はじめに、橋梁構造物Web照合チェックシステム(システムA)で、扱う登録データの4種類の公開パターンについて説明します。
ご自身で公開する範囲を選択し、有効利用して下さい。
- 全体公開データ(Data1) : 全グループ内(全ユーザ)から[検索・照合]できる。Forum8が選定。
- グループ内公開データ(Data2) : 登録者の同グループ内から[検索・照合]できる(たとえば会社単位など)。
- サブグループ内公開データ(Data3) : 登録者の同サブグループ内から[検索・照合]できる(たとえば部署単位など)。
- 非公開データ(Data4) : 登録者が[検索・照合]できる。
■図1 公開データ4パターンの扱いについて
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システムA、Bの使用例 (BOXカルバートをチェック) |
BOXカルバートをチェックする場合について説明します。全体の流れとしては、図2に示すように、まずはじめに、(1)システムAにより成果物データとWeb上のデータベースに登録されているデータの比較を行う。
次に、(2)システムBにより成果物の断面規模、鉄筋量について概算値チェックを行うことになります。
■図2 システムA, Bを利用した設計成果物のチェック
システムAを用いた成果物のWeb照合チェックとは、具体的には、成果物の情報(「土被り厚」や「平均内空幅」、「合計壁厚」など)をWeb上で入力し、[検索・照合]を行うことで、図3に示すような照合結果が確認できます。
図中の黄色でプロットされた点が分析データ(データベースに登録されているデータ)、赤でプロットされた点が照合データ(成果物)です(照合データは見やすいように大きさを誇張しています)。この例では、ちょうど近似直線上に照合データがプロットされているため、データベースに登録されている分析データとの比較に関しては大きな相違はなく、標準的な設計がなされていると判断することができます。
■図3 照合結果(システムA)
次にシステムBを用いて、成果物の概算値チェックを行います。具体的には、成果物のデータ(BOX形状や配筋データなど)をシステムに入力して計算を実行すると、成果物の入力とシステムの計算結果との比較が行われます。
図4の画面下部が照査結果となりますが、照査結果には表-1に示すような成果物からの入力と、システムの結果の「形状比較表」や「鉄筋量」などが出力されます。この例では、判定はすべてOKとなっているので、概算値チェックの結果についても問題ないと判断できます。
■図4 照査結果(システムB)
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成果物からの入力a(m) |
システムの結果b(m) |
比率(a/b) |
判定 |
頂版厚 |
0.500 |
0.500 |
1.000 |
OK |
左側壁厚 |
0.500 |
0.500 |
1.000 |
OK |
右側壁厚 |
0.500 |
0.500 |
1.000 |
OK |
底版厚 |
0.500 |
0.500 |
1.000 |
OK |
■表1 照査結果-形状比較表(システムB)
以上、BOXカルバートの成果物について、システムAとシステムBを用いた設計成果チェックの流れを例示しました。
この例では、システムA,、Bの照査結果は共に問題なしであったため、成果物に重大な瑕疵はなさそうだと判断することができます。当然のことながら、大きな相違が出た場合は成果物について見直す必要があると考えられます。
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システムA、C、Dの使用例 (橋梁下部工の耐震性能照査) |
次に、橋脚をチェックする場合について説明します。基本的な流れは、BOXカルバートと同じです。(1)システムAによる照合チェック、(2)システムCによる静的照査、(3)システムDによる動的照査になります。
システムAを用いたWeb照合チェックは前述の通りです。橋脚の場合は、横軸に「全高」または、「死荷重反力」、縦軸に「柱直角方向幅」「柱単位体積当りの鉄筋量」「底版単位体積あたりの鉄筋量」などを設定し照合することができます。形状並びに使用鉄筋量が、登録データに対して大きな相違がないことを確認します。
次に、システムC(図5)を用いて、「道路橋示方書IV下部構造編」および「道路橋示方書V耐震設計編」に基づいて、静的解析により下部構造の耐震性能照査を行います。
■図5 システムCメインウィンドウ
本システムでは、橋梁区間毎に、上部構造データ、下部構造(橋台、橋脚、杭基礎)データを成果物に従って入力し、計算を実行することで、
- 下部構造毎に当該下部構造が分担する上部構造重量と固有周期のチェック
- 下部構造についてはレベル1、レベル2の耐震性能照査のチェック
を行います。
1. は設計にとって最も重要である外力条件のチェックになります(図6)。この時点で、上部構造重量や固有周期が大きく異なる場合は、それに基づいて設計を行った下部構造に、重大な瑕疵がある可能性が非常に高くなると考えられます。
■図6 システムC上部構造重量と固有周期チェック
この外力条件にほとんど差異がないことを確認した上で、2. の耐震性能照査チェックを行います。各下部構造の「安定計算」「部材設計」「保有耐力」に問題がないかと確認します(図7)。
■図7 システムC下部構造耐震性能照査チェック
本システムでは、下部構造の設計に必要なデータを入力することになります。よって、大まかな橋脚、橋台規模の検討など、いわゆる概略計算にも対応できるものと考えられます。
最後に、システムD(図8)で、橋脚の耐震性能動的照査を行います。この動的解析を行うためには、システムCでシステムD用データを作成します。その際、橋脚のM‐θモデル化の指定などが必要となります。エクスポート画面では、地震動タイプ、地盤種別、モデル(橋脚)、Ld算出方法、質量マトリックス、免震支承モデル決定した上で、システムD用データのエクスポートを行います。システムDでは、システムCでエクスポートしたデータしか解析することができません。なお、動的解析は次に示す全12ケースを行います。
- タイプ I 地震動3波に対して、橋軸方向と 橋軸直角方向の全6ケース。
- タイプ II 地震動3波に対して、橋軸方向と 橋軸直角方向の全6ケース。
■図8 システムDメインウィンドウ
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本製品は、チェックする側の立場で開発したまったく新しいシステムです。
4月5日に開催した体験セミナーでは多数のみなさまにご参加いただき、また貴重なご意見を頂戴することができました。「設計成果チェック支援サービス」も含め、本製品の向上に努めて参りたいと思います。 |
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