▲セントラルコンサルタント株式会社 東京事業本部のエントランス |
▲同社ホームページ |
「ソフトウェア(の導入)は業務効率化のために行う、というのが第一かなと思っています」
フォーラムエイト製品をはじめ、様々なソフトウェアの案内を受けるケースが最近は比較的多くなっている、と語るセントラルコンサルタント株式会社東京事業本部技術第1部道路グループの小泉裕樹氏。そのような中で、若い人たちが率先して様々な情報を収集し、業務効率化の観点から吟味。「これ、使えますよ」と働きかけて、グループ内で新しいソフトウェアを導入していく流れが増している、と近年の同社におけるICT(情報通信技術)活用アプローチに繋がる特徴的な側面について、こう説明します。
今回ご紹介するユーザーは、土木や都市計画の広範な分野で豊富な建設コンサルタント業務の実績を誇るセントラルコンサルタント株式会社。そのうち、東京事業本部の技術部門において自ら設計業務などでフォーラムエイト製品を日頃お使いいただいている技術第1部道路グループ、技術第2部橋梁グループおよび同部水工グループの若い技術者の皆さんに、当社製品を含むICT活用の現状とそこでの考え方についてお話を伺いました。
同社は各部門に応じた「UC-1シリーズ」の幅広いソフトウェアを長年にわたり利用。また、早くから3次元(3D)リアルタイムVR(バーチャルリアリティ)「UC-win/Road」も導入し、有効活用されています。
▲左から 東京事業本部技術第1部道路グループ 小泉裕樹氏、東京事業本部技術第2部橋梁グループ技師 松崎数馬氏
東京事業本部技術第2部橋梁グループ技師 秋山奈々絵氏、東京事業本部技術第2部水工グループ 船場文博氏
セントラルコンサルタント株式会社は1967年の創業。以来、半世紀近くにわたり、建設コンサルタントとして国や地方公共団体、あるいはODA(政府開発援助)関連を中心とする海外向け社会資本整備を主業務として着実に業容を拡大してきました。
現在は本社および東京事業本部(いずれも東京都中央区)のほか、東北、中部および大阪の3支社、広島および九州の2支店、海外部に加え、国内の2事務所、36営業所、海外3支店(グアテマラ、パラグアイおよびボリビア)を拠点に500名近い従業員が配置されています。
同社は、1)道路や橋梁、トンネル、港湾施設の建設、河川や海岸の保全、上下水道や情報インフラの整備を含む土木分野、2)公園の整備や公共施設の建設、都市開発などの都市計画分野にわたり、計画から設計、監理に至る幅広い業務を展開。また、既存の公共資産の管理・運用を支援するマネジメント分野、交通計画や環境保全などを支援する計画・環境分野、および海外のインフラ整備に向けた技術支援でも実績を重ねてきています。
橋梁・水工・道路の各グループの 業務とFORUM8製品の利用 |
全社的に多様かつ多数のフォーラムエイト製品を利用いただいている同社ですが、今回は東京事業本部の技術部門で設計関連業務に携わる技術者の皆さんをお訪ねしました。
同事業本部は、品質管理室および企画営業部、技術第1部、技術第2部、技術第3部から構成。さらに、技術第1部には道路グループと構造都市グループ、技術第2部には橋梁グループと水工グループ、技術第3部には交通運輸グループと都市基盤グループがそれぞれ設置されています。
そのうち、技術第2部「橋梁グループ」は国土交通省や関東周辺自治体からの、新設橋梁の設計、既設橋梁の長寿命化に向けた補修・補強の設計、および橋梁の点検業務などをカバー。同グループではフォーラムエイトの「橋台の設計」「橋脚の設計」「基礎の設計」「土留め工の設計」といった「UC-1シリーズ」の4種類のソフトウェアがメインで使用されています。
その中で基本的に新設橋梁の設計を担っているという橋梁グループ技師の松崎数馬氏は、入社以来上記ソフトを使っており、グループ内の通常の設計業務に関しては概ねすべてそれらで対応しているといいます。
また、同じく橋梁グループ技師の秋山奈々絵氏は同グループ内で新設橋梁の設計と既設橋梁の長寿命化修繕計画を半々の比率で担当。前者向け業務で橋台形式の比較検討などに「橋台の設計」と「基礎の設計」を主として使っています。
さらに、技術第2部「水工グループ」は河川や海岸に関する計画・設計を実施。近年は防災関連の護岸や河川構造物、海岸構造物などの計画・設計業務を中心に「UC-1シリーズ」の各種ソフトウェアが使用されています。
樋門・樋管をはじめ河川構造物や海岸構造物の設計、多自然型川づくりなどを現在手掛けているという水工グループの船場文博氏は、それらの業務を通じ「擁壁の設計」や「土留め工の設計」を利用することが多いと述べます。
一方、技術第1部「道路グループ」は道路の計画・設計を中心に、それに付随する橋梁や各種構造物、あるいは駅前広場や電線共同溝などの設計も行っています。そこでは「擁壁の設計」「BOXカルバートの設計」「土留め工の設計」「置換基礎の設計計算」といった「UC-1シリーズ」の各種ソフトウェアに加え、「UC-win/Road」が導入されています。
自身「なんでも屋さん」と称する道路グループの小泉裕樹氏は、国道のバイパス整備に関する道路設計など複数業務を担当。現段階ではそうしたプロセスで「擁壁の設計」のみを使用していますが、保有する各ソフトウェアに加えて法面や軟弱地盤に関するフォーラムエイト製品の活用可能性にも関心を示します。
なお、「UC-win/Road」については同じ部内の構造都市グループと共同で導入。これまでのところ、構造都市グループによる構造物の設計向けに多く利用されています。
▲UC-win/Road、Engineer's Studio®、橋脚の設計、橋台の設計、土留め工の設計、擁壁の設計などフォーラムエイト製品を多数活用
ソフトウェアを導入することで、業務が効率化され、ミスも少なくなるメリットが期待されます。ただその半面、内容を深く理解しないままにそれを使う技術者が現れ得るというデメリットも懸念される、と小泉氏は語ります。それだけに、メリットとともにデメリットも踏まえ、導入したソフトウェアを確実に使いこなせるようにしていく必要があると説きます。
これに関しては松崎氏も、入社してすぐにソフトウェアを使う機会があると「ソフト上では可能でも、実際の現場では出来ない」といったケースに直面しがちと指摘。当該業務に関わる現場の本質的なところを分からないで、机上でソフトウェアを使って作業してしまい、結果的に問題を生じるのが怖いとの認識を示します。
「効率化に繋げるという意味では、(皆が)ちゃんと使えなければいけないということから、ソフトウェアの使い方に関する勉強会を毎月行っています」。前述のような意識もありその対策として、水工グループでは今年初めから毎月一つずつ保有するソフトウェアにフォーカス。その都度、決められた担当者が資料を作成し、グループ会議を利用して実演しながら使い方の注意点などを説明する試みが始まっている、と船場氏は紹介します。
また、業務効率化のためのICT活用という観点から注目されている一つがタブレット端末です。橋梁の点検業務が増えてくる中で、タブレット端末を導入。現在は現場での情報確認が主な用途ですが、調書への入力もタブレットを使い現場で行えるようにする方向で検討されている、と秋山氏は述べます。
「この業界では打ち合わせや現場へ行く機会がかなり多いのですが、そのたびに多くの資料を持っていくことになります」。そこでタブレットを利用。基準書などをスキャニングしたデータや各種の写真データを入れておき、確認したり提示したりすれば効率的でプレゼン効果の高いツールになる、と小泉氏はその機能性に注目。これに対し秋山氏も、その場で様々な資料をチェックしつつ打ち合わせを続けられ、確認のために一旦持ち帰る必要がなくなり、一歩進んだ展開が可能になるのではと期待します。
「CIM(Construction Information Modeling(/ Management))に関しては、橋梁の分野でも今後、(対応を求められるケースが)出てくるのではということで、CIMの講習会に積極的に参加するなどし、(社内でその知見を)水平展開していくよう努めています」
現時点では関連する情報収集と、自社で保有するソフトウェアでどこまで対応できるかといった検討が中心としながら、松崎氏はCIMへの対応が今後重要になってくるとの見方を語ります。その意味では、同社中部支社が関係するCIM試行業務が進行中のため、そこでの動向に注視しているといいます。
また小泉氏は、道路分野ではCIMの仕組みそのものの導入効果はまだ不透明な部分があるとしつつ、情報収集を進めている現状に触れます。その中で、3D・VRによる可視化は構造物の配筋などの確認や広報などの際に非常に有効な機能を発揮するはずと言及。そこでの「UC-win/Road」をはじめとするフォーラムエイトの「IM&VRソリューション」の活用可能性も示唆します。
▲セントラルコンサルタント
株式会社東京事業本部技術第2部の皆さん
(前列中央の土井弘実部長を囲んで)
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