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「斜面の安定計算(対策工対応)Ver.6.1」(本年1月無償保守)では、のり枠工の設計計算において、平成18年11月に改訂された「のり枠工の設計・施工指針」社団法人全国特定法面保護協会(以下「のり枠工指針」と略す)に対応致しました。
本のり枠工指針は、昭和63年に刊行され約20年が経過し、のり枠工に関する技術の発展に伴い、新しい設計・施工指針が必要とされるようになっていました。
と同時に、我が国の設計法の動向として、2002年に土木学会コンクリート標準示方書が「仕様規定型」から「性能照査型」に全面的に移行し、性能照査型の設計・施工法が加速度的に広まっているという背景もあり、この度、のり枠工の設計法においても「許容応力度法」から「限界状態設計法」に移行することになりました。
また、品質の確保、耐久性の向上から、吹付モルタルの設計基準強度を15N/mm2から18N/mm2に引き上げることになりました。
なお、本プログラムでは、現在、性能照査型設計への移行期であることを勘案し、許容応力度法による照査も従来通りサポートしております。
●限界状態設計の原則
のり枠工指針P.33では、限界状態として、終局限界状態、使用限界状態、疲労限界状態に区別するとしてありますが、疲労限界状態の照査は省略できるとしています。また、P.41並びにP.42では、表1のように、のり枠工の作用荷重(対策工法別)によって、使用限界状態、並びに、終局限界状態におけるせん断耐力に関しても照査の有無を記載しています。本プログラムでは、図1のように設計者の判断で照査すべき限界状態の指定ができます。
作用荷重の種類 |
作用荷重の種類 |
使用限界
状態 |
曲げ耐力 |
せん断耐力 |
抑制工(保護工含む) |
○ |
× |
× |
鉄筋挿入工併用 |
○ |
○ |
× |
アンカー工併用 |
○ |
○ |
○ |
▲表1 作用荷重と照査すべき限界状態 |
▲図1 計算条件画面 |
●部分安全係数
のり枠工指針P.35では標準的な部分安全係数が示されています。
本プログラムでは、図2のように部分安全係数や使用限界状態照査時の環境条件毎の許容ひび割れ幅などの限界状態設計法に必要な各種係数をテーブル化しており、必要に応じて変更できるように配慮しています。
なお、部材係数欄のMudは曲げ・軸耐力、Vcdはモルタルが負担するせん断耐力、Vsdはせん断補強筋が負担するせん断耐力、Vwcdは斜め圧縮破壊耐力に使用します。 |
▲図2 設計用設定値(限界状態設計法)
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▲図3 のり枠工の設計条件画面 |
●設計条件
限界状態設計法を行うために、のり枠工の設計条件として、図3に示すように、(1)斜め引張鉄筋、(2)主鉄筋の配置長と実かぶり、(3)モルタル粗骨材の最大寸法などの入力データが新たに必要になります。
●ニューマーク法について
建設業界の多くの分野が性能設計に大きく移行されている中、土構造物に対しても仕様設計から性能設計に大きく切り替わろうとしています。それに伴い、各行政機関による性能照査型への設計基準改定も徐々に行われ始めています。
「鉄道構造物等設計標準・同解説 変位制限,平成18年2月」
「鉄道構造物等設計標準・同解説 土構造物,平成19年1月」
「鉄道構造物等維持管理標準・同解説(構造物編) 土構造物(盛土・切土),平成19年1月」
これまでの土構造物の設計は、形状や材料、施工方法等を規定する方法(仕様設計法)が基本であり、この仕様と要求性能とが直接結びついていないことが指摘されます。
ここで、要求性能としてはライフサイクルコスト最適化の観点から、盛土の塑性変形をある程度許容した土構造物の将来挙動予測が不可欠となります。土構造物の従来の設計(仕様設計)において時間を考慮しているものは、Terzaghiの圧密方程式のみであり、極限平衡法や支持力においても時間が全く考慮されていないことから、性能設計においては長期的変位を設計に取り込むことが基本となると考えられています。
ニューマーク法では加速度波形を考慮した盛土の滑動変位時刻歴を出力するため、大規模地震動における盛土の耐震性能を評価する指標として有効となります。専用の解析ツールはまだ十分に普及しているとはいえませんが、近年設計実務においても徐々に活用されつつあります。弊社ニューマーク法オプションにより、耐震性能を直接的に表現できる変形量の経時変化による性能照査が実現できます。
▲図4 ニューマーク法概要図
●今後の改訂予定
本プログラムでは、有限要素法(FEM)による浸透流解析を行い、解析結果から得られる浸潤面、並びに、浸潤面下の流況までを考慮した斜面安定計算(LEM)を一連の処理で行えるようにする予定です。今後もユーザの皆様からのご要望を取り入れ、改良・改善を加えてまいります。
■斜面の安定計算 Ver.6.1 リリース日:2007年1月25日
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(Up&Coming '07 早春の号掲載) |
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