表技協監修「デジタルサイネージによる災害リスク認知効果」実施報告
2015年1月27日、(財)最先端表現技術利用推進協会の町田聡会長の監修および東京都市大学 吉川弘道教授の指導のもと、「デジタルサイネージによる災害リスク認知効果の評価実験」が実施され、フォーラムエイトも技術支援を行いました。この実験・調査は、災害リスクを3次元バーチャルリアリティ(3D・VR)で可視化して防災教育へ活用する研究の一環として位置づけられており、学生と社会人による被験者に大画面・中画面・小画面と、画面サイズの異なる3種類の視聴環境で体験させることで、画面サイズによるリスクの認知効果の違いを検証し、今後の防災活動・防災教育に役立てることを目的としています。
学生3名+社会人7名で構成された計10名の参加者は、3DVR映像のスクリプトによるアニメーションで、都市沿岸部における津波および都心でのビル倒壊を体験しました。アンケートでは、災害威力の認知を筆頭に大画面の評価が最も高くなった一方で、中画面ではディスカッションの行いやすさ、小画面では手元での扱いやすさなどが評価されました。防災教育への可能性に加えて、リアル感、臨場感についての課題も認識され、非常に有意義な調査となりました。
■実施概要
日時 |
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2015年1月27日(火) 午後2時〜5時 |
場所 |
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フォーラムエイトショールームおよび小会議室 |
被験者 |
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10名(学生3名+社会人7名) |
被験者の特性 |
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学生(災害リスクを専攻しているが、VRに関する知識は浅い)
社会人(IT企業に勤務しているが、VRの技術知識は浅い) |
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「伊那市・西春近南地区太陽光発電所計画の自主簡易アセス」に協力
表技協ではこの度、長野県伊那市西春近南地区に計画されている太陽光発電所(約500kW)について、その周辺環境への影響をシミュレーションし、適切な対策を図ることを目的としたプロジェクトに協力。傘木宏夫氏が代表を務めるNPO地域づくり工房が業者と地元住民等との相互理解を容易にするファシリテータとしての役割を担いました。
自主簡易アセスは、国や自治体の環境影響評価制度には規定されていない規模や種類の事業について、事業者の説明責任として実施するものです。事業者自ら開発行為の環境への影響を見積り、その内容を公表し、住民等との情報交流を通じて、より適切な環境配慮を目指します。
このプロジェクトは、近隣の太陽光発電所をめぐって里山環境の保全を願う住民が訴訟を起こす事態になっていることを背景に、丁寧な説明責任を果たしたいという事業者の思いから始まりました。太陽光発電を含む再生可能(自然)エネルギーの生産は、それが大規模に実施された場合は、景観への影響をはじめ、何らかの環境への影響があります。そうした問題を未然に防ぐ観点から、第三者としてこの事業に対する評価が実施されました。
現在、Webサイトにおいて評価書案が公開され、一般からの意見を募っており、併せて地元での説明会が開催します。頂いた意見に対する見解と対策をとりまとめ、事業者と協議し、その結果を評価書として公開する予定です。
国及び長野県は、大規模な太陽光発電所の建設を環境影響評価制度の対象とはしていません。また、事業者が自主的に環境アセスを行う事例もほとんどありません。そうした中でこの事例は、大規模とは言えないにもかかわらず、自主簡易アセスを行う点で高く評価されるものと考えられます。
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