オールインワン3DCGソフトの強みを駆使、20年超にわたる豊富な実績
地図やイラストの制作からデザイン検証など、広がる適用分野 |
「リアルな3Dグラフィックスに憧れていて、(しかもまだ)やっている人が(それほど多く)いなかったため、それが出来るアプリケーションということですごく楽しみにしてShade3Dを購入しました」
20数年前の3DCGソフトウェアは、モデリングをベジェ曲線で行うShade3Dと、ポリゴンモデリングを採用したもう一つのアプリが拮抗。どちらかと言えば後者が主流だった中で、矢谷竜也さんはShade3Dを選択。ただ当時はマニュアルが不十分な上、特化した書籍も、周囲に頼れる人もなく、しばらくはひたすら独学で使い方の習得に努めた、と振り返ります。それがShade3D導入から2年ほど経った頃から、ゲーム攻略本に挿入するための3D地図を制作するニーズが徐々に増大。そのよって立つ仮想空間を可視化すべく、リリース前のデバッグ版で自ら実際にゲームを体験しつつ、まず平面図の地図を起こし、その上でShade3Dを使い立体に仕上げて納品する、という仕事が20年近い長きにわたって続いてきました。
「(最初は他のアプリも使ったりしたのですが、例えば)疑似ブーリアンというの(機能)があり、Shade3Dの方がサクサク使え、仕事が早く出来ることに気づいてから、ゲームの地図作りは(専ら)Shade3Dです」。加えて現行のShade3Dでは、ベジェ曲線(自由曲面)・NURBS・ポリゴンの3モデリング手法への対応をはじめ、一つのソフトで3DCG制作に必要なほとんどの機能をカバー(オールインワン)。モデリング手法の切り替えも可能で、実務で大いに役立っている、と矢谷さんは述べます。
また、そうした仕事が契機となり、書籍の挿絵やロゴ、ゲームの面盤やケースのデザインなどの依頼へと発展。デザインは決まっているのに製品が未完成という場合はもちろん、実物の家具を撮影するより安価に済むという事情などから、カタログ作成用に家具を3DCGで描く、といった例もあります。
その半面、ここ数年はゲームやその関連書籍向けニーズが漸減。代わって、図面を基に各種インテリアやディスプレイのパースを制作する業務が着実に増えてきています。
このような流れの中で近年のShade3Dを利用した特徴的な取り組みとして、矢谷さんはセミセルフ型コスメショップ向け化粧品陳列カセットのデザインを挙げます。そこでは、チューブ入りの化粧品をカセット内で顧客の意向に沿った並べ方が可能か否か事前確認するため、まず実物のチューブを自分でスキャンし、トレースし、実測して3D図面を作成。これを基に、チューブの曲線を表現する狙いから、Shade3Dでベジェ曲線を使いモデリング。これをNURBSに変換した上で、カセットへの挿入角度や隙間を考慮しながら寸法を割り出し、STEP形式で出力して他のCADツールに持って行き、顧客がそれを基に検証しています。
また、デザイナーの手描きイメージからウィンドウディスプレイの3DCGと図面作成を依頼されたケースでは、まずイラストレータで図面を描出。その後、Shade3Dでベジェ曲線を使いモデリングし、NURBSに変換してCAD機能を利用。デザイナーとの協議を重ねて修正した後、他のCADツールで図面を作成しています。
そのほか、提供された昼間の写真を基に顧客の要望を反映し夜間のプレゼン用イメージをShade3Dで加工し制作したフォトモンタージュの例、さらに顧客側でShade3Dを使って制作した3Dデータをよりリアルにブラッシュアップした例、Shade3Dの3Dプリント機能を試行しその可能性や課題を探った取り組みにも触れます。
(執筆:池野隆)
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チューブ入りの化粧品を陳列する際のカセットデザインに使用したサンプル |
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