今回は、建設分野でも最近その活動をよく耳にするNPO法人について、その概要と現状をレポートし、まちづくりNPOなどの話題も併せて取り上げます。
■NPOとは?
NPOは、英語のNon-Profit Organizationの略で、ボランティア団体や市民活動団体などの民間の非営利組織を指します。つまり、株式会社などの営利企業とは違って、「利益追求のためではなく、社会的な使命の実現を目指して活動する組織や団体」のことです。このため、公益性の高い公共事業や建設事業にかかわりのあるNPO法人が数多く設立されています。
ボランティアは、原則「無報酬」で活動しますが、NPOは「非営利」で活動します。「非営利」とは、会費や事業費などで収益を上げますが、そこで得た利益は、NPOの活動で使われることになり、いわゆる「利益の分配」を株主や職員に行わない点が株式会社と大きく異なります。なお、NGO(Non-Governmental
Organization)は、非政府を意識した非営利組織で一般には、国際的な活動を行っている組織を指すケースが多いようです。
■NPO法
平成10年12月1日から施行された「特定非営利活動促進法」のことを、通称NPO法と呼んでいます。NPOが法人格を取得して活動を行いやすくするために制定された法律で、NPOが法人としての契約行為や財産保有などが可能となります。一方、適正な会計処理や定款・事業報告等の情報公開など法人としてのルールに基づいた義務が生じることになります。
NPO法人設立の手続きでは、申請書、定款、役員・設立者名簿、事業計画書、予算書など12項目を網羅した書類を所轄官庁に届けることが必要です。所轄官庁は、事務所が所在する都道府県ですが、2つ以上にまたがる場合は、内閣府となっています。審査、公告・縦覧を経て認証されると「特定非営利活動法人」として登記できるようになります。
NPOは、特定非営利活動に係る事業に支障がない限り、特定非営利活動以外の「収益事業」を行うことができます。税金については、「収益事業」からの所得に対しては、課税されることとなりますが、それ以外からの所得については非課税です。課税される場合の税率は、株式会社等の普通法人と同じです。
■NPOの現状
内閣府などで公開されている資料によると2004/03/31までに認証を受けた法人は、全国で16160法人に及んでいます。このうち、活動の種類(右表参照)でみると「(1)保健、医療又は福祉の増進を図る活動」を定款に掲げる法人が9312(重複回答)とトップとなっており、57.5%の法人にあたります。また、「まちづくりの推進を図る活動」を定款に記載しているNPOは、6365法人あり、割合も39.4%に上っています。登録所轄官庁別でみると東京都が圧倒的多く、次いで大阪、神奈川となっています。都道府県での登録が全体の90%を超えており、地域に根ざした活動が中心と言えるのではないでしょうか。 |
NPOの統計資料
■NPO認証数の推移 |
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■特定非営利活動の種類 |
(1) |
保健、医療又は福祉の増進を図る活動 |
(2) |
社会教育の推進を図る活動 |
(3) |
まちづくりの推進を図る活動 |
(4) |
学術、文化、芸術又はスポーツの振興を図る活動 |
(5) |
環境の保全を図る活動 |
(6) |
災害救援活動 |
(7) |
地域安全活動 |
(8) |
人権の擁護又は平和の推進を図る活動 |
(9) |
国際協力の活動 |
(10) |
男女共同参画社会の形成の促進を図る活動 |
(11) |
子どもの健全育成を図る活動 |
(12) |
情報化社会の発展を図る活動 |
(13) |
科学技術の振興を図る活動 |
(14) |
経済活動の活性化を図る活動 |
(15) |
職業能力の開発、雇用機会の拡充を支援する活動 |
(16) |
消費者の保護を図る活動 |
(17) |
(16)までの活動を行う団体の運営又は活動に関する連絡、
助言又は援助の活動 |
データ:内閣府のホームページ 作成:(株)フォーラムエイト |
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