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医療系VRシステム
病院や医療現場にで活用できるVRを用いたソリューション提案

  ●サービス開始 2011年11月
シミュレーション

 医療系VRシステムについて
病院や医療現場では、ITシステムの導入が加速していますが、病院の業務効率化や医療系システムの導入が中心であり、近年注目されている災害対策や省エネ・環境対策、患者を始めとする地域住民とのコミュニケーション、医療現場でのVR活用については未だ改善の余地があるものと考えられます。

フォーラムエイトでは、これまでに培った土木・建築・解析のノウハウに基づく3D・VRの技術を用いて、これらの課題を解決するソリューションを提供していきます(図1)。今後、病院や医療現場に関わるさまざまな方々が活用可能な、VRを用いたソリューションを提案します(表1)。


■図1 医療系VRソリューション
VRの導入
病院スタッフ 患者・地域住民
■医療現場の改善
  • 病院の什器配置検討
  • 再加熱カートの走行シミュレーション
  • 通路の幅等の検証
  • 病室、診察室のレイアウト検討
  • 病室の窓からの風景確認
  • リハビリ等のシミュレーション
■地域とのコミュニケーション
  • 病院立地のイメージ確認
  • 病院内のイメージ確認
  • 3D模型による可視化
  • クラウドコンピューティングとVR技術を用いたコミュニケーション
建築設計者 病院経営者
■設計意図や要望の把握 省エネ・環境対応
  • 設計意図の伝達
  • 早期の病院スタッフ要望の抽出
  • 消費エネルギーの見積精度向上
  • 耐震診断
■明確な判断材料の確保 危機管理への対応
  • 病院の外観/内観等の建築構想確認
  • 震災対策
  • 避難解析
  • 緊急車両等の道路損傷個所の回避
 ■ 表1 VRを用いたソリューション例
 医療現場の改善(病院スタッフ視点)
医療現場では病院スタッフの業務効率の向上のため、病室や病棟、配膳室などの病院内レイアウトが非常に重要です。VRによるシミュレーションを用いることで、現状のレイアウトが持つ問題点を明確に表現でき、さらに改善案についても妥当性を明らかに伝えることができます(図2)。

■ 図2 病院内イメージ

また、重度の疾病や治療の過程にあるなど、身体的に不自由な患者に対してリハビリを実施する場合、患者は急激な運動行為に不安を感じることがあります。運動や歩行、自動車の運転をあらかじめVRを用いたシミュレータを用いたリハビリを実施することで、リハビリ方針の検討や、患者自身の現状把握に役立てることができます。


■病院の什器配置検討

配膳室等の病院施設の空間イメージを構造段階や設計時に検証できます(図3)。

画像をクリックすると大きな画像が表示されます。
■ 図3 病院の什器配置検討

■車いす、再加熱カートの走行シミュレーション

病棟内での車いすや再加熱カート、移動式の医療機器等の運搬シミュレーションできます。スロープの角度や幅などを検証できます(図4)。


■ 図4 車椅子

■通路の幅等の検証

病院内に什器等を設置した状態で通路を歩行する場合、さらに移動式ベッドや医療用機器を運搬する場合に、十分な通路幅が確保できているかを検証できます(図5)。

■ 図5 通路幅等の検証

■病室、診察室のレイアウト検討

病室や診察室の空間に実際にベッドなどを設置し、作業効率を考慮したレイアウトを検討できます。病室の窓から見た風景も確認できます(図6)。

■ 図6 病室からの風景

■脳卒中患者のリハビリでのドライブシミュレータの活用

道路モニタリングシステムは、リハビリ中のドライバーの評価を支援するための、バーチャル運転シミュレータとしての機能を果たすシステムです。シミュレータは患者の状態を評価することで、患者の健康状態と問題解決能力をテストすることができます(図7)。


■ 図7 脳卒中患者のリハビリ

■教育・研究現場での血管のシミュレーション活用

UC-win/Roadを用いたさまざまなシミュレーションの中でも、医療の教育・研究ご活用事例として、血管シミュレーションがあります。血管の内部の流れをVR空間で再現することで、赤血球の1つひとつが血管内を流れていく様子が確認できます(図8)。


■ 図8 血管シミュレーション

■車椅子安全シミュレータ

高齢化社会の到来にて、毎月2万人の人々が新たな車椅子利用者になっています。初めて車椅子を利用する方々の中には、使い方を誤ったことによる骨折などの事故に遭われる方た多発しています。
フォーラムエイトは関西大学システム理工学部と共同研究にて、車椅子の安全シミュレータを共同開発・研究しています。弊社よりUC-win/RoadのVR空間を車椅子シミュレータの表示画面部分として活用することを提案しています(図9、10)。


■ 図9 車いすシミュレータハードウェア連携部分構成図、フロー

■ 図10 MD3キャラクタによる車いす事例サンプル


■酔っ払い運転シミュレータ

コンピュータシミュレーターとVRを用いて、飲酒後の運転情況をシミュレーションし、アルコールによって人間の中枢神経と平衡システムが乱れている状態での運転を体験できます。これにより、飲酒運転の危害性を警告することができます。

偏向フィルター(可動式のカスタマイズデザイン検討)利用したVR空間を用いて、ボンヤリとした視覚表現、行動の遅延、ハンドルの振動、および座席の揺れなどのインタラクティブな体験を通して、ソフト環境とハードウエアを統合した完璧なプラットフォームを提供します。

あらかじめさまざまなシナリオを設定しておくことによって、酔っ払っている状態で運転する人が、歩行者の飛び出しや、他走行車輌に対する反応などをシミュレーションすることができます(図11)。


■ 図11 酔っ払い運転シミュレータ

 設計意図や要望の把握、省エネ・環境対応(建築設計者視点)
従来の2Dの建築ツールでは外装・内装のイメージを十分に伝えることができず、設計意図の伝達や、病院スタッフの要望の抽出が困難でした。そのため、構想段階で十分な検討が行えず、設計・施工の段階に至って問題点が明らかになり、対策が困難になる場合があります。

これについては、VRの技術やシミュレーションを用いることで、構想段階から設計意図やその妥当性を明確にプレゼンテーションできるようになります。病院スタッフの理解が促進されることで、スタッフの潜在的なニーズも抽出しやすくなり、早期から十分な検討が可能となります。これは意思決定や手戻りの防止につながり、関係者の満足度向上に役立てることができます。

また、材料費の見積もりや消費エネルギー・CO2排出量のシミュレーションも可能になり、省エネや環境汚染を考慮した建築設計が可能になります。


■設計意図の伝達と早期の病院スタッフ要望の抽出

プロトタイピングとしてVRを利用することで、設計者の設計意図を十分に伝えることができます。また、スタッフの総意を具体的にフィードバックできます。
病院の外観・内観の構造や色の検討、ドアのサイズや形状などを構想段階から理解しやすくなります。設計者の設計意図を伝えやすく、また病院スタッフの意見を抜けもれなく抽出しやすくなります。

また、車いすを利用する患者や子供等、いろいろな視点から見た病院内イメージや避難経路などの情報掲示方法など、さまざまな検証ができます(図12)。

■図12 建築設計者視線

 地域とのコミュニケーション(患者・地域住民視点)
病院の周辺環境や内部のイメージは、地域住民に対するブランドイメージにつながります。街の景観や建物の構造など、VR技術を活かして病院内部や周辺環境の様子を3Dモデルで再現し、患者や地域住民へのプレゼンテーションが行えます。

■病院内のイメージ確認

新しい病院の設備、レイアウト等のイメージを把握しやすくなり、実際に利用する際の雰囲気を理解できるようになります。3D模型を用いることで、病院の外観・内観を患者や地域住民に正確に伝えることができます(図13)。


■ 図13 病院内イメージ確認

■3D模型による可視化

弊社製品のUC-win/RoadやUC-win/FRAME(3D)、UC-1シリーズやAllplanなどから出力される3DS形式の3Dモデルデータに対応し、あらゆる3Dモデルを3Dプリンタにより実際の「模型」を作成するサービスを提供しています(図14)。

画像をクリックすると大きな画像が表示されます。
■ 図14 3D模型

■クラウドコンピューティングとVR技術を用いたコミュニケーション

VR-Cloud(TM)はクラウドサーバ上で3D・VRを利用する合意形成ソリューションです。インターネットに接続できる環境であれば、場所やマシン性能を問わずwebプラウザでVR 空間を操作できます。VRによる都市計画やまちづくりなどのプロジェクト全般において、広報展示や合意形成の支援ツールとして利活用できます。

経済産業省の「産業技術研究開発委託費(次世代高信頼・省エネ型IT基盤技術開発事業)」(平成22 年度)について、「クラウドコンピューティングによる合意形成支援仮想3 次元空間の利用サービス」が採択されました。

 明確な判断材料の確保、危機管理への対応(経営者視点)
経営者にとって意思決定のための判断材料の確保は重要な課題です。VRは病院新築・増改築の構想段階から明確なイメージを可視化することができ、新しい病院に求めるコンセプトを確実に反映できる手段となります。

設計者の設計意図やスタッフの要望なども早期から理解しやすくなることから、対策の抜けもれ防止や妥当性の検証を具体的に実施でき、意思決定の正確さが向上します。

さらに、VRを用いることでさまざまなシミュレーションができるようになります。経営者にとって危機管理、特に昨今は地震や津波等の自然災害に対する対策は非常に重要となっており、VRを用いたシミュレーションや解析は災害発生時のイメージを可視化することで被害を予測し、対策の必要性を確認できるメリットがあります。

■避難解析

病院内での避難解析を行うことで火災・地震発生時の避難方法を検討できます。病院の施工前の構想・設計段階から具体的な検討が可能になります(図15)。

■ 図15 避難解析
建物内レイアウト検証
  • 増改築時のレイアウト
  • 病院内の物品配置

避難ルート、避難経路表示検証
  • 各病棟、病室からの避難経路
  • 避難経路表示の配置

年齢・性別別避難誘導方法検証
  • 入院患者の年齢、性別、 歩行能力を考慮した避難方法

EXODUS 避難解析支援サービス
東京消防庁認定避難算定方法(「階避難」2011年3月): フォーラムエイトでは東京消防庁の避難算定方法として認定を受けた解析手法を用いて、病院等の施設内での避難解析サービスをご提供しております。

 今後の展開
本サービスでは医療機関を対象にVR提案を行っております。フォーラムエイトが培ってきたVR技術を活用した医療系のシミュレーションサービス、医療現場でのスパコンクラウドサービスの活用など、医療分野におけるフォーラムエイトの新たなサービス展開にご期待ください。
(Up&Coming '11 晩秋の号掲載)
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