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Vol.4 
フォーラムエイトでは、当社主催のサマーワークショップをはじめとして、会員として所属するCSAJ(一般社団法人コンピュータソフトウェア協会)、マサチューセッツ工科大産学連携プロジェクト(MIT ILP)に関連する活動など、さまざまな研修に参加し、最新の技術や関連ビジネスについての知見を広めています。本コーナーでは、これらの研修の内容についてレポートしていきます。今回は、2017年6月に行われたCSAJ エグゼクティブセミナー in しまねについて紹介します。

CSAJ「エクゼクティブセミナー in しまね」
〜ITが創る・支える・変革する「地方創生」〜

フォーラムエイト特別顧問 川村敏郎

平成29年6月30日(金)〜7月1日まで一般社団法人コンピュータソフトウエア協会(CSAJ)企画の掲題のセミナーにフォーラムエイト代表取締役伊藤裕二社長、武井千雅子副社長と今回初参加の川村の3名で参加しました。

島根県は、日本神話や縁結びの神様として有名な出雲大社をはじめ「出雲国風土記」にもその名を記され、日本最古の歴史を持つ「神湯」とも言われている玉造温泉などなど日本の古い歴史を随所に残す一方で、2020年からのプログラミング教育必修化に先んじてプログラミング言語「Ruby」を中学校で必修化するなどの教育環境だけでなく、IT企業の誘致などを積極的に行い、県を挙げて産官学連携によるIT拠点構築による地方創生を目指しつつありますが、フォーラムエイトの今後の成長戦略の参考としてや「Ruby」の活用の可能性などを含め視察してきました。


国立大学法人 島根大学

CSAJエグゼクティブセミナーの開始は、松江市の中心街、島根県庁に近く、松江城のほとりの蓬莱吉日庵にて当地名産の出雲そばなどの特別メニューをいただき、ここから2キロ程の島根大学松江キャンパスの訪問で始まりました。

島根大学

多目的ホールにて、司会役の総合理工学研究科 情報システム学領域長・教授の曾澤 邦夫先生より島根大学が目指すビジョンや求められる役割などが紹介され、まず最初に総合理工学研究科 研究科長・教授の廣光 一郎先生より、「総合理工学部・研究科の改組」と題して、平成30年4月に向けての改組の方針について、説明がありました。特に「数理・情報学科」を、「数理科学科」と「知能情報デザイン学科:情報システムデザインコースとデータサイエンスコース」に分離拡充、大学院では「情報システム学コース」を「知能情報デザイン学コース」に改組するなど、ビッグデータや人工知能の活用など最新のIOT分野への挑戦が印象的でした。

廣光 一郎氏 関心の高いテーマに参加者も
真剣に拝聴
曾澤 邦夫氏 松本 多恵氏 廣冨 哲也氏
島根大学の皆様

次に、総合情報処理センター講師 松本多恵 氏より、「島根大学CSIRTについて」と題して、大学におけるコンピューターセキュリティインシデント対応チームの設置と運用について事例を交えた説明がありました。

最後に、総合理工学研究科 准教授の廣冨 哲也先生より、「産学官連携によるIT人材育成の取り組み〜システム創成プロジェクト〜」と題して説明がありました。大学では、産学官連携の取り組みとして、「システム創成プロジェクト」を立ち上げ、島根大学・島根県/松江市・企業が三位一体となり、人材育成に取り組み、より実社会に関連した問題を解決するためのシステム開発演習などにも、企業側から講師を派遣してもらい開発の目的、背景、優先順位、方向性等を企業側の講師と一緒に考えたり、システム開発におけるスキルはもちろんのこと、チームワークとしての基礎知識や、リーダーシップのあり方などについても実践に即した教育がなされています、これまでの大学のアカデミックな講義では得難い先進的な取組に感心しました。

講演終了後は、2つのグループに分かれて、学内を視察しながら、附属図書館の見学を行いました、年間延べ33万人の学生、教職員が利用し蔵書80万冊、貸出し7万冊、設備と運用の行き届いた立派な図書館でした。

図書館見学

小松電機産業株式会社

島根大学松江キャンパスを後にし、宍道湖(しんじこ)南岸沿いに20分ほどのドライブで湖岸近くの小松電機本社を訪問しました。小松社長の歓迎の挨拶に始まり「混迷の時、問われるメーカーの真の価値」と題した社長講演を拝聴しました。社是「社業を通して社会に喜びの輪を広げよう」を掲げ、経営理念「おもしろ おかしく たのしく ゆかいに」のもとに「楽しく持続的に生きられる地球社会をつくる」活動にも取り組んでおられます。見学させて頂いた「高速シートシャッターhappy gate門番」は「ものづくり日本大賞優秀賞」を、総合水管理システム「やくも水神」は科学技術庁「注目発明選定証」を取られ、小松社長のリーダシップのもと、創意工夫にあふれた明るく元気な会社でした。

小松昭夫社長(右)と記念撮影 小松電機産業社内見学

まつもとゆきひろ氏による特別講演

小松電機から宍道湖岸を10分ほどドライブし今夜の宿泊先、玉造温泉 曲水の庭 ホテル玉泉に到着し、早速コンベンションホール「吉兆の間」に移動をし、ご存知、開発言語「Ruby」の開発者で、開発の功績への評価から松江市の名誉市民に選ばれ、内閣府国家戦略室の「世界で活躍し『日本』を発信する日本人」にも選ばれ、日経BP社「日本イノベータ大賞」を受賞された、一般社団法人Rubyアソシエーション理事長の、まつもとゆきひろ氏の講演「イノベーションゲーム」を拝聴しました。

冒頭、ご本人から、自分はイノベータだとは思っていないし、Rubyは決してイノべーティブではないと思っているが、イノベータ大賞受賞をきっかけにイノベーションについて考えることが多くなったと切り出され、イノベーションとは不連続な革新であり、現状のの改善ではなくむしろ破壊的な変化の象徴でもあり、変化への渇望、現状の閉塞感の打破でもある、よくイノベーション=新技術開発と定義する表層的な見方は間違っている、またイノベーションを阻害する要因として、リスクテークしないマインド、失敗への不寛容、失敗を認めないビジネス契約、細かな事中心のマイクロマネージメント、個よりもチーム重視、保守的判断等の要因を挙げておられ、イノベーションの起こし方として、物事への果敢な挑戦、頻繁な挑戦とトライアル&エラー、オープンで異分野のコラボレーション、等を挙げ、とくにこれからの経営者に求めるものとして、成功が誰にも予想できないのであれば、アイデアを捨てず失敗を許容しリスクとコストを適切に管理しイノベーションにチャレンジすることなどについて、いろいろな例を挙げながらのお話でした。Rubyの開発で苦労され、紆余曲折の中で今日を築き上げられた方の含蓄のある話でした。

まつもとゆきひろ氏「イノベーションゲーム」を拝聴

島根県行政施策の取組

続いて、島根県における行政の取り組みについて説明を聞きました、安達 昌明 氏(島根県 商工労働部 産業振興課 情報産業振興室 企画調整グループ グループリーダー)、本田 智和 氏(松江市産業経済部 まつえ産業支援センター 副主任)、佐川 賢一 氏(公益財団法人しまね産業振興財団 しまねソフト研究開発センター 副センター長)が登壇され、産業施策などについて、ご説明があり、Rubyを軸にしたソフト系IT産業施策について、産官学の連携や企業立地状況、人材教育支援などについて、また需要の拡大が見込まれるRubyエンジニアを育成し、松江に行けば優秀なエンジニアがいるというブランドを作り出すための施策、手厚い企業誘致施策など、IT拠点構築による地方創生を力説されていました。



懇親会

懇親会は、宿泊先でもある玉造温泉 曲水の庭 ホテル玉泉「松風の間」で、地元関係者の方々を交えて行われました。はじめに、CSAJ 荻原 紀男 会長の開会挨拶の後、島根視察の調整に協力頂きました公益財団法人しまね産業振興財団の業務執行理事 伊原 昌孝 氏より挨拶があり、松江市 産業経済部長の矢野 正紀 氏による乾杯の発声で宴会が始まりました。今回はCSAJ会員45名、地元の島根県、松江市、Rubyアソシエーションの幹部も交えて総勢50名ほどの大宴会になり、ホテル玉泉の自慢の料理を頂きながら、島根の美味しい地酒の酔いが回って記憶は定かではありませんが「李白」や「やまたのおろち」などを皆さんと酌み交わしながら時の過ぎゆくのも忘れる楽しいひと時でした。日本神話にはスサノオノミコトがヤマタノオロチを退治する際に、あちらこちらに美味しい地酒を置き、酔って寝てしまったところを退治したという逸話もあるそうですが、島根は神世の時代からの銘酒の産地だったのでしょう。

宴もたけなわのころ、中締めが、CSAJ 和田 成史 名誉会長により行われ、名残惜しくも大盛況のうちに打ち上げとなりました。

まつもとゆきひろ氏(左)とVサイン

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