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ユニバーサル・コミュニケーションデザインの認識と実践

太田 幸夫
ビジュアル・コミュニケーションデザイナー、太田幸夫デザインアソシエーツ代表
特定非営利活動法人サインセンター理事長、多摩美術大学 前教授
LoCoS研究会代表、日本サイン学会理事・元会長、日本デザイン学会評議員
一般財団法人国際ユニバーサルデザイン協議会評議員
A.マーカスデザインアソシエーツ日本代表
 

Vol.11 公共サインと商業サインの融合一体化
   
街がブラックボックス化している。街の構造と機能がますます重層複合化し、誰にとっても分かりにくくなっているからだ。商業サインと公共サインの関係を見直して、両者を融合一体化するデザインが可能になれば分かりやすくなり、快適な街に近づくのではないか。特定非営利活動法人サインセンター(理事長:太田幸夫)では2001年、事務所を置いている地下鉄青山1丁目駅構内を使って、「新しいサイン環境の創出」に挑戦した。

そのために銀座線、半蔵門線、日比谷線の3路線が交差するターミナル環境における‘商業サインと公共サインの関係’にスポットを当てて、同時に‘サインと建築の関係’を含めた実地調査を試みた。さらにデータに基づく‘リ・デザイン’を実施して、サインコミュニケーション環境の新しいデザイン開発を実践した。具体的にはビデオカメラと連動した環境視認(視点記録)ゴーグルを被験者を務めた高齢者に装着してもらった。階段、通路、切符売り場などを移動してもらい、公共サインと商業サインがどう見取られているか、そして建築インテリアとサインの関係にどのような問題が横たわっているデータを見れば分かるようにした。若者の被験者からも同様のデータを取り、両者の比較分析もした。

それらのデータを活かしたデザイン成果は全て、コンピュータによる3D/VRによってシミュレーションした。アメニティ環境(安全性、快適性、利便性、機能性、審美性)の向上は誰の目にも明らかになった。サイン業界、行政、学会など100名余りを東京都庁の大会議室に集めて、連続2回の発表会を開催した。その後、16年経過した現在でもそれは、最先端の成果と言えるものであった。


具体的なデザイン手法を開示すれば、デザインの押さえどころは2点。一つは公共サインと商業サインの環境における基本的なデザインボキャブラリーを使い分けること。仮に前者をフレームサインとし、後者をフレームレスサインとする。フレームなしの大規模なプレゼンテーションが有効なのは、やはり商業サインであろう。

標識とか看板と呼ばれる街のサイン類は、そのほとんどがフレームサインである。垂直・水平の建築構造体に沿わせて一定の場所に表示スペースを定め、サイン情報を示す。このデザイン手法とは別に、場所もスペースも特定せずに可変デジタル情報を活用するものを、筆者は以前よりフレームレスサインと呼ぶ。プロジェクションマッピングはそうした例だ。

基本デザインの異なるベースであるこれら2種類のボキャブラリーが共存した時、バッティングしたり相殺し合わない。融合一体化して、相乗効果を持つ。その場合、公共サインの表示位置は、目線プラスαの高さで統一し、サイズ、色、文字、ピクトグラムをまとまりよく示すことが必要になる。フレームサインであっても可能な場合は、フレームを示さないデザインも有効。街中の屋外広告物はほとんどがフレームサインである。ところが表示面の背景色、特に白色の余白スペースが、意外と景観を損ねている事実に気づいている人は少ない。表示面四隅が直角のため、キツい印象を与えるからだ。

もう1点の押さえ方は、インテリアであれ、エクステリアであれ、環境の構成要素は、全てコミュニケーションメディアであり、必要なサインをより良く見取らせる大切な要素であると理解すること。そうすると、建築上の構成要素がサインの重要な構成要素に変質してくれる。だれでも驚くほど、質の高い環境をデザインできる。

街の歴史や地域の個性をサイン類にいかに反映させるか。こうした課題もデザインで例示した。メキシコオリンピックをトータルデザインしたアメリカのデザイナー、L.ワイマンが、メキシコ市に初めてできた地下鉄の19の駅名表示に、文字言語を使わないで、地域イメージのピクトグラムを使った。筆者はワイマンと親交があったので彼の前例を参考にした。青山1丁目の駅の上にはHONDAの本社がある。世界最初のロボットを駅のアイデンティティサインとして壁面に大きくデザインした。コミュニティサインの共存だ。

必要な人に必要な意味が分かりやすく、安心で心地よい環境は、サインレスサイン環境なのかもれない。環境全体が必要なサイン機能を満たしてくれるので、自ずと癒され心象風景ともなる。そうした自分の家に居るようなサインレスサイン環境こそ、めざすべき目標といえるかもしれない。


 
公共サインは目線のやや上部に統一し、壁面や丸柱には最大限の面積を使った商業サインのフレームレスサインを配して両者の融合一体化を可能にした。   出口表示と乗り換え路線やトイレなどの案内・誘導サインが個々バラバラに取り付いて商業サインともバッティングしていた。建築の開口部をコの字に面取りして、ゲート型サインによるコミュニケーション環境デザインにまとめた。 
図版協力:前嶋宏明
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(Up&Coming '16 盛夏号掲載)
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