今回のバージョンアップでは、下記に対応いたしました。
- 波返し工対応
- 載荷荷重範囲の安定照査毎指定
- 動水圧の作用位置選択に対応
- 荷重組合せ一覧表に対応
- 許容支持力算出基準として、「土地改良(ポンプ場)」に対応
以下に、これらの拡張機能の概要を紹介いたします。
|
控え壁式擁壁の設計計算」では、天端形状として、前面突起,背面突起、前面張り出しの3種類に対応しておりましたが、曲線部材を有する波返し工を考慮することは出来ませんでした。
Ver.2.00.00では、新たに海岸擁壁で使用される「波返し工」の形状入力に対応いたしました(図1・2)。
|
|
|
■図1 波返し工考慮時の
3D形状表示 |
|
■図2 波返し形状の入力画面 |
「控え壁式擁壁の設計計算」で対応している全ての形状において、曲線部材を有する一般的な波返し工の形状を入力設定することが出来ます。尚、設計可能な形状タイプは逆T型及びL型となります。逆T型においては、竪壁が背面側に傾斜した形状にも対応しています(図3)。
また、「波返し工」考慮時には、仮想背面のモデルとして従来の「角度指定」以外にも、波返し工の形状にあわせた「座標指定」を選択できるようになりました(図4)。
|
|
|
■図3 波返し考慮時の側面形状入力画面 |
|
■図4 波返し考慮時の仮想背面入力画面 |
安定計算時,竪壁設計時それぞれに仮想背面を定義する連続線(多点折れ)の座標を指定することが出来ます。また、一部分の土圧作用面を、土圧を載荷しない土圧作用面として設定することもできます。
仮想背面の多点折れにおいて試行くさび土圧を適用する際は、各点ごとにおける滑り角を決定し土圧力を算定します(図5)。
■図5 試行くさび法(多点折れ)
また、「座標指定」にて入力する際には、躯体形状を基に仮想背面の座標を自動で設定することもできます。
|
載荷荷重は安定計算(転倒照査,滑動照査,支持力照査)毎に設計上不利な載荷位置が異なります。この状態を再現する場合、従来は転倒照査用ケース,滑動照査用ケース,支持力照査用ケースのように照査分のケースを用意した上で、計算書の危険値出力を行う必要がありました。
Ver2.00.00では、一様分布載荷荷重の載荷範囲を直接基礎の安定照査毎に個別に指定できるようにしました(図6)。
■図6 安定照査毎指定時の載荷荷重入力画面
更に、設計上不利となる位置を自動設定する機能にも対応しました。
自動設定機能を用いずに直接指定する場合には、載荷荷重範囲の開始位置は地表面始点(地表面と擁壁が接する点)位置からか、安定照査時の仮想背面と地表面の交わる点からかを選択できます(図7)。
■図7 載荷位置の違いのイメージ
自動設定機能を用いる場合の安定計算結果におきましては、計算書出力時には両方の載荷位置を出力するか、危険な位置のみを出力するかを選択することができます。
また部材設計結果においては、危険な位置がどちらになるかは、実際に計算した結果で比較を行い、危険な位置の結果を出力いたします。尚、部材の設計は以下の要領にて設計を行います。
片持ちばりの部材設計につきましては、竪壁設計時は載荷荷重を全載した状態で設計し、つま先版,かかと版設計時は、各照査位置毎に断面力が大きい方の載荷位置で設計を行います。
連続ばり,T型ばりの部材設計につきましては、各照査位置における曲げ応力度の照査,せん断応力度の照査のそれぞれで危険な位置にて設計いたします(図8・9)。
|
|
|
■図8 計算確認画面 |
|
■図9 安定計算の計算書プレビュー |
|
動水圧は、Westergaardの式により合力を算定します。またその際の一般的な動水圧の作用位置(地盤面から地震時動水圧の合力作用点までの距離)としては、水位の2/5の高さとなります。そのため「控え壁式擁壁の設計計算」におきましても、動水圧作用位置は水深の2/5としておりました。しかしながら、一部の基準においては、動水圧の作用位置は水深の3/5となっていたため、Ver.2より動水圧の作用位置を選択できるように対応しました。
|
計算上の荷重の組み合わせ(載荷荷重,任意荷重,水位,土砂,受働土圧,主働土圧等)を10ケースまで指定することが出来ますが、実際に各荷重ケースにおいてどのような組み合わせとなっているかは、計算書で確認することは困難でした。
Ver.2.00.00では、結果詳細計算書における設計条件の項に「荷重組み合わせ一覧表」を表示できるようになりました(図10)。
■図10 荷重組み合わせ一覧
また、各荷重ごとに、簡単なコメントを設定・表示できるようになりました。これにより荷重ケース名称以外にも、各荷重ケースごとの条件等を設定することにより、必要な条件を一目で確認できます。
|
農林水産省の通達により、農業用水路施設における許容支持地盤算定式は、設計基準「ポンプ場」を適用する必要があります。しかしながら、通達の扱いについては各自治体によって扱いが異なると考えられることもあり、「控え壁式擁壁の設計計算」では支持力算出基準としての対応は見送っておりました。そのため、「ポンプ場の改訂」にあわせて「水路工」の設計に対応する為には、入力条件を工夫して設定し、同等の計算を行うことで対応する必要がありました。こういった設定は少々煩雑となってしまうこともあり、今回のVer.2.00.00より、支持力照査基準「ポンプ場」に正式に対応しました。
通常の支持力照査基準と同様に、入力画面の「照査基準」にて、従来の照査基準と同様に簡単に設定できます。
尚、従来の「水路工」による照査も、これまで通り選択することが可能です。
以上、拡張機能の概略を紹介させていただきました。今後も皆様からのご要望を取り入れて、改良・改善を加えていきますので、どうぞご期待ください。 |
|
>> 製品総合カタログ
>> プレミアム会員サービス
>> ファイナンシャルサポート
|