とは、杭体の引張側の90度の円弧内に含まれる全ての軸方向鉄筋の引張応力度が降伏応力度に達する時としていますので、杭基礎やRC断面の結果(最外縁鉄筋が降伏に達する時)とは異なります。
この考え方は設計要領5−8−2に記載されており、当社のプログラムはこれにならっております。
 
Q28. 保耐法の設計水平震度がkhp>khcのときの荷重載荷について。
A28. 青色本p8−31、32では、khp>khcの場合について、khp点までの荷重載荷を行ったグラフを表示していますが、最終的な安全性の判定材料として、『khc点において弾性範囲となっているのでOK』との判断を示していることから、khc点以降の計算結果は安全性の判定に何ら関係ないことがわかります。したがって、この例から、khp>khcの場合、荷重載荷は最大でもkhc点までを考えればよいと判断できます。
以上より、本プログラムでは、設計水平震度がkhp>khcの場合、内部ではkhc点までの荷重載荷としています。
なお、khp>khcの場合について、khp点までの荷重載荷を行って基礎の挙動を確かめたい場合については、『一時的に、khcの値をkhpと同じ値に変更』して、計算実行することで対処可能です。 
 
Q29. 震度法の組み合せデータで、常時および地震時が混在した組み合せケースの場合、計算実行時に「常時と地震時が混在しています。」というメッセージが出る。ヘルプを見ると「常時および地震時が混在した組み合せは、結果の評価には十分注意して下さい。」と記されている。
ここで質問だが、例えば死荷重などは常時・地震時に共通の荷重だが、常時用の死荷重、地震時用の死荷重と基本荷重ケースを分けて入力する必要があるのか。
A29. 結論から申し上げますと、常時用の死荷重,地震時用の死荷重と分けて入力する必要はありません。どちらか一方を入力しておき、ごく普通に組み合せることでOKです。
本プログラムでは、常時および地震時が混在した組み合せケースの場合、計算実行時に「常時と地震時が混在しています。」というメッセージが出力されますが、そのまま計算を続行しても、解析結果は有効です。

一般のフレーム解析プログラムの多くは、組み合せ荷重ケースの取り扱いは、組み合せデータで指定された各々の基本荷重ケースの解析結果を用い、その結果(反力,変位,部材力)を重ね合わせて組み合せケースの解析結果とするものです。あくまでも、得られた解析結果を重ね合わせる機能であることから、各々の基本荷重ケースの支点条件(地盤バネ値の評価の程度)が同一でなければ、意味がないものになってしまいます。
一方、本プログラム(深礎フレーム)では、組み合せ荷重ケースの取り扱いは、組み合せデータで指定された各々の基本荷重ケースの荷重データを寄せ集めて新たな基本荷重ケースを内部的に生成し、それに対して解析を行うものです。つまり、解析結果を重ね合わせるのではなく、荷重データの段階で組み合わせた荷重状態そのものを作っているのです。本プログラムではこのように処理していますので、常時および地震時が混在した組み合せケースの場合でも解析結果は有効です。

本プログラムでは、常時および地震時が混在した組み合せケースの場合、計算実行時に「常時と地震時が混在しています。」というメッセージを出力していますが、これは上述しましたように、一般のフレーム解析プログラムの組み合せケースの取り扱いと対比されて、基本荷重ケースの解析結果の合計値と、組み合せケースの解析結果の値が合わないといった誤解をされないようにするため、このようなメッセージ出力を行っているとお考えいただきたいと思います。
 
Q30. 杭底面鉛直地盤反力度の式中の各種パラメータについて。
A30. 底面鉛直地盤反力度の計算式は、次のとおりです。
qmax=N/A’+(M’/I’)・(D/2−e)

(1)底面鉛直地盤反力度の式中の軸力Nについて

・杭周面摩擦を考慮しないとき:
 N=Ny
 Nyは、断面力表の杭底面位置の軸力

・杭周面摩擦を考慮したとき:
 N=Ny−Rsy
 Nyは、断面力表の杭底面位置の軸力
 Rsyは、杭底面格点の分担する鉛直方向の杭周面摩擦力で次式による。
  Rsy=qy×0.8D×ΔL/2×4
  qyは、地盤反力度の結果より、杭底面位置の鉛直せん断地盤反力度qy。
  0.8Dは、0.8×D(杭径)。
  ΔL/2は、杭底面格点の分担長で、1つ上の格点までの距離の1/2。
  4は、杭周面摩擦抵抗部分の面積で、杭の前背面と左右側面の計4面分。
  これはqyが4面すべて塑性化している場合で、qyが弾性範囲の場合は弾性地盤反力の合計。

したがって、杭周面摩擦を考慮している場合は、底面鉛直地盤反力度の式中の軸力Nは、断面力表の杭底面位置の軸力Nから鉛直方向の杭周面摩擦抵抗力を差し引いた値となりますので、断面力表のNとは異なります。

(2)底面鉛直地盤反力度の式中のA’、M’、I’について
製品ヘルプ−計算理論および照査の方法−深礎基礎の計算−バネ位置での地盤反力をご覧ください。

(3)底面鉛直地盤反力度の式中のeについて
底面の有効載荷面積A’部分の図心位置の偏心量eです。この値は、製品ヘルプQ6−5で示す偏心量ed、erとは意味が違います。
式中のeは図形から幾何学的に決まるもの、Q6−5のed、erは力の比(M/N)から決まるものとなります。
式中のeは、底面地盤反力度分布が全断面有効の間はe=0、底面地盤反力度分布が浮き上がりを生じて来るとeは値を持ちはじめます。
 
Q31. 組杭構造で引抜き側の杭底面が浮上がり状態となっても、安全と判定して良いのか。
A31. 組杭構造で引抜き側の杭底面が浮上がり状態となっても、押込み側の杭底面地盤反力が押込み支持力の上限値に達していなく耐力が十分あるときは、安全と判定しています。
この理由は肌色本のp8-33の例題において、p8-38の安全性の判定表では、引抜き側の杭が完全に浮き上がり状態(PN=0)となっているものの、押込み側の杭底面地盤反力が押込み支持力の上限値に達していなく耐力が十分あり、結論として、p8-36にて深礎基礎の安全性の判定を満足すると示されていることによります。
 
Q32. 杭格点位置の断面力の取り扱いについて。
A32. 弾性解析結果で出力される杭体断面力(M,S,N)は、格点位置の平均値を表示しています。この格点位置には水平バネが存在するため、格点の上側と下側では、せん断力にバネ支点反力分の差が生じています(=フレーム解析結果における上側部材のj端と、下側部材のi端には差が生じています)。
また、杭周面摩擦力を考慮した場合、支点バネには、水平バネだけでなく鉛直バネや回転バネも付くので、バネ支点の上側と下側ではせん断力の他、軸力や曲げモーメントにも差が生じることとなります。
さて、このようなバネ支点の上側と下側で差を生じる(生の)フレーム解析結果から、設計に用いる杭体断面力を表す場合について、深礎杭研究会ではバネ支点の上側と下側の平均値を示すことで統一され、各ソフト会社間でも統一事項として扱われています。
したがって、本プログラムでは、弾性解析結果で出力される杭体断面力(M,S,N)は、杭中間部の場合、バネ支点の上側と下側の平均値とし、杭頭部と杭先端部については端部となるのでそのままの値としています。
フレーム解析結果で出力される部材力の値は、(生の)フレーム解析結果を表示しており、各部材(=0.5mの杭部材)ごとに部材端の断面力(M,S,N)を出力しています。こちらは、隣り合う部材端の断面力はバネ支点反力分の差を生じることとなります。

また、杭格点位置の地盤反力については以下のように扱っています。

弾性解析結果で出力される水平反力RHは、杭体の前面水平バネによる反力分のみを示しています。周面摩擦抵抗による反力分については、水平せん断地盤反力度、鉛直せん断地盤反力度という形で示しています。
フレーム解析結果で出力される水平反力は、格点に取り付けている全てのバネ(全面水平バネ,周面摩擦による水平せん断バネ)に対する反力です。
したがって、弾性解析結果とフレーム解析結果の水平反力を比較すると、杭周面摩擦を考慮しないケースは一致しますが、杭周面摩擦を考慮するケースは一致していません。
 
Q33. 鉛直方向に単位荷重を与えても、鉛直方向変位がアウトプットされないが?
A33. 深礎フレームの面外解析では、フレーム解析結果の箇所で出力される変位は面外成分(θX,θY,δZ)だけなので、鉛直方向の変位(δY)は出力できません。

対策としましては、弾性解析結果の杭体変位をご覧下さい。
この箇所では杭体の水平変位,鉛直変位,回転変位を出力していますので、杭1,杭2の各杭頭の鉛直変位を読み取って、その平均値をフーチング中心の鉛直変位と考えて下さい。
あるいは、鉛直変位を求めるときだけ一時的に面内モデルとして解析する方法も考えられます。
 
Q34. 単杭構造でフーチングなし(Wf=0)の場合の荷重載荷について。
A34. 保耐法の計算では、設計水平震度はkhc点までの荷重載荷を行うのが普通ですが、本プログラムでは以下の条件に該当する場合、不要な計算を省いて解析結果を迅速に得るために、次の取り扱いを行っています。

「単杭構造で、フーチングなし(Wf=0)で、khp<khcのときは、khp点までの荷重載荷とします。」

これは、単杭のようにフーチング部がない場合は、橋脚基部に塑性ヒンジが生じるkhp点以降は、設計水平震度を上げても基礎に作用する荷重増分はないので、khp点以降の計算結果は同一解を保ち続けるので、以降の計算を省略しているためです。このとき、プログラム内部ではkhpに対してαi=1とします。
この考え方は、青色本p7−22のケーソン基礎の例で、(3)橋軸方向に対する基礎の安全性の判定 の箇所を参考にしています。ここでは、khp=0.62、khc=1.57(p7−4より)となる設計条件ですが、以後の記載より荷重載荷はkhp点までとしておりkhc点までは考慮していないことがわかります。

なお、khc点まで荷重載荷した場合の結果を得る目的で、Wfに微小な値を入力した場合は問題なく計算が行われます。この場合はkhc点までの荷重載荷となり、このときプログラム内部ではkhcに対してαi=1となりますので、荷重載荷ステップの1つの大きさが、khpに対してαi=1とした場合とは異なってきます。この1ステップの大きさのちがいのため、両者の結果は細部において若干の差が生じる場合がありますが、計算結果自体は有効に解析を行ったものです。
 
Q35. 水平方向安定度照査結果で弾性域には0.5mしか入っていないと思うが、結果判定では弾性域に2.0m以上根入れされてOKの判定となる。どう解釈すれば良いか。
A35. 水平方向安定度照査結果のプリンタ出力で、表の欄外にある前面地盤の塑性化位置Zpの値に注目してください。
本ケースの場合、塑性化位置は
 Zp=2.000m
ですから、弾性領域への根入れ長は、
 Ld=L−Zp=4.000−2.000=2.000m
となり、Ld=2.0m≧2.0mで、判定はOKとなります。

本ケースの場合、深さ3.000mまでは、前面地盤の水平かぶりが小さいため、前面水平バネ値はkH=0となります(内訳は、地盤の諸条件データの出力で確認して下さい)。このとき、水平方向安定度照査結果で表示される水平反力RH=0は、地盤が塑性化したという意味の0ではなく、もともと水平バネ値がないために水平反力が生じないことを意味している0です。
本ケースの場合、作用荷重が比較的小さいため、設計地盤面以下の地盤が塑性化せずに済んでおり、したがって、プログラムでは便宜上、塑性化位置を設計地盤面位置にしているため、上記のように、弾性領域への根入れ長は、Ld=L−Zp=4.000−2.000=2.000mとなります。
 
Q36. 杭体突出部やフーチングの慣性力の取り扱いについて。
A36. 震度法の場合、フーチングの慣性力は震度法荷重データ(=フレームデータ)として入力して下さい。フーチングより上の柱部や梁部の慣性力を考慮する場合も同様にフレームデータとして入力して下さい。杭体突出部の慣性力だけは、内部でkh×wにより自動決定しています。

保耐法の場合、フーチングの慣性力は保耐法荷重データのWfを用いて、内部でkhg×Wfにより自動決定しています。杭体突出部の慣性力も、内部でkhg×wにより自動決定しています。
保耐法では、震度法荷重データ(=フレームデータ)で入力した荷重データは一切使いません。保耐法荷重データで入力したRd、Wu、Wp、Wfなどから、基礎天端に作用する力として(Vo、Ho、Mo)を作り、これを基礎体に段階的に増加させながら載荷しています。
 
Q37. 弾性解析結果の断面力と、水平方向安定度照査結果の断面力値が違うのはなぜか。
A37. 弾性解析は、地盤が弾性体(地盤反力が大きくなっても塑性化しない)として計算しています。
水平方向安定度照査は、地盤が弾塑性体(地盤反力が上限値を超えたところは塑性化する)として計算しています。
両者の計算上のしくみが異なるのですから、結果が異なるのは明らかです。
 
Q38. 面外解析時の杭軸回りの回転拘束条件について教えてほしい。
A38. 本プログラムでの杭軸回りの条件として固定が選択できるのは、下記の理由によるものです。
杭底面の杭軸回りの拘束条件としては、
 (1) 回転自由
 (2) ねじりバネ
 (3) 回転固定
が考えられます。
深礎杭の解析では、底面の水平変位に対して、せん断抵抗バネを考慮していることを考えれば、底面の回転変位に対してだけ無抵抗(=回転自由)とするのは無理があるように思います。
また、本来であれば、杭軸回りの回転抵抗は、底面だけでなく、杭中間部の周面摩擦による回転抵抗もある程度考慮すべきであろうと考えます。
これらを踏まえて、本プログラムでは計算上の簡便を考慮して(=ねじりバネを除外して)、杭軸回りの回転抵抗を底面に集中させて、自由または固定の2つから選択できるようにしています。
一方、当社の初代の深礎フレーム(92年〜)では、杭軸回りの回転抵抗は固定のみとしていたため、当時のプログラムとの整合性を図る目的で、固定の選択肢を設けているのも一因です。
 
Q39. 周面摩擦力について教えてほしい。周面バネを考慮しない場合は周面摩擦力のデータは入力しなくてもよいのか?
A39. 杭周面摩擦力度は、杭体の周面摩擦抵抗力として評価し、基礎体に作用する荷重に対して、基礎体の抵抗力を増加させるのに効果を与えます。
周面摩擦抵抗は、周面摩擦バネとしてモデル化され、杭体のそれぞれの格点に支点バネとして取り付けられ、解析されます。

入力項目にある「周面摩擦力度の入力」は、周面摩擦力度の上限値を決めるための地盤条件を入力する画面です。
周面摩擦力度は上限値までは杭体変位に比例して増加しますが、上限値に達した以降は上限値のまま一定の摩擦力度を保ちます。

出力結果としては、例えば震度法−弾性解析結果ならば、地盤反力タブにて、水平地盤反力度qx、鉛直地盤反力度qyが確認できます。
水平方向安定度照査時、保耐法時も同様にして、地盤反力タブにて確認できます。
周面バネを考慮しない場合は周面摩擦力のデータは入力しなくてかまいません。
 
Q40. 組杭深礎(2×2列)の計算を行う場合に、各杭のデータを4本分入力し、押込み側、引抜き側それぞれ同一のフレーム格点に杭を2本ずつ結合して、計算を行うことは可能か。
A40. 同一のフレーム格点に2本以上の杭を結合して、計算を行った場合、途中でエラーが生じることなく計算は進みますが、この方法で得た計算結果は、次の場合に限り有効となりますので、十分注意して下さい。
有効な場合の条件:
重ね合わせる杭の、杭頭の水平バネ値がkH=0の場合に限り、計算結果は有効で、これ以外のときは無効となります。杭頭の水平バネ値kHは、計算実行ボタンを押した直後の、「バネ値および水平支持力の確認」画面で確認して下さい。
一般に、組杭深礎のモデル化については、杭列を1列ずつ取り出してフレームモデルを考え、作用力は全荷重の(1/列数)として計算するのが一般的です。本プログラムは、この入力方法を想定して作られていますので、できる限りこちらの方法でご使用いただきたく、お願いいたします。
 
Q41. Q6−7の内容に従い基礎バネを算出しているが、単位水平荷重を作用させたときの回転変位θと、単位モーメント荷重を作用させたときの水平変位δxが同値とならないが、なぜか?
A41. 単位水平荷重を作用させたときの回転変位θと、単位モーメント荷重を作用させたときの水平変位δxが同値とならない場合の原因としては、一部の地盤抵抗が弾性範囲を超えて塑性化(=支点バネが外れる)してしまい、解析結果に対称性がなくなっている可能性があります。
結果が弾性範囲内であるかどうかを判断するには、弾性解析時のバネ値を出力し、支点バネ条件が同一かどうかを確認して下さい。さらに、弾性解析時の地盤反力度を出力し、各地盤反力度の数値の横に*印が付いているかどうかを確認して下さい。*印がある場合は、その箇所が弾性限度を超えて塑性化していることを示しています。

特に、周面摩擦を考慮しているケースでは、作用荷重により一部の周面摩擦バネが外れてしまう場合があります。この場合、次のいずれかの方法によって弾性範囲を保つことが可能です。
(1)単位荷重を小さくする。
(2)詳細設定−周面摩擦力度の決定方法を直接入力とし、周面摩擦力度の入力において、foの値を大きな値、f’を0として上限値を大きく設定することで、周面摩擦バネが外れないようにする。

ライナープレート工法等により、周面摩擦力を考慮したくない区間が存在する場合は、同じく周面摩擦力度を直接入力とし周面摩擦力度を考慮したくない区間のfo、f’共に0として上限値を0に設定することで、、周面摩擦バネが外れるような単位荷重を作用させて下さい。もちろん、それ以外の区間は弾性範囲であることを確認して下さい。
 
Q42. 杭体の主鉄筋が2段配置のとき、帯鉄筋の有効長dは外側帯鉄筋の位置を用いるとの解説だが、なぜか。道路橋示方書p.131には明記されていないようだが。
A42. 道示(V)p.131〜132には明確に記述されていませんが、この取り扱いについては、「耐震設計ソフトウェアに関する研究委員会報告書(H9.5)」p.27に、多段配筋の場合の横拘束筋の有効長dの考え方が記載されています。
これを踏まえて、深礎杭研究会のベンチマークテストでも、深礎杭の場合も同様に、帯鉄筋の有効長dは外側帯鉄筋の位置を用いることで統一されました。したがって、本プログラムのヘルプ説明でも、これにしたがった解説を行っています。
 
Q43. 杭頭でのせん断力合計が入力荷重と一致しない。
A43. 杭頭部の水平方向の力のつりあいは、以下のように考えております。
杭頭に作用する水平荷重=杭頭部のせん断力+杭頭部の前面バネ支点反力(+周面摩擦抵抗力)
したがって、杭頭部に前面バネ支点反力(および周面摩擦抵抗力)が生じる場合は、
 杭頭に作用する水平荷重=杭頭部のせん断力
とはなりません。
 
Q44. 保耐法における変位照査位置は、杭頭or設計地盤面のどちらか?
もし、保耐法における詳細位置が杭頭であるならば、その理由を教えて欲しい。
A44.
変位の照査位置につきましては、下記のように行っています。
震度法の設計では、道路公団設計要領(H12.1)p4−76に示すように、設計地盤面と杭前面が交差する点の杭軸線上の変位としています。
保耐法の設計では、道路公団設計要領(H12.1)p4−81に示すように、基礎天端中心における変位としています。実際には、プログラムでは保耐法荷重データで入力している「深礎基礎に作用する荷重の作用格点No」の変位としています。

道路公団設計要領の深礎基礎の部分については、道示ケーソン基礎を参考に整備が進められたものです。道示では、保耐時の変位照査位置は基礎天端というのが基本になっています。(耐震設計編5.2解説参照)
本プログラムでは、基礎天端位置として、単杭では杭頭位置、組杭ではフーチング下面中心と割り切って考えることとしています。
なお、単杭モデルの場合で、設計地盤位置を変位照査位置としたい場合は、設計地盤面より下方を杭体とし、設計地盤面より上方をフーチングとしてモデル化を行えば、設計地盤面での変位照査が可能となります。
 
Q45. 杭体断面が鋼管杭や中空断面の場合、計算は可能か?
A45.
申し訳ありませんが、鋼管杭や中空断面の場合、入力及び計算はできません。

ただし、下記のように近似的にモデル化することで目安の計算結果を得ることが可能です。
(1)杭底面は充実断面とみなす。底面の鉛直地盤反力度、鉛直地盤バネ等が充実断面を想定しているためです。
(2)杭中間部の断面二次モーメント(I)と断面積(A)は全長にわたって一定とする。
(3)中空断面の断面諸値に見合うよう、次のようにコンクリートのヤング係数(Ec)と単位体積重量(γc)を換算する。
いま、本来のヤング係数を(Ec)単位体積重量を(γc)とし、
充実断面の断面二次モーメントを(Io)断面積を(Ao)とし、
中空断面の断面二次モーメントを(I’)断面積を(A’)とすると、
換算すべきコンクリートのヤング係数Ecと単位体積重量γcは、
 Ec’=(I’/Io)×Ec
 γc’=(A’/Ao)×γc
となります。この換算したEc’、γc’を入力して下さい。

注意
上記の方法は、あくまで目安の計算結果を得る程度のものとお考え下さい。
上記の方法は、震度法の計算のみに有効です。
震度法の杭体応力度は円形RC充実断面を想定した値ですので、応力度は別途計算して下さい。
保耐法の計算には、M−φの評価として充実断面を想定しているため、適用はできません。
 
Q46. 面外方向の設計の考え方として、単杭にバラして検討するのと組杭のまま検討するのと、どちらが良いのか。
A46. 面外方向の設計について、これまでの他のコンサルタント等からの問い合わせ例では、下記の2通りの検討を行い、設計上一番厳しい結果に対して設計を行っている例が多いようです。「設計上厳しい」の判定については、設計者の側で判断をして頂きたいと思います。
  1.各杭の分担率を算定し1本ずつ単杭状態にして検討する。
  2.組杭状態のまま検討する。
 
Q47. 杭周面摩擦の条件と杭径の関係について
A47. 基本データ画面の「杭周面摩擦」の条件で、「・考慮しない、・考慮する(XY)、・考慮する(XYθ)」の選択の際、杭径との関係については下記を参考にして下さい。

(1)考慮しない:
杭周面摩擦を考慮しない場合(ライナープレート土留め工などによる施工)に選択。
杭径によらず考慮しない場合は、こちらを選択して下さい。
(2)考慮する(XY):
杭周面摩擦を考慮する場合(モルタルライニング土留め工などによる施工)に選択。
水平方向、鉛直方向の杭周面摩擦を考慮。杭径が5m未満の場合は、こちらを選択して下さい。
(3)考慮する(XYθ):
杭周面摩擦を考慮する場合(モルタルライニング土留め工などによる施工)に選択。
水平方向、鉛直方向、回転方向の杭周面摩擦を考慮。杭径が5m以上の大口径深礎の場合は、こちらを選択して下さい。

なお、ヘルプQ6−3も併せてご覧下さい。
 
Q48. フーチングの設計は可能か。
A48. フーチングの設計については本プログラムの適用範囲外ですが、考え方を下記に示しますので参考にして下さい。

■フーチングの設計について
(1)はじめに
フーチングに生じる曲げモーメントおよびせん断力に対する照査は、震度法と保耐法の双方とも行うものと考えます。これは、肌色本P.8-45の説明にもあるように、青色本と重複する内容が省かれているだけで、青色本P.2-31,P.2-82では、震度法と保耐法の照査が示されているからです。
(2)杭とフーチングの結合部の設計
結合部の鉛直方向および水平方向の押し抜きせん断の照査は、肌色本P.8-45には、保耐法だけの例が示されていますが、震度法の照査は省略されているだけと考えられますので、震度法と保耐法の双方とも行うものと考えます。(P.8-45の計算例は、震度法の杭頭反力は保耐法よりも小さいことが明らかであるために省略されているだけと考えられます。)
(3)設計に必要な杭頭反力
杭頭反力の値は、震度法の場合は[震度法の計算結果]−[弾性解析結果]、保耐法の場合は[保耐法の計算結果]−[杭体断面力他]で得られますので、この結果の杭頭部の反力を用いて下さい。

■フーチング断面力の計算方法
本プログラムでは、震度法の計算では、杭体部材以外のフレーム部材(=フーチング部材)の断面力を出力できますが、保耐法の計算では、杭体部材以外のフレーム部材(=フーチング部材)の断面力を出力できません。そこで、フーチング部のみを梁部材としてモデル化し、別途フレーム解析を行い、フーチング断面力を求める方法を下記に示しますので、参考にして下さい。

(1)フーチングのモデル化では、各杭頭間を結んで梁モデルを作成して下さい。また、外側の杭頭からフーチング側面までの間に仮想の水平部材を張り出し、フーチング全幅に相当する梁モデル(折れ線状の骨組となっても可)を作成して下さい。
(2)支点条件としては、杭間の部材および格点は何も支点拘束しないで、一方の仮想部材の端部(例えばフーチング左側面)を固定支点として下さい。
(3)荷重としては、杭頭反力(RH、RV、RM)、および、設計時の段階で基礎天端に作用する荷重(H、V、M)を作用させて下さい。
(4)結果の判断
入力した荷重(杭頭反力と基礎天端荷重の関係)が、解析の結果、つりあっていることを必ず確認して下さい。この確認方法は、端部の仮想部材に断面力がほとんど生じなく、固定支点にも反力がほとんど生じない(水平反力、鉛直反力、回転反力=0)ことをチェックすればOKです。仮に、固定支点に無視し得ない不釣り合い反力が生じているときは、荷重がつりあっていないことになりますので、入力荷重をチェックして下さい。
(5)上記の判断後、フーチング部材の断面力を読み取って、設計に利用して下さい。

なお、杭体断面力表の杭頭部(M、S、N)の各符号による力の向きは次のとおりです。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
断面力表   力の向き   フーチングに対する作用力の向き
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
+M     時計回り   反時計まわり
+S     右方向→   左方向←
+N     上方向↑   下方向↓
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
他のソフトに入力する場合は、上記「フーチングに対する作用力の向き」を考慮の上、他のソフトで定義された正の向きに注意して、必要に応じて+−の符号反転をして入力して下さい。
 
Q49. 2×2列などのフーチング式組杭の基礎バネの考え方は?
A49. 2×2列などのフーチング式組杭の基礎バネは、各列ごと取り出したモデル(一列の組杭モデル)で計算した基礎バネを合計して下さい。例えば、各列が対称である場合は簡略して1列分の2倍、各列が非対称であれば各列ごとの基礎バネを合計、と考えて下さい。
 
Q50. 基礎バネにおける鉛直バネ成分の算出方法について。
A50. まず、製品ヘルプQ6−7と同様の条件設定を行って下さい。
次に、V=Voを入力した荷重ケースを1ケース追加して下さい。計算実行後、V=Voを作用させた荷重ケースから、鉛直変位δ=δYを得てください。鉛直方向バネをAyyとすると、Ayy=Vo/δY で求めて下さい。

なお、組杭で非対称モデルの場合、鉛直力Voの作用に対して、荷重作用点に生ずる変位が鉛直変位だけでなく水平変位または回転変位を生ずる場合があります。この変位が無視し得ない程のものであるときは、鉛直バネに対する連成項(3×3マトリックスの連成バネ)を考慮する必要があります。この場合は、製品ヘルプQ6−7に示す方法に習い、2×2マトリックスを3×3マトリックスに拡大し、鉛直力Vo作用時の水平変位および回転変位を考慮して、3×3マトリックスによる基礎バネを求めて下さい。
 
Q51. 斜面が2方向に傾斜している場合は製品ヘルプQ1−12に説明があるが、実際の入力方法を教えて欲しい。
A51. 基本データ入力画面にて解析方向(○面内、○面外)を切り替えることによって、他の入力画面が面内用または面外用に切り替わります。
メインウィンドウ左下の座標軸がXYの2方向ときは面内用、XYZの3方向のときは面外用の入力・計算・出力モードとなっています。
一つの入力データファイル内で、面内データと面外データを共に入力して両方向一括してデータ保存することも可能ですし、どちらか一方ずつを入力して別々にデータ保存することも可能です。

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