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E-Defense

■E-Defenseとは
 実大三次元震動破壊実験施設の愛称で、「E-Defense」のEはEarthを表しており、防災を地球規模で捉え、住民の生命と財産を守る研究開発への期待を示したものです。


■実大三次元震動破壊実験施設概要
 実大三次元震動破壊実験施設は、実物大の構造物を震動台の上に載せて構造物を直接揺らし、構造物の揺れや損傷状況ならびに崩壊現象を再現するための大規模実験施設です。また、三次元加振を行える施設としては、積載荷重および積載面積において世界最大規模の実験施設です。施設完成後の2005年6月より実験研究の運用を行っています。



▲図1 実験施設外観
【震動台仕様】
 水平2方向に各5台、鉛直方向に14台、計24台のアクチュエータが設置されています。
 表1に震動台の基本仕様を示します。震動台の最大寸法は、長辺方向は20m、短辺方向が15mであり、最大搭載質量は1,200 tです。アクチュエータの駆動は、エネルギーの効率化を図るためアキュムレータの畜圧を利用した電気油圧制御で行っています。

▼表1 震動台の基本仕様
項目 仕様
最大搭載質量 1,200 ton
搭載面積 20m×15m
駆動方式 アキュムレータ畜圧/電気油圧制御
加振方向 水平 鉛直
最大加速度(最大質量搭載時) 900 cm/s2以上 1,500 cm/s2以上
最大速度 200 cm/s 70 cm/s
最大変位 ±100 cm ±50 cm
許容モーメント 水平軸周り 150 MN・m以上
(垂直軸980 cm/s2加振時)
鉛直軸周り 40 MN・m以上
(水平一軸最大加速度時)


■橋梁耐震実験研究組織の概要
 防災科学技術研究所では、橋梁耐震実験研究を推進するため実行部会を組織しています。この橋梁耐震実験研究実行部会は、橋梁の耐震性に関する実験的研究を具体的に推進することを目的に設置されています。
 実行部会の中に、解析WGが設置されており、当社も参加し、UC-win/FRAME(3D)を用いて実験挙動シミュレーションを行っています。実行部会での実験目的と内容は、表2のようになっております。

▼表2 実験目的と内容
実験目的 内容
現象解明 従来、実験装置の制約から十分な検討が出来なかった破壊現象や複雑な地震応答の解明を図る
現象解明 現在の耐震補強法や耐震設計法によって補強・新設された橋梁の耐震性・耐震余裕度を検証する
新技術開発 耐震性の向上技術を開発する


■E-Defenseを用いた橋梁耐震実験について
 平成19年12月13日に、1970年代に建設されたRC橋脚の実物大実験がE-Defenseにおいて実施されました。

【設計概要】
 兵庫県南部地震において被害の著しい1970年代に建設された橋脚を想定して、曲げ破壊タイプの試験体橋脚が作られ、実験が行われました。
柱径:D = 1.800 m
軸方向鉄筋:D29-2.5段
帯鉄筋:
柱基部及び梁付け根部:D13-150ctc
横拘束筋間隔:s = 15cm、有効長d = 160cm
柱中間部:D13-300ctc
横拘束筋間隔:s = 30cm、有効長d = 160cm
帯鉄筋の重ね継ぎ手:30φ = 30×13 = 390mm フックなし
設計基準:1964年鋼道路橋設計、1972年道路橋耐震設計指針・同解説
地盤種別:II 種地盤を想定
使用材料:
コンクリート(σck = 27N/mm2), 鉄筋(SD345、σsy = 345N/mm2)
上部構造死荷重反力:死荷重反力:Rd = 2,080 kN
入力地震動:
兵庫県南部地震の際のJR西日本鷹取駅構内地盤上観測波3方向成分の100%(1995年兵庫県南部地震、II 種地盤)
実験計測項目:
計測項目および計測成分は、表3に、計測機器配置は図3に示します。



▲図2 実験装置外観


▲図3 計測機器配置図
▼表3 計測成分
計測項目 旧基準基部曲げ破壊タイプ 現行基部曲げ破壊タイプ せん断破壊タイプ
震動台加速度 12成分 12成分 12成分
フーチング加速度 12成分 12成分 12成分
フーチング応答変位 16成分 16成分 16成分
RC橋脚応答変位 36成分 36成分 36成分
桁の応答変位 4成分 4成分 4成分
橋脚天端加速度 23成分 23成分 23成分
桁+付加マス加速度 60成分 60成分 60成分
橋脚天端作用力 24成分 24成分 24成分
曲率測定(変位計) 44成分 44成分 なし
端部架台上加速度 12成分 12成分 12成分
橋脚天端-桁間の鉛直相対変位 8成分 8成分 8成分
計測架台加速度 32成分 32成分 32成分
フーチング速度 3成分 3成分 3成分
橋脚天端速度 3成分 3成分 3成分
鉄筋軸方向ひずみ 168成分 132成分 192成分
帯鉄筋ひずみ 88成分 72成分 176成分
合計 553成分 501成分 621成分


■橋梁耐震実験結果
 破壊実験の状況は、加振が始まった後、徐々に橋脚が揺れ始め、最終的には、橋脚基部で損傷に至っております。
 震動台に上がって観察を行うと、厚さ10cmの被りコンクリートが広範囲にひび割れており、一部が完全に剥落した状況になっております。図4は、橋脚基部の損傷状況写真です。実験後の説明によると、橋軸方向の応答変位値が予想より小さく、兵庫県南部地震の際の損傷程度には至らなかったという説明を受けています。
 今後、実験結果の提供を受け、FRAME(3D)によるシミュレーションを行い、検証を進める予定です。




▲図4 橋脚基部の破壊状況
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