「橋台の設計・3D配筋(部分係数法・H29道示対応)」は、平成29年道路橋示方書に準拠した製品となります。Ver.3では、以下の改訂を行いました。
- 「Engineer's Studio®」(Ver.8)データのエクスポートに対応
- 部材種類を前背面(上下面)毎に指定できるように拡張
- 橋座の設計の支圧応力度の照査及び支承数の拡張
- 翼壁FEM解析の照査拡張
- 3D配筋図の寸法線表示対応
上記以外にも胸壁設計時の任意荷重指定の拡張や単独設計時のPHC杭のせん断スパン比の算出等の要望に対応しました。
「Engineer's Studio®」データのエクスポート対応
橋台背面に背面土がない特殊な形状や軽量盛土を用いた場合は、橋脚と同じような振動特性を示す場合もあるため、橋脚と同様の設計を行う必要があります。そのため、「橋脚の設計・3D配筋(部分係数法・H29道示対応)」Ver.3と同様に、非線形動的解析データを「Engineer's
Studio®」(Ver.8)のデータ形式(*.es)としてエクスポートする機能に対応しました。エクスポートは、竪壁保耐の計算を行う条件の場合に可能となります。
また、「震度算出(支承設計)(部分係数法・H29道示対応)」(Ver.3以降)と連携している場合は、震度算出のデータ形式(*.PFU)に非線形動的解析データを付加して保存することが可能です。これにより、震度算出側において、橋台、橋脚、上部工を含めた橋梁の全体系モデルを「Engineer's
Studio®」(Ver.8)のデータ形式でエクスポートすることも可能です。
橋台からエクスポートされるモデルは、バイリニアの M-φモデルとなり、TypeT/TypeU地震動および橋軸/橋軸直角方向のモデルを一度にエクスポートすることが可能です。
この改訂により、橋脚と同じような振動特性を示す際の橋台の設計においても「橋脚の設計・3D配筋(部分係数法・H29道示対応)」にて別にモデル化を行うことなく動的解析モデルへのエクスポートが可能となりました。
部材種類(気中部材/一般部材/水中部材)の選択において、橋台の部材毎の選択から前背面や上下面の照査位置に合わせて選択できるように拡張しました(図2)。
部材種類は、選択により照査の内容に影響します(表1)。この部材種類は、必ずしも現状の土砂や水位位置に合わせて選択するのではなく、例えば「部材の大部分が気中にあるケースで気中部材として考えた場合に、鋼材の腐食に対する照査において満足しないことがある」などを考慮して選択しなければなりません。通常、橋台竪壁の基部位置には土砂がある状態ですが、前面側のほとんどが気中となり、前面側は気中部材,背面側は一般部材として検討をしたほうがよい場合が該当します。
また、翼壁においては、検討位置毎(a-b, b-b’,b’-c,c-c’,c’-d)に選択を用意しており、翼壁とフーチング接合部分(c-c’,c’-d)は水中部材、付け根位置より上の照査は一般部材を選択することもできます。
今回の改訂でこのような状況も対応できるように前面と背面個別設定や検討位置毎の選択に対応しましたので、より柔軟な設計が可能となりました。
照査項目
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耐久性能の照査
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内部鋼材の腐食に対する照査
(気中部材)
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永続作用支配状況Dに対して照査を行う
・かぶりによる内部鋼材の防食
(道示V 6.2.3 P.181)
・鉄筋の引張応力度の照査
(道示V 6.2.2 P.181, 道示W 6.2 P.85)
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疲労に対する照査
(気中部材,一般部材,水中部材)
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1.00(D+L+PS+CR+SH+E+HP+U)に対して照査を行う。
・鉄筋の引張応力度の照査
(道示V 6.3.2 P.187, 道示W 6.3 P.88)
※気中部材/一般部材の場合180N/mm2,水中部材の場合160N/mm2
・コンクリートの圧縮応力度の照査
(道示V 6.3.2 P.187, 道示W 6.3 P.88)
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橋座の設計においては、画面レイアウトを大幅に見直すと共に支承の検討数を3箇所から無制限に拡張し、支承毎に永続/変動作用支配状況における支圧応力度の照査にも対応しました。
また、これまで橋座の設計の出力は、計算済みでないと結果一覧及び詳細計算書への出力ができませんでしたが、今回より入力済みであれば出力できるようになり、読み込み後に必ず「橋座の設計」画面にて計算を実行しなければならない煩わしさがなくなります。
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図3 橋座の設計 |
翼壁拡張オプションでは、「Engineer's Studio®」の平板要素を用いたFEM解析を利用した翼壁FEM解析を行うことができます(図4)。
今まで照査時に翼壁立ち上げ部のb-b’,b’-c間及びc-c’,c’-d間において、付根位置の作用力を用いた場合に曲げモーメント及びせん断力は最大値の結果のみを取得できましたが、今回、選択を拡張し曲げモーメント及びせん断力毎に最大値/平均値を別々に選択できるようになります。これにより結果に応じて設計者の選択肢を増やすことができます。
「橋台の設計・3D配筋(部分係数法・H29道示対応)」では、「3D配筋生成」機能を備えており、生成した3D配筋データ(躯体、鉄筋)を「3DモデルIFC 変換ツール」や「3D配筋CAD」へ連動し、CIM モデル(IFCファイル形式)を出力することができます。
Ver.3では、この「3D配筋生成」において、3Dアノテーション(3D躯体寸法線の表示)に対応しました。この3Dアノテーション(3D躯体寸法線)は、躯体形状や付属物に応じて自動生成されます。生成した3D配筋データを「3D配筋CAD」へ連動した際は、寸法線を簡単に編集(追加、削除、修正)することができます。
図5 3D配筋生成時の3Dアノテーション(3D躯体寸法線)対応