フォーラムエイト デザインフェスティバル 2017-3Days+Eve |
日時:2017年11月14日(Eve)、15〜17日(3Days) 会場:品川インターシティ ホール |
(Up&Coming 2018年1月号) |
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期待高まる自動運転へ、関係省庁のアプローチ
当社代表取締役社長の伊藤裕二による開会挨拶を受けて、「UC-win/Road協議会」<自動運転カンファランス>は「バーチャルリアリティの時代。UC-win/Road®プレゼンテーション」で幕を開けました。まず当社担当者が「VRドライビングシミュレータ・訓練・展示システム開発事例と展望」と題してプレゼンテーション。UC-win/Road
Ver.12の主な機能として64bitネイティブ対応による空間モデリングの大規模化や速度アップ、続く同Ver.12.1によるHTC VIVEのHMDやMATLAB/Simulinkとの連携、超大型DSシステムやVRモーションシートをはじめとする最新ハードウェアの特徴などについて解説。併せて、最近のそれらのユニークな活用事例を紹介。一部実現している要素を含め、近々拡張していく機能、その先で目指していく展開方向にも言及しました。 |
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次いで、「自動運転トータルシミュレーション環境開発」と題するプレゼンテーションでは当社の開発担当者が社会や新たなモビリティの発展に資するシミュレーション開発を自らの使命と位置づけ。 |
フォーラムエイト代表取締役社長
伊藤 裕二 |
そのために最新のUC-win/Roadで実現してきた走行環境の忠実な表現、センサーのシミュレーション、サードパーティのアプリケーションとの連携、シミュレーションするための情報の記録・分析・再生などに関する機能について説明。自動運転への対応、空間作成上の課題、各種性能の向上、JavaScriptへの対応など今後の開発ポイントに触れた後、更なるターゲットとして、1)モビリティ全体のシミュレーションや交通の検討、2)クラウドシステムを拡張し統合的なシミュレーションを行うためのプラットフォーム構築など、次世代製品への考え方も描きます。
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VRドライビングシミュレータ・
訓練・展示システム開発事例と展望 |
自動運転トータルシミュレーション環境開発 |
これらを受けた、<自動運転カンファランス>最初の特別講演は総務省総合通信基盤局電波部移動通信課新世代移動通信システム推進室長の中里学氏による「自動運転、Connected Car(つながるクルマ)を巡る状況と総務省の取組み」。Connected
Carの概念を説明した上で、同省が組織するConnected Car社会の実現に向けた研究会で検討した、1)ネットワークやインフラ、周辺のヒトやクルマなどの様々な情報と双方向で繋がることによるクルマの役割の変化、2)それによって社会にもたらされる様々な可能性、3)Connected
Car社会における新たなサービスやビジネスのあり方、4)留意すべき課題などを整理。併せて、自動走行の基本的な仕組みや要素技術、そこで求められるマップ情報の更新頻度や周辺環境との協調、自動運転実現へのロードマップ、自動運転におけるAI活用への期待とその先進の取組み、内閣府が主導するSIP(戦略的イノベーション創造プログラム)における自動走行システムに関する重要課題とそれに向けた大規模実証実験について概説。さらに、Connected
Car社会や自動走行のカギとなる技術の一つ、5G(第5世代移動通信システム)の2020年実現に向けた取組みとそのもたらすメリットを紹介。最後に内外の注目される動向にも触れました。
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総務省 総合通信基盤局 電波部
移動通信課新世代移動通信システム
推進室長 中里 学 氏 |
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午後からはまず「自動車文化を考える議員連盟」会長の古屋圭司衆議院議員が来賓挨拶。交通事故の死者数が年々減少してきた反面、高齢者がその中で高い比率を占めていることに注目。高齢化や地方の活性化への対策という観点も含め自動運転への期待を説きます。
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「自動車文化を考える議員連盟」会長
衆議院議員 古屋 圭司 氏 |
続く<自動運転カンファランス>は「自動走行に関する経済産業省の取組み」と題する同省製造産業局自動車課電池・次世代技術・ITS推進室長の垣見直彦氏による特別講演でスタート。自動走行の意義とそれを実現する主要技術、自動走行レベルの定義を振り返った後、自家用・事業用における自動走行の進化のプロセス、自動走行に関する政府および経産省の取組み、自動走行技術の現状とその競争・協調領域の戦略的切り分け、自動走行の将来像について概説。世界に先駆けて自動走行の社会実装を実現すべく技術と事業化の両面で世界最先端を目指すため、1)自動走行に対しては走行エリアや方法を限定できる事業用で先行し自家用に広げていく、2)重要分野を設定し協調領域の取組みを加速する、とのアプローチを説明。その上で、それらを踏まえた国の様々な公道実証プロジェクトに触れ、特に社会的課題の解決を図る狙いとともにニーズが高く実現可能性が見込まれることから同省自ら取り組む、ラストマイル自動走行および高速道路におけるトラックの隊列走行の実証事業について詳述。それぞれの現状と今後の具体化スケジュールを紹介しました。
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経済産業省 製造産業局自動車課
電池・次世代技術・ITS推進室長
垣見 直彦 氏 |
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また、国土交通省自動車局技術政策課国際業務室長兼自動運転戦略室長の佐橋真人氏は「自動運転に関する国土交通省の取組み」と題して特別講演。初めに2016年12月に設置した同省自動運転戦略本部での1)自動運転実現に向けた環境整備、2)自動運転技術の開発・普及促進、3)自動運転実現に向けた実証実験・社会実装といった観点から主な取組みを紹介。そのうち中山間地域における道の駅を拠点とした自動運転サービス、ニュータウンにおける多様な自動運転サービスについて詳述。併せて、インテリジェント・スピード・アダプテーション(ISA)やドライバー異常時対応システムを含む先進安全自動車(ASV)、自動車アセスメント事業、および各種基準・技術指針の作成を自身らの自動運転の安全に関する主要な取組みと位置づけます。また国際的な活動として、国連自動車基準調和世界フォーラム(WP29)を中心とした自動運転の車両に関する技術基準の検討体制と様々な議論内容、自動車のハッキング対策に関する検討の現状に言及。最後に、自動運転車の賠償ルールの在り方に触れた後、自動運転の機能限界や故障時の対応などについてユーザーに正しい知識を持ってもらえるような取り組みの重要性も説きます。
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国土交通省 自動車局技術政策課
国際業務室長兼自動運転戦略室長
佐橋 真人 氏 |
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同カンファランス最後の特別講演は、警察庁交通局交通企画課自動運転企画室長の杉俊弘氏による「自動運転をめぐる最近の動向と警察庁の取組みについて」。近年の交通事故発生状況と現在に至る交通安全基本計画の推移、そこでの自動運転や安全運転支援システムの意義を説明。それを踏まえ移動弱者のモビリティ確保・向上に寄与しようという、同庁の自動運転に関する取組みの意図を提示。その上で、道路交通法第70条は緊急時に必要な対応を成し得るという前提さえクリアすれば、自動走行システムの利用や自動運転の公道実証実験を妨げるものではないと解釈できる半面、その実用化にあたっては同法上のドライバーの義務の見直しが求められるほか、自動運転といえどもドライバーが責任をもって安全運転を行わなければならないことの徹底が必要と指摘。また同庁が2015年度以降専門家を交え行っている自動走行の制度的課題に関する調査検討、自動走行システムに関する公道実証実験のためのガイドラインの策定、自動運転の段階的実現に向けた調査検討などを概説。一方、同庁自ら国連欧州経済委員会(UNECE)道路交通安全作業部会(WP1)を通じ、ジュネーブ条約との整合を図りながら自動運転に関する国際的な議論に参加。さらに信号情報提供技術や車両・歩行者等検知情報提供の確立に向け同庁が2014年度から取り組む研究開発にも言及しました。
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警察庁 交通局交通企画課
自動運転企画室長
杉 俊弘 氏 |
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広がるVR技術活用の裾野、設立30周年を機に更なる普及へ新たな試みも
今回で16回目を迎えた「3D・VRシミュレーションコンテスト オン・クラウド」には、今回も多数の応募作品が集まりました。
選考会でノミネートされた10作品に対し、クラウド上での一般投票、日本大学理工学部土木工学科の関文夫教授を委員長、NPO地域づくり工房代表の傘木宏夫氏、道路・舗装技術研究協会理事長の稲垣竜興氏を委員とする審査委員会のメンバーが、厳正な最終審査を行った結果、最優秀の「グランプリ」には株式会社メイワスカイサポートの「羽田空港VRシミュレータによる教育訓練」が選ばれました。
ジェット旅客機や特殊車両が行き交う羽田空港内には、一般の道路と異なる車両の走行ルールがあります。この作品は、特殊な環境下でコンテナをけん引するトーイングトラクターを安全に運転できるように訓練するために開発されたドライビングシミュレータ用のVRデータです。
空港内の道路に描かれたマーキングや標識は実物同様に再現され、危険個所や注意すべきポイントを実物同様に学ぶことができます。目の前を航空機が横切るなど、まるで空港の中を運転しているような感覚で訓練が行えます。
「準グランプリ 優秀賞」は今回、2作品が選ばれました、井尻慶輔事務所の「大牟田市内路面電車軌道及び沿線の復元」は、かつての大牟田路面電車500形と三井三池炭鉱のホッパーや沿線の建造物などをリアルに再現しました。韓国交通安全公団の「モバイル型安全教育体験4DVRシミュレーション」は都市道路、高速道路、試験場コースでのシナリオに基づいた運転を、6軸動揺装置付きの可搬式シミュレータで体験できるものです。
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審査員(左から)稲垣 竜興 氏、関 文夫 氏
(審査委員長)傘木 宏夫 氏 |
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受賞者の皆様 |
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今回デザインフェスティバルの開催に合わせ、フォーラムエイトパブリッシングより2書籍を刊行しています。そこでDay1の最後は、それらの監修者および編著者による出版書籍講演を実施しました。
初めに、「VRで学ぶ橋梁工学」(フォーラムエイト パブリッシング)の監修者で、一般社団法人道路・舗装技術研究協会理事長の稲垣竜興氏は全国の道路橋数が約72万橋(橋長2m以上)、鉄道橋は約9万橋に上り、その多くが高度経済成長期に建設されたこともあって保全のための対応が求められる橋梁は今後加速度的に増大してくると指摘。一方で、地方自治体の特に町村では橋梁の管理に携わる土木技術者が大きく不足しており、予防保全策がなされないために深刻な損傷や事故に繋がりかねないとの懸念を示します。そこで橋梁を身近に感じてもらえるよう「橋の面白さを紹介したい」、そして「橋梁ファンをつくりたい」との思いから本書の出版を着想。併せて、橋梁を見守ることが出来る人材育成を目指すべく意図されました。そのため専門的な内容が含まれる半面、VRと連携。例えば可動橋は本来その一部あるいは全体が様々に動くはずが、実際にそうした場面を見る機会は少なく、中には何十年も動かされたことがないケースすらあることから、本書ではVRにより各種橋梁を再現し、読者に体感してもらおうと企画。さらに、サーバ内の情報を逐次追加・更新していくことで内容を継続的に進化させようとの狙いも込められた、と語ります。
次いで、「避難誘導サイントータルシステム−RGSSガイドブック」(フォーラムエイト パブリッシング)の編著者で、特定非営利活動法人サインセンター理事長の太田幸夫氏はまず、昨年上梓した「安全安心のピクトグラム」(同)が災害に際して安全と安心に資するピクトグラムデザインについての認識編であるのに対し、今回はその実践編との位置づけを述べます。同氏がピクトグラムデザインと最初に関わったのは、多くの犠牲者を出すビル火災が連続して起きた1970年代。それを機に既存の非常口サインが煙で見えにくかったのではとの議論があり、同氏は視認性とともにデザイン性や快適性も考慮しピクトグラム化するアプローチを採用。当時氏が作成したデザインはその後、微修正を求められるなど曲折を経る中で国際規格化されてきた経緯があります。最新刊では、40年以上にわたりピクトグラムデザインに携わってきた自身の知見をベースに、関連業界100社120名によるジョイントワークの成果を結集。特に今回はゼネコンの協力の下、昼夜とも効果的に屋内から避難場所へ誘導する実践的なノウハウを分かりやすく解説したと説きます。そこには日本発・国際規格の非常口サインと同様、日本発・避難誘導サインで世界の多くの命を守りたいという氏の理念が貫かれてきます。
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特定非営利活動法人サインセンター 理事長
太田 幸夫 氏 |
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(一社) 道路・舗装技術研究協会 理事長
稲垣 竜興 氏 |
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