今回のxpswmm総合情報は、同誌に掲載しておりますサポートトピックスのように良くあるご質問についてお答えします。今回のタイトルは、「リアルタイムコントロールの用法・用例について」となります。
リアルタイムコントロール(RTC:Real Time Control)は、xpswmmのオプション機能の1つで、ユーザが構築しているネットワーク構成に対し、予め設定した物理的な変更をシミュレーション中に自動で与えることが可能です。この変更は、経過時間や水位および流量に応じて与えることが可能なため、応用することで様々な条件下における水利施設のモデル化が可能です。
とても有用な機能ではありますが、「この画面で何ができるのか」、「どのように設定すれば良いのか」というご質問が多いため、説明させて頂きます。
RTCとセンサー リアルタイムコントロールは、RTC要素とセンサーによって構成されています。
RTC要素は、制御する対象および制御する内容を設定することができる要素です。つまり、どのノードやリンクを対象とするのか、どの値をどれだけ変更するのかといった制御内容を設定することが可能です。
要素 |
パラメータ |
管路 |
流量、粗度、管径(深さ) |
ノード |
深さ、標高 |
ポンプ |
(On、Off)の標高、スピード系数、
ポンプ流量率、ポンプ井容量の流量、
堰天端標高、堰越流高さ、堰長、流量係数 |
堰 |
流量、堰天端標高、堰越流標高、
堰長、流量係数 |
オリフィス |
面積、流量係数 |
レイティングカーブ |
流量 |
■表1. RTCで制御できる要素とパラメータ
センサーは、RTC要素の開始および終了のタイミングを設定する要素です。センサーの監視対象や作動条件、センサー同士の優先順位を設定することが可能です。RTC要素は、このセンサーを関連付けることで、初めてシミュレーションで扱うことが可能になります。
センサー |
パラメータ |
管路 |
流量、速度 |
ノード |
水深、水位(標高) |
ポンプ |
ポンプ流量率 |
堰 |
流量率 |
オリフィス |
流量率、速度 |
■表2 センサーを設定できる要素とパラメータ
画面構成について
リアルタイムコントロールの画面を大きく3つに分けると、図1のように分けられます。
画面左上(1)は、RTC要素およびセンサーの管理や関連付けを行うセクションです。画面右上(2)は、センサーの定義を行うセクションです。画面下方(3)は、RTC要素の定義を行うセクションです。
■図1 リアルタイムコントロールの設定画面
リアルタイムコントロールの代表的な用例としては、下記が挙げられます。
ダムの放流シミュレーション
時間経過や水位によって行う放流のモデル化が可能です。ダムの放流にはいくつか種類があり、水位を維持する河川維持放流、治水目的の放流、フラッシュ放流等がありますが、いずれも本機能で再現可能です。
水門のシミュレーション
逆流防止水門(本川の洪水が支川に流入することを防ぐ水門)や防潮水門(高潮や津波などにより海水が河川に浸入するのを防ぐ水門)などの、水位に応じて対象の水路や河川への流量を調節する構造物のモデル化が可能です。
排水機場のシミュレーション
支川の水位が高くなった際にポンプを使用して本川へと水を排出するための排水機場のモデル化が可能です。併せて逆流を防止するゲートの開閉も再現可能です。
上記を併用した新たな水利施設の検討・提案 リアルタイムコントロールは、複数の定義が可能なため、上記を併用した新たな水利施設の検討・提案にご活用頂けます。
降雨や流域の水位情報を基に、ゲート、堰、ポンプ運転等を制御することで、現行水利施設の能力を最大限に引き出す検討や局所的な集中豪雨時におけるポンプ場での効果的な運転シミュレーションの検証などにもご活用頂けます。
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